第96話 迷宮の深層へ――黒髪鬼と茨木童子
帝城では、第二皇子 オニキス が護符を見つめていた。
オニキス「……転移したな。場所は――第六層だ」
側近A「第六層……? 存在しないはず……」
オニキス「存在する。“選ばれた者”しか辿り着けぬ層だ。コハクに伝えよ。太郎殿は第六層にいる、と」
陰陽師が口に指をあててつぶやくと紙が鳥へと変わり迷宮に飛ぶ
貴族たちはほらみたことかと笑い、第二皇女 ヒスイ だけが胸元を押さえて俯いた。
ヒスイ「……太郎殿……どうか、ご無事で……」
迷宮内にいる第二皇子派閥の陰陽師ユウガの元に紙鳥の式神がふわりと舞い降りた。
式神『コハク様……太郎殿は……第六層に転移したとのことです』
コハク「……第六層? そんな階層、聞いたことがない……この迷宮は五層までのはず!」
マッチャ「殿下、どうされますか!」
コハク「決まっています。太郎殿を追います。全員、第四層へ急ぎます!」
ひよりは唇を噛みしめ、太郎の消えた空間を見つめた。
ひより「……絶対に助ける……」
──第四層。
足を踏み入れた瞬間、黒い霧がゆらりと揺れた。
陰陽師A「……皆さま、警戒を。この層には“黒髪鬼”が出ます。心を惑わせる鬼です」
晴斗「心を……惑わせる?」
蒼真「精神攻撃ってことか」
黒い霧が濃くなり、黒髪の女の鬼が姿を現した。
黒髪鬼「……見セテヤロウ……オマエラノ……弱サ……」
その声が響いた瞬間、空気が歪んだ。
──玲奈の前。
幻の少女「どうして……助けてくれなかったの……?」
玲奈「っ……やめて……!」
──晴斗の前。
幻の家族「帰ってきて……晴斗……」
晴斗「……違う……これは幻だ……!」
──蒼真の足元。
影の蒼真「お前は弱い……俺が代わりに生きる……」
蒼真「……黙れ……!」
黒髪鬼の視線がコハクに向いた。
黒髪鬼「……オマエ……“姫ノ血”……奪ウ……奪ウ……奪ウ……!」
黒い爪がコハクへ迫る。
ユウガ「殿下ッ!!」
影のように飛び込んだ陰陽師ユウガがコハクを突き飛ばした。
黒い爪がユウガの腹を深く裂く。
コハク「……! ユウガ!!」
ユウガは血を吐きながら、それでもコハクを庇うように立ち続けた。
ユウガ「……殿下……無事で……よかった……」
コハクはユウガを抱きとめ、震える声で叫ぶ。
コハク「ユウガ! しっかりしなさい!」
黒髪鬼が再び腕を振り上げる。
黒髪鬼「……奪ウ……奪ウ……奪ウ……!」
ひよりの瞳に涙が溢れた。
ひより「……やめて……! 太郎くんを助けるんだもん……! 誰も……奪わせない!!」
ひよりの胸から純粋な光が溢れた。
黒髪鬼「……ナンダ……コノ光……! ナゼ、ココロ…… ニ ヤミ…… ガナイ」
ひより「聖光ッ!!」
光が黒髪鬼を貫き、黒髪鬼は悲鳴を上げて霧となって消えた。
黒髪鬼「……光……マブ……シ……」
静寂が戻る。
コハクはユウガの頬に手を当てた。
コハク「ユウガ……お願い、目を開けて……!」
ひよりが駆け寄り、両手をかざす。
ひより「大丈夫……治すから……! 聖光癒し……!」
柔らかな光がユウガの傷を包み、裂けた肉がゆっくりと閉じていく。
ユウガ「……殿下……泣かないで……ください……」
コハク「泣いてなど……いない……!」
玲奈「ひより……すごい……」
蒼真「純粋な心が……黒髪鬼を倒したのか……」
晴斗「……助かった。ひよりの光がなければ危なかった」
コハクはユウガの手を握りしめ、静かに立ち上がった。
コハク「……行こう。太郎殿が待っている。必ず……追いつく」
──第五層。
巨大な岩の広間。
中央に茨木童子が座していた。
茨木童子「……来たか。だが、ここから先へは行かせぬ」
晴斗が斬りかかるが、茨木童子は指一本動かさず受け止めた。
玲奈の雷撃も、蒼真の影縛りも、ひよりの聖光も通じない。
茨木童子「勇者よ。お前たちでは、まだ“あの層”には辿り着けぬ。ここで待て。それが"あの方"のご指示だ」
コハク「太郎殿が第六層にいるのです! 通してください!」
茨木童子は静かに目を閉じた。
茨木童子「ならば……“あの方”が来るまで待つがよい」
蒼真「“あの方”……?」
マッチャ「殿下……どうしますか……」
コハクは拳を握りしめた。
コハク「……太郎殿……どうかご無事で……」
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太郎「……なあオカン、今回うちら出番ゼロってどういうこと?」
オカン「知らんがな! 読者も“あれ、オカンどこ行った?”って思てるで」
太郎「しかも俺ら、前話で転移して終わりやで?」
オカン「扱いが“次回へつづくの置物”やんか!」
太郎「コハクらだけで黒髪鬼倒してるし……」
オカン「ひよりちゃん活躍しすぎて、うちの存在感どこ行ったん?」
太郎「ユウガまで出てきてドラマしてるしな」
オカン「うちらのドラマは? 親子の絆は?」
太郎「作者、絶対忘れてるやろ」
オカン「ほな次回は暴れるで。六層で派手に出たる」
太郎「頼むから暴走だけはやめてくれ」
オカン「読者は暴走を求めとるんやで?」
太郎「……やめてくれぇ……」
読んでくれてほんまおおきに。オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と言ってます
もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。




