第84話 三勢力集結、非常識都市の門前にて
皇帝とオーダの大行列が、太郎の街へと近づいていた。街の城壁の上では、防衛隊が緊張した面持ちで見守っている。
防衛隊員A「……あれ、なんや……?」
空に、黒い影が二つ。ワイバーンが旋回しながら、一行めがけて急降下してきた。
防衛隊長「ワ、ワイバーンや!! ガトリング銃、構えぇ!!撃てぇぇぇ!!」
城壁に据え付けられた魔導ガトリング銃が火を噴く。
同時に──
オーダ「三八式魔導銃、放てぇ!!」
ギーフ兵の銃兵隊が一斉に魔導弾を放つ。
二方向からの集中砲火を浴びたワイバーンは、悲鳴を上げながら地面へと墜落した。
皇帝「……見事だ」
オーダ「……今の連射、尋常ではないな」
太郎「なんや、あのマシンガンみたいな武器は!!」
学生A「太郎様! 魔導式多銃身回転砲、通称“ガトリング”です!」
太郎「名前が物騒すぎるわ!!」
オーダ(……三八式魔導銃よりすげぇんじゃねぇか……?)
皇帝(……非常識極まりない)
街の城門前で、太郎たちは三勢力を迎えた。
皇帝「帝国皇帝、ギオン=コウコである。急な訪問にもかかわらず、よくぞここまで整えた」
オーダ「ギーフ国王、オーダ=ノブナガである。本日は世話になる」
王太子スイター(……こ、怖い……でも挨拶しなきゃ……)
スイター「カ、カワチ王国王太子……スイターと申します……」
太郎(ちびってへんやろな……?)
太郎は胸に手を当て、背筋を伸ばし、片足を引いて優雅に一礼した。
元の世界で読んだ“貴族の礼法”の本を思い出しながら、ぎこちなくも正確に動作をこなす。
太郎「太郎と申します。遠路はるばる、お越しいただき、心より歓迎いたします」
勇者たち「太郎が……貴族みたいに挨拶してる……!」
オカン「勉強して役に立たんことはないんやで」
皇帝(……所作が洗練されている。異世界人とは思えぬ)
オーダ(……なんやこいつ、堂々としとるがね……)
皇帝とオーダは街を見渡す。
皇帝(……石畳の道路、整然とした区画、商業の活気……非常識すぎる)
オーダ(……なんやこの街……祖父の時代より発展しとるがね……)
しかし二人とも表情には出さない。
太郎は迎賓館へ案内し、兵たちは野営地へ誘導された。
迎賓館の控室──
◆ギーフ国控室
オーダ「おいハーシバ、見たかん? あのガトリングとかいうヤツ。あれ、めっちゃ速く弾ばらまいとったがね!」
ハーシバ「三八式魔導銃なんぞより、バカ強ぇかもしれんがね!」
オーダ「街ん中もすごかったて!石畳はピカピカやし、店の数もえらいこっちゃやて!なんやここ、国ひとつ分より発展しとるがね!」
アケッチ「お館様、お館様……!素、出とりますで……!威厳、威厳をお保ちくださりませ……!」
オーダ「……わ、分かっとるて!ちょっと興奮しただけだがね……!」
ハーシバ「お館様、さっきからニヤニヤしっぱなしやて! なんやええことでもあったんかね!」
オーダ「しとらんわ! しとらんて言っとるがね!!」
アケッチ(……完全に素やがね……)
◆帝国控室
皇帝「……お前たち、聞いていた以上に非常識極まりないぞ」
コハク「父上、これでもまだ序の口どす」
マッチャ「決して狼狽なさらず、皇帝としての威厳を」
皇帝「……心得た」
◆王国控室
スイター(……ぼ、ぼく……生きて帰れるかな……)
辺境伯「殿下、ちびっておられなくて何よりです」
スイター「ち、ちびってません!!」
辺境伯「念のため、会談前にトイレへ行かれよ」
迎賓館の大広間。
三勢力がついに一堂に会する。
太郎(……なんで俺がこんな大物たちの真ん中に……?)
皇帝「では──始めよう」
オーダ「太郎よ、覚悟して聞け」
太郎「ひぃぃぃぃ……!」
────────────────────────
太郎(……胃が……もう限界や……)
ユラ「太郎さん、顔色やばいですよ!」
蒼真「倒れる前に水飲んどけ」
太郎「言い方ァ!!」
スイター「た、太郎殿……ぼくも緊張で手が震えて……」
太郎「俺の手も震えとるわ!!」
辺境伯「……この会談、無事に終わる気がしないのだが」
玲奈「太郎くん、深呼吸しよ。ほら、吸って……」
ひより「吐いて……はい、もう一回……」
オカン「アンタ、背筋伸ばし! 猫背はあかん!」
コハク「ふふ……太郎はん、逃げられまへんえ?」
太郎「お前が一番怖いんや!!」
マッチャ「太郎様、覚悟を決める時でございます」
読んでくれてほんまおおきに。オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と言ってます
もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。




