第8話 ヒョウガミ信仰と狂気の修行
ミスリル鉱山から戻って一週間。
俺の屋台の前には、今日も長蛇の列ができていた。
「太郎くん、タコ焼き三舟!」
「お好み焼き二枚追加で!」
「ヒョウガミ様の加護を……!」
太郎「いや俺、神主ちゃうねん!」
叫んでも無駄だった。
街の“熱”はさらに加速していた。
オカン「太郎、見てみ。広場に新しいもん建っとるで」
太郎「新しいもん?」
屋台の隙間から覗くと――
豹柄の石像が建っていた。
太郎「……ヒョウガミ像やん!」
オカン「せや。街の人が勝手に作ったらしいで」
太郎「勝手に!?」
オカン「太郎の屋台が“聖地”扱いされとるからな」
屋台の横には絵馬のような木札がずらり。
「商売繁盛」
「恋愛成就」
「家内安全」
「タコ焼きがもっと美味しくなりますように」
太郎「最後の願い事なんやねん!」
オカン「ええ願いやん」
太郎「よくねぇよ!」
*
昼過ぎ、屋台が落ち着いた頃。
オカンが言った。
オカン「太郎、修行の時間や」
太郎「またかよ……」
オカン「ミスリル鉄板とコテ手に入れたんや。今こそ本気出すときや」
太郎「嫌な予感しかしない……」
オカンが光のメニューを開く。
【オカン式・狂気の修行メニュー(最新版)】
・ミスリル鉄板を担いで街一周
・キャベツ千切り1万回
・タコールの生け捕り
・魔力制御で鉄板の温度を一定に保つ訓練
・コテ二刀流でレイピアスキル応用
・お好み焼きの空中返し1000回
太郎「死ぬわ!」
オカン「死なん死なん。太郎はやればできる子や」
太郎「根拠は!?」
オカン「勘や」
太郎「勘かよ!」
*
修行は地獄だった。
だが――
【スキル:<ハヤブサ切り>が<ハヤブサ乱舞>に進化しました】
【スキル:<魔力制御中級>が<魔力制御上級>に進化しました】
【スキル:<レイピア基礎>が<レイピア初級>に進化しました】
【スキル:<レイピア初級>が<レイピア中級>に進化しました】
【スキル:<二刀流基礎>を習得しました】
太郎「……なんか強くなってる気がする」
オカン「せやろ? 料理は戦いや」
太郎「料理で戦闘スキル上がる世界おかしいだろ!」
オカン「おかしくない」
太郎「おかしいわ!」
*
その日の夕方、ギルドに呼ばれた。
ギルド職員「太郎くん、あなたに依頼が来てるわ。街道の盗賊団討伐よ」
太郎「盗賊団……?」
オカン「太郎、これ……ただの盗賊ちゃうで。動きが揃いすぎとる。ミスリル鉱山のゴーレムと同じや」
太郎「つまり……誰かが裏で操ってる?」
オカン「せや。しかも――王室の命令受けた貴族や」
太郎「貴族……!」
オカン「ヒョウガミ信仰が広がりすぎて、焦っとるんや」
太郎「そんな理由で盗賊団操るなよ!」
オカン「世の中そんなもんや」
太郎「そんなもんでいいのかよ!」
*
太郎「……オカン、行くぞ」
オカン「せや。太郎、次は盗賊団や。裏におる黒幕、炙り出したるで」
オカン妖精モードがホログラムで現れ、豹柄パーマが揺れる。
俺はミスリル製コテとピックを握りしめた。
オカン「太郎、その短剣もう使わんやろ。コテとピックのほうが相性ええし、ストレージ入れとき」
太郎「……そやな」
太郎は腰の短剣を外し、サーバーストレージへしまった。
太郎「絶対に……負けねぇ」
【山田太郎】
職業:あきんど レベル:1(固定)
■基本ステータス
筋力:E 敏捷:E+↑ 体力:E
魔力:E-↑ 精神:E+ 知力:E+
器用:D+↑ 幸運:F
■内部ステータス
内部レベル:21
内部補正:全ステ+52%
内部幸運:D
経験値:オカンが全て再投資中
■ユニークスキル
<オカン>
└<鑑定+3> <経験値運用> <サーバーストレージ> <未来予測>
■スキル
<魔力制御上級(進化)>
<武術基礎>
└<回避>
<剣術基礎>
└<高速刺突> <レイピア中級(進化)> <ハヤブサ乱舞(進化)> <二刀流基礎(new)>
<生産技術初級>
└<鍛治初級> <調理初級>
■装備
冒険者防具一式(軽装)
ミスリル製コテ
ミスリル製鉄板
ミスリル製ピック
ゴーレムの指輪
太郎「……内部レベル21って、もう“あきんど”の成長曲線ちゃうやろ」
オカン「太郎、商売は戦いや。戦場が市場か厨房かの違いや」
太郎「厨房で魔力制御が“上級”になる世界どこにあんねん!」
オカン「ここや」
太郎「即答すな!」
オカン「それにな太郎、ハヤブサ乱舞も覚えたやろ?」
太郎「覚えたけど! なんでキャベツ千切り1万回で進化すんねん!」
オカン「キャベツは魔力の流れ読む練習に最適や」
太郎「初耳やわそんな理論!」
オカン「二刀流も覚えたやん。コテとピックで二刀流、かっこええで」
太郎「武器の概念どうなっとんねん!」
オカン「武器は心や。素材は関係あらへん」
太郎「名言っぽいけど意味わからん!」
オカン「まあ太郎、まだ伸びるで。上級の先も見えとる」
太郎「上級の先ってなんやねん!」
オカン「企業秘密や」
太郎「なんでスキル成長に企業秘密があるんや!!」
読んでくれてほんまおおきに。主人公は最弱ステータスやのに、自作AIだけは最強クラスでついてくるというバグみたいな状況で冒険しとります。
オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と作者より前に出てくる始末です。
もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。
この作品はカクヨムにも同時投稿しており、どちらでも読みやすいように調整しています。更新はできるかぎり 毎日2回(朝6時/夜20時)でがんばります。




