第83話 非常識都市、来訪前夜の奔走
朝の太郎の街は、妙な熱気に包まれていた。
商業区では店主たちが棚を磨き、
職人街ではハンマーの音が軽快に響き、
学生たちは外交施設の庭園に花を植え続けている。
そんな中、太郎たちの前に学生が息を切らして走ってきた。
学生B「太郎様! ダンジョン産のブドウと米でワインと酒を造りました!かなりの上物です。ご試飲されますか!」
太郎「未成年や飲めるか!なんで酒まで造ってるんや! お前も未成年やろ!」
学生B「え? 酒は十五歳から飲めますが……?太郎様はおいくつなのでしょうか?」
太郎「??? こっちじゃ十五歳から飲めるん?……じゃあ、一口だけ」
玲奈「太郎くん、だめだよ」
ひより「そうだよ太郎さん……!」
オカン「こっちとルールは違うけど、まだやめとき。酒に飲まれてまうで」
晴斗「じゃあ、俺が」
一同「お前もあかん!」
太郎「……マッチャ、味を確認してくれへん?出してもいいやつか知りたいねん」
マッチャ「承知しました」
マッチャはワインを少量口に含み、静かに目を閉じた。
マッチャ「……これは。果実の香りが深く、雑味がまったくありません。米酒も同様に、澄んだ甘みと切れがございます。
どちらも“ほかでは飲めない風味”どす。贈答品としても、必ず喜ばれます」
学生B「やったぁ!」
コハク「太郎はんの街、ほんま非常識どすなぁ。父上、絶対気に入るわ」
太郎「気に入らんでええ!!」
マッチャ「太郎様。非常識は帝国において最強の誉れでございます」
太郎「その価値観やめろ!!」
ユラ「太郎さん! 職人街の準備、ほぼ終わりました!」
太郎「ユラ……お前まで張り切らんでええ!!」
オカン「アンタら、朝から何を騒いどるんや」
太郎「オカン……皇帝とオーダが来る準備で大変なんや」
オカン「そんなん知っとるわ。せやからウチは“おもてなしセット”作っとる最中や」
太郎「何勝手に作っとんねん!!」
オカン「商売のチャンスやろ。大阪の血が騒ぐんや」
マッチャ「オオサカ……? どこの国でございますか?」
太郎「知らんでええ!!」
外交施設の前に、重厚な馬車が二台停まった。
辺境伯「……太郎殿。少し目を離すと、街がまた化けておるな」
太郎「うわ、もう来たんかい!!」
王太子スイターが馬車から降り、街を見回す。
スイター「……すごいです。本当に、ここまで発展しているとは……」
太郎「知らん間に勝手に増殖しとるんや!!」
辺境伯が太郎に詰め寄る。
辺境伯「太郎殿。なぜ皇帝陛下と武王オーダ様が同時に来られるのだ。王国としても重大事だぞ」
太郎「知らへんわ!!俺が聞きたいわ!!」
スイター「た、太郎殿……。本当に、ご存じないのですか……?」
太郎「知らん言うてるやろ!!」
スイターは不安げに眉を寄せた。
スイター「……その……。ぼく、少し……心配です。このままでは、王国が失礼をしてしまうかもしれません」
太郎「お前まで不安煽るな!!」
辺境伯は額を押さえた。
辺境伯「……太郎殿に任せておくと、とんでもないことになるのではないか」
太郎「なんでやねん!!」
コハク「太郎はんは非常識どすけど、悪い人やあらしまへん」
辺境伯「その“非常識”が問題なのだが……」
太郎「俺のせいちゃうやろ!!」
太郎(……あかん。隠しきれん。どないすれば……このままやと胃が死ぬ……)
ユラ「太郎さん、顔色真っ青ですよ!」
蒼真「死ぬ前に準備を終わらせろ」
太郎「言い方ァ!!」
オカン「アンタ、胃薬飲む?」
太郎「飲む!!」
領主館は皇帝・オーダ仕様に改装され、野営地には巨大な陣幕が張られ、
外交施設は王太子・辺境伯用に整えられ、職人街は贈答品を量産し、街全体が緊張に包まれていく。
マッチャ「太郎様。これで全勢力を迎え入れ可能でございます」
太郎「可能にせんでええ!!」
辺境伯「……本当に大丈夫なのか、この街は」
スイター「ぼ、ぼくも……心配です……」
太郎「俺も心配や!!」
そのとき──
街道の向こうから、地鳴りのような足音が響き始めた。
住民A「き、来た……!!」
住民B「帝国の大行列や!!」
住民C「ギーフ国の旗も見える!!」
太郎「……うわああああああああああああ!!」
コハク「太郎はん。ほんまの外交、ここからどすえ?」
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太郎「……あかん、胃が……限界や……」
ユラ「太郎さん、深呼吸してください!」
オカン「アンタ、胃薬飲んだんやから気合い入れんかい」
太郎「気合いで治る胃ちゃうねん!!」
スイター「た、太郎殿……本当に大丈夫なのですか……?」
太郎「大丈夫ちゃうから震えてんねん!!」
辺境伯「……やはり太郎殿に任せておくのは危険ではないか」
晴斗「今さら気づいたんかい!」
玲奈「太郎くん、落ち着いて。ほら、水」
ひより「太郎さん、がんばって……!」
コハク「ふふ……太郎はんの非常識、父上が楽しみにしてはるで」
太郎「その“楽しみ”が一番怖いんや!!」
マッチャ「太郎様、覚悟を決める時でございます」
読んでくれてほんまおおきに。オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と言ってます
もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。




