表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
156/205

VS 試験 2

「始めてください」



 

 ペンを握り、今問題と向き合う。

 これまでとさほど変化のない形式に安心しながら、全体に目を通し時間配分を意識しながら上から解く。

 少ない計算、典型的な問題は早々に解き終わり、いよいよ初見の問題たちへ。

 一筋縄ではいかない設定の問題ばかりだが、一度冷静に考えれば勝機はあるはずだ。

 太刀打ちできないほどじゃない。

 これまでの経験がどうにか僕を動かしている。

 簡単には解けずともたった一手ひらめけば、そんな問題ばかり。

 一度詰まったら、別の問題へ。

 また詰まれば、元の問題へ。

 最後の一秒まで、思考はやめるつもりはない。

 考え悩み、そこから思いついた手を試す。

 その繰り返し。

 

 問題と僕との実力差は、丁度拮抗しているくらいだろう。

 出題側との全力のぶつかり合い、出された問題を全身全霊で受け止めてる。

 とても解なんてあるようには思えないが、糸口があると信じ、ひたすらに脳と頭を動かす。

 

 必殺技、なんてものはありはしない。

 己だけが武器といえる戦場で、勝つための頼りはこれまでの研鑽だけだ。

 行く手を阻む状況設定と形式を前に、僕がするのは無数回のトライ。

 鍛えぬいた一撃が問題に届くまで、何度だって何回だって。

 

 これまでに思い浮かぶ手は全て試したが、それでも解には届かない。

 時間はまだある、今ここで必要なのは諦めてしまわないだけの根性。

 ここが正念場、堪えた末の勝利を掴む。

 

 こう手詰まりした時には、暁音さんが言っていたことを思い出す。

 

『これまで蓄えた知識を総動員して、何が使えそうか吟味する。もしくは、全て捨て去ることも必要かもしれない』


 知識の総動員は言わずもがな。

 でも、それでも問題が解けないのなら、全てを捨て去る覚悟がいる。

 染み付いた常識すら覆す発想の転換。

 これまで学んできた中で得たセオリーを捨て去り、この身一つで戦う覚悟。

 もう信じられるものは、己の発想力だけになった。

 

 落ち着け冷静になれ、そう頭の中で語りかける。

 問題である以上、そこに必ず答えはある。

 決して解けないものじゃないと、僕でも解けると仮定しろ。

 緊張はもう居ない。

 興奮がアドレナリンが止まない。

 この1VS1を制するのは、自分だと信じて止まない。

 挑んだ数が傷になり、解けないかもと不安を煽るが、そんな痛みに感情を預けている暇は無い。

 今は目の前の問題に集中し続けろ。


 

 

 止めの合図がかかるまで、僕のペンが止まることは無かった。

 幾度の挑戦のうち、何発かは掠り、トドメまで刺せたものも何問か。

 解答用紙は回収され、激闘の跡は問題用紙に残るのみに。

 あとは結果を待つだけだ。



 

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ