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SWORD OF DESTINY  作者: ティケ
胎動
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11/19

潜入

キサラは下水道の地図と城の見取り図を広げた。子分達を使って情報を集め、密かに入手したらしい。

下水道から城の中まで侵入し、ワズの部屋まで忍び込む作戦。しかし、いくつか難点もある。

「手順としては難しくはない。ただ厄介なことがあってねぇ、ワズは昔から予知能力みたいなチカラがあって、シグの力でそれが増強されているんだよ、だから迂闊《うかつ》に動くと一網打尽《いちもうだじん》さ。」

「じゃあ城には入れないんじゃ・・・」

キサラがニヤリと笑う。

「見つけたのさ、抜け穴をね!」


キサラの話しでは、ワズはシグの力をまだ扱いきれておらず、3日に一回、日の入りから翌日の日の出までは、力を使うのを停止するようだ。キサラ達が偵察活動や見取り図を入手したのもこの時に合わせていた。その間、城には呪術で様々な生き物の骸《むくろ》を操り、徘徊させて護衛《ごえい》させているらしい。そして今夜も、ワズが力を休める日に当たっていた。

「ワズは日の入り後、ある程度経つと、呪術をかけたあと、塔の自室から出て城に入る。城のどこかに、回復施設があると思う。見取り図には載ってないから、行って探すしかないねぇ。見張りの子分に、ワズが部屋から出たら伝書鳩を送るように行ってある。鳩が来たら作戦開始、仕度しておいてくれ。」


作戦会議が終わり、ロイとサシャはすぐさま身仕度を済ませた。

「よし、いつでも来い・・・」

気を引き締めたその時、リゴと数人の子分達が駆けつける。

「鳩が来ました!出発でさぁ!」

キサラも駆けつけ、船を降りた一行は、下水道から城に向かった。


「ここに間違いない、出るよ!」

一行が出たその場所は城の真裏の小さな庭だった。周囲は高い城壁。目の前に裏口。左右にはそれぞれ塔が建っている。リゴが扉に耳を当て、わずかに扉を開く。中を覗いたリゴが指で招く。

キサラが先陣を切る。

「よし、リゴ、あんたは船に戻るんだ。分かってるな。」

同行すると思っていた子分達を退かせるキサラ。

「へい、姉御、ぜひともお達者で。」

リゴと子分達は黙って船に引き返す。


城に入ると小部屋。見取り図を確認すると、中心に巨大な柱があり、それを囲む様にいくつかの部屋が連なり、その先は大広間。そこに上階に続く階段がある。広間にたどり着くには、部屋を一つずつ、柱を回り込む様に抜けて行かなければならない。

「まずは大広間だねぇ、上階を目指すよ。」

キサラは注意深く周囲を確認しながら小部屋の先の部屋へ。

「おや、さっそくお出迎えだねぇ!」

骸《むくろ》の兵士達が襲い来る。ロイとキサラが応戦。しかし呪術が効いているせいか、切っても叩いても、すぐに蘇《よみがえ》る。

「キリがない!」

「私がやるわ!」

サシャが何かを唱え印を結ぶ。骸の兵士達は光に包まれ消えていく。

「これは・・・ターンアンデッドの魔法!」

キサラは長旅で、この魔法が高位の魔法である事を知っていた。

「こいつらは私に任せて!」

「フ・・・頼んだよ!」


連なる部屋を次々と進む。しかしどの部屋もただの部屋だった。骸の兵士達はサシャの魔法で次々と地に返された。かなりの数だったが、サシャの魔力も精神力も尽きることはなかった。


やがて大広間に到着。その時。激しい揺れと共に、床を破って巨大なものが現れた。様々な生き物を繋ぎ合わされた、四足歩行の獣、前に突き出た牙、足には鋭い爪。

「えらいのが来ちまったねぇ!」

「やってやる!」

構えるロイとキサラに激しい突進!かわしつつ攻撃を加えるも、効いているのかいないのか分からない。サシャは防御、素早さ向上の魔法で支援!獣の勢いは衰えない!突進と引っ掻きを繰り返す!

「二人とも、そのまま引きつけて!」

サシャは叫び、魔力で杖を飛ばし、床に何かを刻み始めた。

獣が杖を追おうとした時、鋭い剣撃が入る!

「おまえの獲物はこっちだ!」

ロイの挑発に獣がいきり立つ!ロイに突進する獣の足を鞭がさらう!もんどりうつ獣!キサラの援護!

「鈍いねぇ!」

その間にサシャの杖が書き上げたのは巨大な六芒星。

「二人とも下がって!六芒星の外へ!」

二人が飛び退くと同時にサシャは杖を獣の上空に配置し印を結んだ。杖に莫大な魔力が集まり、巨大な光の束が六芒星に突き刺さる!獣は魔力の光に跡形もなく打ち消された。キサラは呆然《ぼうぜん》とする。

「これは・・・裁きの神槍《しんそう》!神聖魔法唯一にして最強の攻撃魔法、初めて見た・・・全く末恐ろしいよ。」

肩で息をするサシャ、ロイが駆け寄る。

「すごいよサシャ、いつの間に・・・」

「わ、たし、だって、やるときゃ、やる・・・」

突然倒れこむサシャを支えるロイ。キサラが一言。

「おぶってやりな。」

ロイはサシャをおぶり、一行は上階に進んだ。


この階には玉座しかなかった。王やその周囲の者達の部屋は更に上階にあるようだ。キサラは玉座の後ろの仮面に目をやる。慎重に覗き込み、仮面に手を触れる。しばらく仮面を触り続けたが、

「なるほどねぇ。」

キサラは仮面を右回りに回転させた。すると壁があるが左右に開いた。その向こうは螺旋《らせん》階段になっていた。ちょうど城の中心の柱の位置だ。

ロイとキサラはうなずき、足を進めた。

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