第85話 異世界人と三国会談
迎賓館の大広間には、重い空気が満ちていた。
皇帝、オーダ、王太子スイター、辺境伯、そして太郎。
三国の代表が一堂に会するなど、普通なら年に一度あるかどうかの大事だ。
太郎(……なんで俺がこんな席に座ってんねん……胃が……)
皇帝は静かに立ち上がり、威厳そのものの声で口を開いた。
「太郎殿。こたびは急な訪問にもかかわらず、会談の席を設けていただき、まこと感謝する」
太郎(応じてへんけど……言えへん……)
皇帝は視線を巡らせ、ゆっくりと太郎の街の方角を見やった。
皇帝「太郎殿の街、コハクからも聞いておったが……実際に目にすると、まこと雅である。先ほどのワイバーンを撃ち落とした“回転式魔導砲”も見事であった」
太郎「あ、ありがとうございます……」
(ガトリング銃のことやな……)
皇帝は太郎に向き直る。
皇帝「太郎殿。そなたは王国の召喚術により、この世界へ呼ばれた……その理解で相違ないか?」
太郎は深呼吸し、これまでの経緯を説明した。
召喚されたこと、王国との決裂、街を作った理由。
政治的に角が立たないよう、慎重に言葉を選びながら。
皇帝は静かに頷く。
皇帝「……なるほど。異世界人がここまでの街を築くとは、驚嘆に値する」
その言葉に、辺境伯が慌てて口を開いた。
辺境伯「皇帝陛下、太郎殿は王国の敵ではございません! ビリケーン教の暴走であり、王国としてはギーフ国を攻める意図など──」
皇帝は辺境伯を制するように手を上げた。
皇帝「王国は、ギーフ国を攻めるために召喚術を行使した……そういう話も耳にしておるが?」
スイター「い、いえ! 違います! 断じて!」
スイターは震えながら必死に否定する。
太郎(いや、ほぼ合ってるやろ……)
そのとき、オーダが静かに口を開いた。
控室で名古屋弁を喋っていたなど、太郎は知る由もない。
オーダ「皇帝陛下。仮に王国が我が国へ侵攻したとしても……返り討ちにするのみでございます」
その声音は重く、威厳に満ちていた。
辺境伯は青ざめ、スイターは小さく悲鳴を上げた。
オーダは太郎に視線を向ける。
オーダ「太郎殿。我が祖父、オーダ=ノブサダは異世界より来たりし者。三八式歩兵銃を魔導銃へと改造し、この世界の戦の形を変えた人物でございます」
太郎は息を呑んだ。
太郎(……やっぱり異世界人の血筋か……)
オーダ「異世界人は、世界を変える力を持つ。太郎殿、そなたもまた……その一人であろう」
太郎(やめてくれ、その期待……!)
オーダは続ける。
オーダ「我がギーフ国は、そなたと敵対する意志はない。むしろ友好を望む」
太郎は戸惑いながらも頷いた。
太郎(控室で何話してたか知らんけど、なんかめっちゃ好意的やん……?)
皇帝も静かに言葉を継ぐ。
皇帝「太郎殿。先ほどの“回転式魔導砲”の威力、まこと驚嘆した。しかし、あれを他国へ安易に販売することは避けるべきだ」
太郎「……ですよね……」
「販売は……ミスリルの剣程度までに留めるのが良いだろう」
オーダも頷く。
オーダ「我が国も異論はござらぬ。あの武器が無秩序に流通すれば、戦乱は拡大するのみ」
太郎(……控室で何話してたんやろ……? なんか二人とも息合ってるやん……)
皇帝はふと表情を和らげた。
皇帝「太郎殿。そなた、コハクの婿となる気はないか?」
太郎「はああああああああ!?!?」
ひより「だめです!!」
玲奈「だめです!!」
太郎(なんでお前らが即答やねん!!)
コハクは扇子を揺らしながら微笑む。
コハク「うちは別にかまいませんどすえ?」
太郎「かまうて!!」
オーダは口元をわずかに緩め、辺境伯は頭を抱えた。
皇帝は咳払いし、再び厳しい表情に戻る。
「さて、話を戻そう」
太郎(戻るんかい!!)
オーダ「続けられよ、陛下」
スイター(……帰りたい……)
会談は、混乱と緊張の中で続いていくのだった。
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太郎「……なんや今日、寿命が三年くらい縮んだ気がする」
蒼真「三年で済んでるなら安いもんやろ」
太郎「安ないわ!!」
ユラ「太郎さん、さっき皇帝陛下に“婿に来い”って言われた時の顔……忘れません」
太郎「忘れてくれ!!」
ひより「ていうか、なんで私たちが即答で反対したんでしょうね?」
玲奈「……気づいたら口が勝手に動いてた」
スイター「ぼ、ぼくは……太郎殿が婿に行ったら泣きます……」
太郎「なんでお前が泣くねん!」
オカン「アンタ、今日はもう風呂入って寝ぇ。顔が死んどる」
コハク「太郎はん、明日も会談ありますえ?」
太郎「やめてくれぇぇぇ!!」
読んでくれてほんまおおきに。オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と言ってます
もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。




