結果と心 2
暁音さんが家に戻ったのはそれから二日経ってからのことだった。
Sクラスの大物を討伐し、三億近い分け前を貰って帰ってきた日。
「ただいまー。あれー?悠里くん?」
暁音さんが家に帰ってきたのは気づいたが、どうも足が動こうとしない。
丸二日はこのままだったから、きっと歩き方を忘れたんだろう。
「悠里くん、いる?」
彼女がドアノブに手をかけ動かすも、僕の部屋の扉は開かない。
「鍵かかってる……ねぇ!悠里くん!」
ドンドンと叩く音が激しく強くなる。
暁音さんが心配してくれてる、早く声を出して安心させてあげなきゃ……。
でも、そんな気は起きない。
陽の光すら遮断した布団の中で、僕はダンゴムシのように丸まったまま。
たった一言声をあげればいいだけなのにそれすら億劫で、今はもう何もしたくない。
「ちょっとやめてよ……! 悠里くんってば!」
これだけやって返事が無いから、彼女は強硬手段に出た。
「代償変換ッ!」
バコンッ!と扉を破る音。
日常じゃ中々聞かない轟音が鳴るも、僕の身体が飛び上がることは無い。
部屋に入ってきた暁音さんによって、僕の布団はひっぺがされる。
「はぁ、はぁ……良かった」
彼女のその慌て具合は、何かのトラウマを呼び起こしてしまったかのよう。
暁音さんにしては中々乱暴なことをするなと思ったが、そんな思いも言葉にならない。
「悠里くん。もうお昼だよ」
「……ごめん」
「謝らなくていいよ。私がいない間に何があったの」
何が、と言われると。
「何も……」
「そんなはずないじゃない。何も無かったらそんな見た目になってるはずがない。きっとまともにご飯も食べてなかったんでしょ」
言い当てられるほど、今の僕の見た目は酷いのか。
「ごめん……ごめん」
暁音さんを見てると、なぜだか急に寂しさが込み上げて来る。
これまでなんの感情も湧いてこなかったのに、今は寂しく苦しく、彼女が何処かに行ってしまうことを恐れている。
今、僕を一人にしないでくれ。
あの闇の中に、僕を置き去りにしないでくれ。
「……ごめ、ごめん……ごめんッ……!」
「大丈夫だよ」
背を抱かれ頭を撫でられ、色彩が蘇ってくる。
温かさに触れ、途端に涙が。
まるで赤子に返ったかのようにおんおんと泣く自分に、暁音さんは決して引くことなく、受け止めてくれる。
情けなく、みっともない姿を晒してもなお、彼女は優しく受け止めてくれる。
「とりあえず、ご飯食べよっか」




