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異世界でオカン(AI)がうるさい 〜追放された俺、最適化されて最強になる〜  作者: トレス=レイ
第三章 キョウ帝国編

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第89話 魔道列車と王都の影

魔道列車の車体が低く唸り、魔力の光がレールを走った。

朝の空気はひんやりとしていて、白い蒸気がゆらりと立ち上る。

太郎たちは順番に乗り込んでいく。


太郎、オカン、晴斗、蒼真、玲奈、ひより、コハク、マッチャ、ユラ、辺境伯、スイター。

十一人の影が、列車の窓に次々と映り込んだ。


列車が動き出すと、魔力の振動が床を伝い、

まるで風そのものに乗っているかのように加速した。

外の景色が一瞬で流れ始める。


晴斗「速っ……! これ、馬車の十倍どころやないやろ!」


蒼真「二十倍は出てるな。魔道技術ってすげぇわ」


玲奈は窓に手を添え、目を輝かせた。


玲奈「王都まで開通してないのが惜しいですね……。でも、この速度なら中間地点まであっという間です」


ひよりは揺れに少し身を縮めながらも、嬉しそうに笑った。


ひより「……すごいです。空を飛んでるみたい……」


そんな中、オカンはすでに駅弁を広げていた。

包み紙を開く音が、車内にやけに元気よく響く。


オカン「ほら太郎、これ食べ。列車で食べる弁当は三割増しで美味いんや」


太郎「発車して五分で弁当開けるんオカンだけやぞ……」


コハクが太郎の隣に腰を下ろし、当然のように弁当を開く。


コハク「太郎様、うちの分も買うてくれはったんやろ?」


太郎「買ってへん。オカンが勝手に配ったんや」


オカン「サービス精神や。うちは“ヒョウガミのオカン”やからな」


太郎「その肩書きやめてくれへん!?」


マッチャは姿勢を崩さず、静かに箸を進めていた。


マッチャ「殿下、食べこぼしはお気をつけください。側近として拭くのはうちの役目です」


コハク「うち、子ども扱いされてへん?」


ユラは膝の上に書類を広げ、揺れる車内でも手際よくページをめくる。


ユラ「太郎さん、王都に着いたら中央商業ギルドに向かいますえ。商会登録の最終手続き、うちが案内しますさかい」


太郎は弁当をつつきながら、財布の中身を思い浮かべてため息をついた。


太郎「金貨千枚……痛い出費やなぁ……」


辺境伯は窓の外を眺めながら、落ち着いた声で言う。


辺境伯「必要経費だ。帝国に支店を出すなら避けて通れぬ」


スイターは列車の揺れを楽しむように、わずかに体を揺らしていた。


スイター「太郎殿、王都は今、混乱の最中だ。気を引き締めていこう」


オカンがスイターの肩をぽんと叩く。


オカン「スイターちゃんも弁当食べ。ヒョウガミ味の弁当食べたら元気出るで」


スイター「……“ヒョウガミ味”とは何味なのだ?」


オカン「特製や!」


太郎は頭を抱えた。


列車は中間地点の仮駅に到着した。

そこはまだ工事途中で、木材の匂いと土埃が混じる、仮設のホームだった。


一行はそこから魔道馬車に乗り換えた。

三台の馬車が連なり、森の中の街道を進んでいく。

木々の間から差し込む光が、車輪の影を細かく揺らした。


先頭のゴーレム馬の眼が赤く光り、

警戒音のような低い唸りを発した。


ゴーレムギギ……ッ


魔力で動く車体が一瞬だけ軋み、

魔道馬車全体がぐらりと揺れた。


太郎「うおっ……なんや!?」


次の瞬間、茂みが激しく揺れ、黒い影が飛び出す。


魔物「ギャアアアッ!!」


晴斗と蒼真が同時に立ち上がる。


晴斗「来たな!」

蒼真「任せろ!」


二人は馬車から飛び降り、

ゴーレム馬の魔力灯が戦場を照らす中、

剣が閃き、魔物の咆哮が森に響いた。


数秒後には、魔物は地に伏していた。


玲奈「……相変わらず強いですね」


ひより「安心しました……」


オカンは拍手しながら言う。


オカン「お見事! 帰ったらヒョウガミ饅頭あげるわ!」


太郎「オカン、それ勝手に名物にすな!」


王都に到着すると、巨大な城壁が夕陽に照らされていた。

街の喧騒が遠くから聞こえ、活気と緊張が入り混じった空気が漂っている。


中央商業ギルドは石造りの堂々たる建物で、

中に入ると香辛料と紙の匂いが混じった独特の空気が流れていた。


受付に案内されると、商会長ドウシュウが現れた。


ドウシュウ「おお、あなたが太郎殿ですか。噂は聞いておりますぞ」


太郎「ど、どうも……」


ドウシュウ「帝国に支店を出すのは素晴らしい。できれば王都にも支店を開いていただきたい!」


太郎は固まった。


太郎「……え、王都にも?」


ユラが小声で囁く。


ユラ「太郎さん、商業科の学生に任せたら大丈夫ですえ」


太郎「……心配しかないんやけど」


オカンが横から口を挟む。


オカン「学生さんに任せるんやったら、うちが“商売の心得”教えたるわ」


太郎「オカン、それ一番アカンやつ!!!」


それでも手続きは順調に進み、太郎は金貨千枚を支払い、正式に商会登録を完了した。


その夜、一行は王城の客室に泊まることになった。病床の王が太郎を呼び、静かに頭を下げる。


王の部屋は薄暗く、薬草の香りが漂っていた。枕元の蝋燭が揺れ、王の影を壁に映し出す。


王「……すまぬ。ビリケーン教の言いなりになり、勇者召喚など……本来あってはならぬことをしてしまった」


太郎は驚き、思わず一歩前に出た。


太郎「頭なんて下げんといてください。俺は……もう気にしてへん」


王は弱々しく微笑む。


王「勝手な願いだが……スイターのことを頼む。あの子は……本来、巻き込まれるべきではなかった」


太郎は静かに頷いた。


太郎「……わかりました。スイターはええ子や。困ったことあったら、俺が助けたるわ」


後ろでオカンがそっと言う。


オカン「太郎、あんたは優しい子や。うち、誇りやで」


太郎は照れくさそうに顔をそむけた。


王都の夜は静かで、どこか不気味なほどに冷たかった。


────────────────────────


オカン「ほら太郎、列車乗ったらまず弁当や。胃袋が旅の準備やで」

太郎「旅の準備は荷物やろ! 胃袋ちゃう!」

晴斗「でもオカンさんの弁当、普通に美味しいんだよなぁ……」

蒼真「わかる。戦闘前に食ったらバフかかりそうや」

玲奈「“ヒョウガミバフ”……名称がすでに不安です」

ひより「でも、ちょっと元気出ますよね……」

コハク「太郎様、うちの分もありますえ? 婚約者特典として」

太郎「特典つけんでええ! そもそも婚約者ちゃう!」

マッチャ「殿下、太郎はん困ってはります。ほどほどに」

ユラ「太郎さん、王都着いたらすぐギルド行きますえ。弁当食べすぎ注意です」

辺境伯「……私はなぜ“特盛”を渡されたのだ?」

スイター「太郎殿、この“ヒョウガミ味”……本当に食べてよいのか?」

オカン「食べたら強くなるで! 保証はせんけど!」


読んでくれてほんまおおきに。オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と言ってます

もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。

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