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SWORD OF DESTINY  作者: ティケ
集結
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16/19

決意

最果ての都フファの悲しき過去の全てを語り終えたアール。

「必要な事は全て話した。敵さんのターゲットはおそらく回路。回収のために色々と準備しているはずだ。こっちは防衛の準備に取り掛かる。長々と疲れただろ、一旦解散して明日から作戦をねろう。みんなお疲れちゃん!おーい、レナ!ティータイムとしようぜ!」

「・・・はい・・・ご主人様・・・」

アールに呼ばれて現れたのは、銀色の、しかし機人《きじん》とは雰囲気の違うメイド。皆に少々ぎこちなく紅茶を配る。

「こいつは安堵路意人《アンドロイド》っていう機械の人形さ!シグ製の特別使用だ!こいつも作戦に加わってもらうからよろしくな!」

「・・・みなさまよろしく・・・お願い致します。」

「シグで作った機械人形・・・フファの技術、もっといくらでも良いこと出来そうなのに・・・。」

サシャは心で呟《つぶや》いた。

「俺、ちょっと外の空気吸って来ます!」

「お!そか!ゆっくりして来な!」

飛び出すロイをアールは止めずに送り出した。


しばしの雑談の後、各自個室に案内され、様々な思いを胸に、束《つか》の間の休息を過ごしていた。


一人静かに妹の形見を眺めるキサラの部屋にノック。

「誰だい?」

「よっ、お前さんのそれ、かなり気になってね。」

アールだった。指差すものは形見のシグ。

「そいつから・・・妹さんの強い思念を感じるんだ。長い間結合していて、すっかり移っちまったんだな。つまりそいつはもはや、妹さんそのものだな。」

「さっさと腹のうちをしゃべりな、妹になにするつもりだい?」

冷静に、しかし冷ややかに言い放つキサラ。

「おっと、ご察しとはなぁ!たいしたもんだ。」

話しながらアールはキサラの前に。そして急に眼差しは強く真剣になる。

「キサラ、ロイに着いた以上、お前さんもユウや七機神の敵ってことになる。戦いは避けられねぇ。そこでだ、妹さんと力を合わせるってのはどうだ?」

「どういう事だい?」

「俺に妹さんを託して欲しい。妹さんがお前さんを守り、共に戦える姿に変えてやる。俺ならそれを実現出来るぜ!どうする?」

「ワズと・・・共に・・・」

今一度アールの目を見据えるキサラ。そして。

「あんたも見抜いてたか、あたしがこのままじゃまともに戦えないことに苛立ち、可能なら妹と共に戦えたらとやきもきしてることを。その目、ウソはないね!妹を頼んだよ!」

キサラは形見のシグをアールに差し出す。受け取ったアールは親指を立てる。

「信じてくれたか!まかせな!俺の技術のすべてをぶち込んで、とっときをあつらえる!」

アールは足早《あしばや》に地下の工房に向かい、さっそく加工に取り掛かった。形見のシグを作業台に置き、自身のシグの力を手のひらに集め、その手のひらでまずは棒状に引き伸ばした。かなりの長さがある。

次にアールは力を指先に集中し、指で棒状のシグを細く切り分けていく。幾百もに切り分けられたそれは、金属の繊維《せんい》と呼べるほど、細くしなやかに仕上げられていた。

「よし・・・いい感じだ!」

ひと呼吸おいて、アールはその繊維を束ね、端の部分を、柄《つか》のような形状に加工し、そこから先の繊維を、力を集めた指先で器用に編み込んでいく。非常に特殊な編み方でまとめ上げていく。

「ようし、出来たぜぇ、過去最高の逸品だぜ!」

完成するやいなや、アールはそれを持ってキサラの部屋へ急いだ。

「キサラ!出来たぜ!」

「これは・・・鞭《むち》!」

「外で振るってみな!」

玄関前でキサラは様々に振るう。元が金属だったことなど微塵《みじん》も感じない柔軟さで、これまで使っていたものよりはるかに自在に操ることが出来た。柄《つか》の感触も、とても手になじむ自然な感覚に仕上げられていた。

「すごいじゃないか!もうどんな相手にも負ける気がしないよ!アール、恩に切る!」

「なあに、姉妹に姉妹でいてもらおうとしただけ。普通のことさ!」

キサラの脳裏にワズの声。

「姉さん、これから一緒に、本当の平和を探して・・・悲しみのない・・・平和を。」

「そうだねワズ、見出すために、手にするために、力をかして!」

シグの悲しみの力と歴史に翻弄《ほんろう》され、傷を負った姉妹は、その連鎖を断ち切ろうと決意を固める。


アールが加工に尽力している頃、ロイは自分の頭の回転の限界を感じ、アール邸を出て近くの空き地に座りこんでいた。天蓋《てんがい》からはすでに夕日が差し込み、ロイはそれを一人浴びていた。しばらく固まっていると聞き覚えのある声。

「あっ!いた!全然帰って来ないからヒヤヒヤしたじゃない!」

「サシャ、ごめん、目いっぱいでさ。」

「珍しい、あんたが考え込むなんて!」

ロイは黙って夕焼けを見上げている。

「あのさ、考えるのも悪くないんだけど、必要なことなんだけど、それで何か感じれるのかしら。」

声をかけたサシャと目を合わせようとしないロイ。

「あんた、剣技は考えて覚えたの?紙に書いて身につけた?」

はっとするロイ。サシャはニヤリと笑う。

「あんたのアタマじゃ、体で覚えるしかなかったでしょ!行動あるのみ!そうしないと、自分の進むべき矢印なんて見えないんじゃない?」

「サシャ…そうだな、父さんの言葉を思い出した。自分の目で見て、自分の肌で感じたものこそが真実!最果てに行って見つけ出すよ!俺だけの矢印を!」

「そろそろ戻るよ!みんな心配してるんだから!」

「ああ!」

笑みが戻ったロイの後ろをサシャはいっぱいの喜びを胸について行った。


ロイとサシャが帰ると、玄関前にキサラとアール。キサラの手には銀色の鞭が握られていた。

「お!帰ったか!」

「キサラさんそれ・・・」

「これは・・・ワズだよ。私も機人と戦える。アールのおかげだよ。」

サシャの顔が曇る。

「サシャ、どうした?」

困惑するロイにサシャが答えた。

「私だけだね・・・シグの武器無いの・・・私だけ機人と戦えないね・・・もう・・・お荷物だね。」

うつむくサシャにアールが告げる。

「サシャ、お前さんの杖と腕輪、ちょっと貸してみな!」

「あ、はい。」

サシャは部屋から杖を出してきて、腕輪を外してアールに渡した。しばらく眺めてアールが言う。

「あの時のままだ、サシャ、この杖と腕輪、ロイのお母さん、エタがどうしてもって言うから、俺が作ってあげたもんなんだ。ある細工を施してな!」

話しながらアールは指先に力を集め、杖と腕輪に力を流しこんだ。すると表面の金属がはがれ、それぞれ中から全く形状の違う杖と腕輪が現れた。その杖と腕輪の輝きは、ティーダやワズと全く同じ。

「これは・・・シグ!」

驚くサシャ。

「ご名答!正しくシグの杖と腕輪さ!純粋に鉱石から作り出したから、ティーダのように誰かが宿っているわけじゃないが、その力は同等だぜ!サシャ!お前さんは、最初から持っていたのさ!シグの武器をな!万一の時に悪用されないよう、力がもれない細工をしてあったのさ!」

「アールさん!私、お荷物じゃ無いんだね!」

「ああ!立派な戦力だぜ!」

満面の笑みを浮かべるサシャ。

「さあて、明日からに備えて、みんな休もうか!さあ!入った入った!」

一同は再び刹那の休息を過ごす。

嵐の前の静けさ・・・


その頃すでに、闇が降り始めていた。

最果てに最も近い、高い軍事力を誇る強国ユサラビが、見る影もなく陥落《かんらく》していた。

七機神が攻め込み、建物は破壊しつくされ、人々が次々と連れ去られて行った。

「ゲイン、国民全員の捕獲は完了したか?」

七機神のリーダーミブ。強襲作戦は成功し、ゲインと作戦の最終確認に入っていた。

ゲインは黙ってうなずいた。

「ゴゴ、ヒイロ、国の機能は?」

「軍隊は完全に全滅、施設も全て破壊完了。」

ゴゴが答えた。

「よし、作戦完了、撤収するぞ!」

ミブの元に七人が集まる。ゲインは七機神唯一の空間転移の使い手。七人を転移させる。国民捕獲もこの空間転移を使って実行した。


「七機神、帰還しました!」

ミブの前には巨大な玉座に座するユウ。

「捕えた国民は工場に集めてあります。監視にヒイロを。」

「うむ・・・まずは第一段階成功だな。」

「さっそく第二段階に進みます。回路の位置がおおむね判明しました。手分けして回収にあたります。」

「アールと守人《もりびと》どもも動き出すはず。油断無きよう・・・」

目を細めるユウにミブが答える。

「心してかかります。」


巨大な闇が、ほんのわずかに身じろぎした。



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