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異世界でオカン(AI)がうるさい 〜追放された俺、最適化されて最強になる〜  作者: トレス=レイ
第三章 キョウ帝国編

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第92話 陰陽寮の影

晩餐会の喧騒から少し離れた柱影で、オニキスは杯を揺らしながら太郎を見つめていた。その目は笑っているようで、まったく笑っていない。太郎の横には、当然のようにオカンが立っている。


オカン「太郎、あの人……なんか“商売の匂い”するで。しらんけど」


太郎「黙っといて!」


オニキスは二人のやり取りを気にも留めず、静かに口を開いた。


オニキス「……太郎殿。正直に申しますと、あなたの街との取引のせいで、姉上――コハクの発言力が、わたくしより強うなってきておりますのや」


太郎「え、えぇ!? うちの街が……?」


オニキス「ええ。茶器に食糧、職人、商会……あなたの街が生み出す“新しゅうて価値あるもん”は、すべて姉上の功績として帝都に届きます。このままやと、皇族の力の均衡が崩れてしまいますのや」


晩餐会のざわめきが遠のき、オニキスの声だけが耳に残る。


オニキス「せやさかい……わたくしとも取引をしていただけへんやろか」


太郎「いや、皇帝さんの要望で帝都にも店出すんや。そこ経由で買ってくれたらええで?」


オニキスは目を細め、微笑んだ。


オニキス「……太郎殿。問題は“買えるかどうか”やあらしまへん。姉上は、あなたの街と共同開発した“新しい茶器”を手に入れてはる。素材は買えるやろけど……あの茶器そのものは、姉上が出資して作らはったもん。わたくしに渡すことはできへん。作り方も……商売人の信用に関わりますやろ?」


太郎「まぁ……そらそうや。出資者に無断で横流しはできへんしな」


オニキスは杯を置き、穏やかに微笑んだ。


オニキス「よろしゅうおす。ほな……太郎殿にとっても得になる“提案”を、改めてさせてもらいますえ。その折には……どうぞ、よろしく頼みますわ」


オニキスが去ると、オカンは饅頭を口に入れながらぽつりと言った。


オカン「太郎、あれは絶対なんか企んどる目や。うちの商店街にもおったもん……しらんけど」


太郎「最後の一言いらん!」


太郎とオカンが客間に戻ると、オカンは当然のように太郎の隣に座り、湯呑をすすっていた。そこへ障子が静かに開いた。


コハク「太郎様……入ってもよろしいどすか?」


マッチャ「失礼いたしますえ」


オカンは湯呑を置いて軽く会釈した。


オカン「ほな、うちもここおるけど気にせんと話しぃ」


太郎「いや、気にするわ!」


太郎はオニキスとの会話をそのまま話した。コハクは黙って聞いていたが、やがて小さく息をついた。


コハク「……オニキス兄様は、うちの立場が強うなるのを嫌ってはるんどす」


太郎「やっぱり、そうなんか……」


コハク「太郎様の街は、帝国にとって“新しい風”どす。茶器も、食糧も、職人も……どれも帝都にはないものばかり。それを後押ししているのが、うちやから」


オカンが横から口を挟む。


オカン「つまり、太郎の街はコハクちゃんの“推し活”に使われとるってことやな」


太郎「そんな軽い話ちゃうわ!」


マッチャが補足するように言う。


マッチャ「第二皇子派は、皇女殿下の影響力が増すのを恐れております。特に……茶器の件は大きゅうございます」


太郎「そんなに茶器って重要なんか?」


コハクは少しだけ微笑む。


コハク「帝都では“茶”は政治どす。誰がどんな茶器を使うかで、派閥の力関係が変わるほどに」


オカンがまた口を挟む。


オカン「茶器で政治って……なんやそれ、茶会で殴り合いでもするんか?」


太郎「絶対ちゃうわ!」


ふと、コハクは視線を落とした。


コハク「……うちは、母方が“陰陽寮”と深い縁がある家系どす」


太郎「陰陽寮って……昨日の式神の?」


マッチャ「はい。帝都の結界、皇族の守護、式神の管理……すべて陰陽寮の役目ですえ」


オカンがまた手を挙げる。


オカン「陰陽寮? なんやそれ、占いの館みたいなもんか?」


マッチャ「……そんな軽いもんやありませんえ」


太郎「オカン、黙っといて!」


コハクは続けた。


コハク「せやけど……陰陽寮は今、派閥争いが激しいんどす。母方の家は“中立派”やけど……第二皇子派は、うちを快く思ってへん」


太郎は昨夜の式神を思い出す。


太郎「……あの式神、コハクを守れって言うてたな」


コハクは小さく頷いた。


コハク「中立派の誰かが、太郎様に助けを求めたんやと思います」


太郎「なんで俺なんや……?」


コハク「太郎様は、帝都の誰にも属してへん。せやから……“信じられる相手”なんどす」


そのとき、障子の外を白い影が横切った。紙の鳥――式神だ。


太郎「また来たんか!?」


オカン「太郎、虫やったら叩きなさい!」


太郎「虫ちゃうわ! 式神や!」


鳥は入ってこず、太郎の部屋を確認するように一度旋回して去っていった。


マッチャは眉をひそめた。


マッチャ「……太郎様。帝都は、表の静けさほど安全やありませんえ」


太郎は深く息をついた。


帝都ヘイアン――

静けさの底で、確かに“何か”が動き始めていた。


────────────────────────


太郎「……はぁ。帝都って、ほんまめんどくさいとこやな」

オカン「太郎、あんたの人生、めんどくさいとこに吸い寄せられる体質なんちゃう?」

太郎「そんな体質いらんわ!」

コハク「太郎様は……巻き込まれ体質、どすな」

太郎「コハクまで言うんかい!」

マッチャ「でも、太郎様がおらへんかったら、もっと面倒なことになってますえ」

太郎「それはそれで嫌やな……」

オカン「太郎、あんたは“面倒ごとホイホイ”や。誇りや」

太郎「誇りにすな!」

コハク「でも……太郎様がいてくれて、うちは助かってます」

太郎「……そ、そう言われると弱いな」

オカン「ほら見ぃ、太郎は単純や」

読んでくれてほんまおおきに。オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と言ってます

もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。

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