表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でオカン(AI)がうるさい 〜追放された俺、最適化されて最強になる〜  作者: トレス=レイ
第三章 キョウ帝国編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

90/132

第90話 帝都ヘイアンへの道

王都の朝は澄んだ空気に包まれ、城壁の上を薄い霧が流れていた。

太郎たちは城門前に集まり、帝都ヘイアンへ向けて出発の準備を整えていた。


同行するのは、太郎、オカン、晴斗、玲奈、蒼真、ひより、コハク、マッチャ、ユラの九名。

辺境伯とスイターは王都に残り、見送りに来てくれていた。


スイターは少し寂しげに微笑む。


スイター「……太郎殿。どうか、お気をつけて。帝都は……いろいろと複雑ですから」


太郎「おう。スイターも無理すんなよ」


オカンは兵士たちに弁当を配り始め、軽く混乱が起きていた。


オカン「ほら、これ食べて頑張りや! 食べたら強くなるで!」

太郎「オカン、それ宗教の勧誘みたいやからやめて!」


二台の魔道馬車に分乗し、帝国護衛の騎士たちが馬で並走する形で出発した。


王国側の街道は土の道で、車輪の跡が深く刻まれている。

雨が降ればぬかるむであろうその道を、馬車はゆっくりと進んだ。


やがて国境の石門が見えてくる。

帝国側の兵士は王国よりも厳しい目つきで旅人を確認していた。


コハクが皇族証を見せると、兵士たちの態度が一変する。


兵士「こ、皇女殿下……! ようこそお帰りでございます」


国境を越えた瞬間、街道の様子が一変した。

王国の土道とは違い、帝国の街道は整然とした石畳が続いている。

馬車の揺れも少なく、太郎は思わず感心した。


ユラが馬車の後部に皇族旗を立てると、

白地に金の紋章が風にはためき、沿道の人々がざわついた。


馬車が近づくたびに、人々は自然と道をあけ、深く頭を下げる。


ひより「……なんだか、すごいですね」


玲奈「皇族の権威、というやつですね」


オカンは旗を見て腕を組む。


オカン「帝国の人は礼儀正しいなぁ。旗ひとつで空気変わるんやな……しらんけど」


太郎「最後の一言いらん!」


石畳の街道を進むと、川沿いに木造の家並みが見えてきた。

キヅガワ宿場町だ。


川のせせらぎが心地よく、橋の欄干には風鈴が吊るされている。

皇族旗を見た町人たちは慌てて道をあけ、深く頭を下げた。


町人「コハク様や! ほんまにお戻りやったんか……!」


町人「いつも食料支援、助かってますえ!」


コハクは少し照れたように微笑み、丁寧に頭を下げた。


彼女は昨年、不作に苦しむ地域へ、

太郎の町から仕入れた食糧を自らの名で配っていたのだ。

もちろん皇女としての支持を得る狙いもあったが、

それでも住民たちは心から感謝しているようだった。


昼食を取るため、川沿いの食堂に入る。

出汁の香りがふわりと広がり、和風の料理が並ぶ。


オカン「太郎、この味噌汁……薄いなぁ。

帝国の人は“素材の味”を大事にしとるんやろな……しらんけど」


太郎「最後の“しらんけど”いらん!」


店主は苦笑しながらも、コハクを見ると目を輝かせた。


店主「コハク様、またお越しください。町の者一同、応援してますえ」



キヅガワを出て、石畳の街道をさらに北へ進む。

川沿いの景色は次第に山の稜線へと変わり、

馬車の車輪が石を叩く音だけが静かに響いていた。


昼を過ぎ、太陽が傾き始める頃――

山の麓から、太鼓と笛の音が風に乗って届いてきた。


張りのある声が、遠くからでもはっきり聞こえる。


「さぁさぁ寄ってらっしゃい見てらっしゃい!

火の舞、剣の舞、幻の舞! カサギ一座の芸、今日は特別大盤振る舞いやでぇ!」


音の方へ進むと、カサギ宿場町の賑わいが見えてきた。


広場では若い大道芸人たちが火の玉を操り、観客を沸かせている。


芸人「おお、旅のお方。帝都へ向かわれるんですか?」


太郎「まあ、そんな感じや」


芸人は気さくで、太郎たちに茶を振る舞ってくれた。

晴斗と蒼真はすぐに輪に入り、芸人たちと盛り上がる。


別の芸人が口上を続ける。


芸人「本日の演目、まずは“火の龍”から!

燃えても泣かへん、焦げても笑う、これぞ芸人魂や!」


火の玉が夕空に大きな弧を描いた瞬間、

子どもたちが一斉に歓声を上げ、目を輝かせて前へ駆け寄った。


子ども「すげぇ! ほんまに龍みたいや!」

子ども「もう一回! もう一回やってぇ!」


その中のひとりが、太郎の服をちょんちょんと引っ張る。


子ども「兄ちゃん、これあげる」


小さな手のひらには、

素朴な木札に見える“護符”が乗っていた。


太郎「え、ええの?」


子ども「うん。旅の無事のおまじないやって。

お兄ちゃんに渡したらええって、おじさんが言ってた」


太郎は笑って受け取った。


太郎「ありがとな。大事にするわ」


子どもは満足げに走り去っていく。


オカンは火の玉を見てぽつり。


オカン「家の中であれやったら火事なるで。

帝国の家は耐火性高いんかもしれんけど……しらんけど」


太郎「絶対やらせへん!」


芸人は笑顔のまま見送ったが、

太郎は気づかない。


――芸人の視線が、コハクを見た瞬間だけ鋭くなったことに。



カサギを出て、さらに北へ。

帝都に近づくにつれ、街道の整備はより行き届き、

道標や灯籠が規則正しく並び始めた。


旅人の数も増え、衣装もどこか上品で、

王国とは違う“都の香り”が漂ってくる。


そんな中、風に混じって紙と墨の匂いがふわりと漂った。


太郎が鼻をひくつかせる。


太郎「……なんか、文房具屋みたいな匂いするな」


やがて、白い札を吊るした露店が並び始め、

符術の札が風に揺れているのが見えた。


セイカ宿場町だ。


ひよりが札を手に取り、目を輝かせる。


ひより「……これ、魔力の流れが王国のとは違います」


店主が説明する。


店主「帝国の符術は“陰陽師”の技が元になってましてな。

帝都ヘイアンには“陰陽寮”がありまして、皇族を守る結界を張ってはるんですわ」


太郎は思わず聞き返した。


太郎「陰陽師……?」


店主は頷く。


店主「せやけど最近は、陰陽寮の中でも派閥争いが激しゅうてな……」


コハクが少しだけ表情を曇らせた。


コハク「……陰陽寮は、うちの家とも関わりが深いんどす」


オカンは札を見て首をかしげる。


オカン「帝国の人はこういうの信じとるんやなぁ……効くかどうかは知らんけど」


太郎「オカン、陰陽師に適当なこと言うな!」


ユラが小声で囁く。


ユラ「太郎さん、帝都は思ったより“きな臭い”かもしれませんえ」


太郎は胸の奥にざわつきを覚えた。


セイカを出て、石畳の街道をさらに進む。

旅人の数はさらに増え、道の両脇には立派な松並木が続く。

遠くには、巨大な楼閣の影が見え始めた。


夕陽が沈みかけた頃、街道の先に巨大な門が姿を現した。

二階建ての楼閣を備えた壮麗な門――羅城門。


帝国の象徴とも言えるその門は、

まるで太郎たちを試すように静かにそびえ立っていた。


マッチャ「太郎様……ここから先は、ほんまに“帝都”どす」


太郎は門の大きさに圧倒されながら、ぽつりと漏らした。


太郎「なんか……でっかい門やなぁ。入るの気後れするわ」


オカンは羅城門を見上げ、腕を組んでつぶやく。


オカン「昔は鬼とか出たんちゃう?帝国の昔話ってそういうの多そうやし……しらんけど」


太郎「やめて! ほんまに出てくるフラグやんか!」


夕陽に照らされた羅城門は、まるで太郎たちを試すように静かにそびえていた。


帝都ヘイアン――

太郎たちの新たな物語が、いよいよ幕を開けようとしていた。


────────────────────────


マッチャ「太郎様……ここから先は、ほんまに“帝都”どす」

太郎「なんか……でっかいもんやなぁ。入るの気後れするわ」

蒼真「門だけでこの迫力って、帝都どんだけ広いねん」

玲奈「建築様式も王国と全然違う……すごいわね」

ひより「……結界の気配も強いです。さすが帝都」

オカン「昔は鬼とか出たんちゃう? 帝国の昔話ってそういうの多そうやし……しらんけど」

太郎「やめて! ほんまに出てくるフラグやんか!」

ユラ「ふふ……太郎さん、顔ひきつってますえ」

太郎「そら引きつるわ! 鬼とか聞いたら誰でもそうなるやろ!」

マッチャ「大丈夫です。鬼が出ても、私が全力でお守りします」

オカン「ほな安心やな。……たぶん。しらんけど」

太郎「二回目いらんて!」

読んでくれてほんまおおきに。オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と言ってます

もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ