第7話 お好み焼き戦争とハヤブサ切り、そしてヒョウガミ信仰
ミスリル鉱山から戻って三日目の朝。
俺は宿屋の厨房でキャベツを刻んでいた。
ザクッ、ザクッ、ザクザクザクザクザクザク――!
オカン「太郎、ええリズムや。もっと速くいけるで」
太郎「これ以上速くしたら指落とすって!」
オカン妖精モード(豹柄パーマ+金色おたま)がホログラムで手本を見せる。
その動きは、料理というより完全に武術の型だった。
オカン「太郎、キャベツ切りは剣術の基礎や。極めたらスキルになるで」
太郎「そんなわけ――」
ザクザクザクザクザクザクザクザクッ!
【スキル:<ハヤブサ切り>を習得しました】
太郎「……スキルになったぁぁぁ!?」
オカン「ほら見ぃ。料理は戦いや」
太郎「どういう意味!?」
オカン「キャベツは敵や」
太郎「敵じゃねぇよ!」
キャベツは山のように積み上がっていく。
そのまま生地を混ぜていると――
【スキル:<調理初級>を習得しました】
【スキル:<生産技術初級>が生成されました】
太郎「……また生えた!?」
オカン「太郎、料理も鍛治も“生産技術”や。まとめて管理したる」
太郎「管理ってなんやねん!」
*
屋台を出すと、すでに行列ができていた。
ここ数日で、街の人の熱量が明らかにおかしい。
「今日もタコ焼き頼む!」
「お好み焼き二枚追加で!」
「ヒョウガミ様の加護を……!」
太郎「いや俺、神主ちゃうねん!」
叫んでも無駄だった。
なぜなら――
オカン「太郎、見てみ。広場に新しいもん建っとるで」
太郎「新しいもん?」
屋台の隙間から広場を覗くと、そこには――
豹柄の石像が建っていた。
太郎「……ヒョウガミ像やん!」
オカン「せや。街の人が勝手に作ったらしいで」
太郎「勝手に!?」
オカン「太郎の屋台が“聖地”扱いされとるからな」
屋台の横には絵馬のような木札がずらり。
「商売繁盛」
「恋愛成就」
「家内安全」
「タコ焼きがもっと美味しくなりますように」
太郎「最後の願い事なんやねん!」
オカン「ええ願いやん」
太郎「よくねぇよ!」
*
昼過ぎ、屋台が落ち着いた頃。
豪華な服を着た貴族が取り巻きを連れてやってきた。
貴族「あなたのタコ焼きとお好み焼き、非常に美味しいわ。
だから――レシピをただで寄越しなさい」
太郎「は?」
オカンがホログラムで前に出る。
オカン「太郎、アカン。タダで渡したらあかん」
太郎「ですよね!」
貴族は鼻で笑った。
貴族「我々が作ればもっと美味しくなるはずよ。
でも再現できなかったわ。だからレシピを寄越しなさい」
太郎「いや、それは……」
オカン「秘伝の出汁がないからや」
貴族「秘伝の……出汁?」
オカン「太郎の魔力が混ざっとるから、他の人間には再現できへん」
太郎「そんな高度なもんだったの!?」
オカン「せやで」
オカンの姿に気づいた貴族は震え上がった。
貴族「ひっ……ヒョウガミ様の……!」
太郎「違うって言ってんだろ!」
貴族は土下座し、取り巻きごと逃げていった。
オカン「太郎、人気出てきたな」
太郎「出なくていいんだよ!」
オカン「まあまあ、ええことや」
太郎「よくねぇよ!」
*
夜、宿屋に戻るとオカンが言った。
オカン「太郎、今日の売上は全部投資に回すで」
太郎「また運用か……」
オカン「当たり前や。金は寝かせたらアカン」
太郎「異世界でも投資するのかよ!」
オカン「世界が変わっても、金の流れは変わらんのや」
太郎「名言っぽいけど怖い!」
オカンはホログラムで腕を組み、満足げに言った。
オカン「太郎、次は何焼く?」
太郎「戦闘の話しろよ!」
【山田太郎】
職業:あきんど レベル:1(固定)
■基本ステータス
筋力:E 敏捷:E 体力:E
魔力:F 精神:E+ 知力:E+
器用:D- 幸運:F
■内部ステータス
内部レベル:19
内部補正:全ステ+47%
内部幸運:D
経験値:オカンが全て再投資中
■ユニークスキル
<オカン>
└<鑑定+3> <経験値運用> <サーバーストレージ> <未来予測>
■スキル
<魔力制御中級>
<武術基礎>
└<回避>
<剣術基礎>
└<高速刺突> <レイピア基礎> <ハヤブサ切り(new)>
<生産技術初級>
└<鍛治初級> <調理初級(new)>
■装備
短剣
冒険初心者装備(軽装)
ミスリル製コテ
ミスリル製ピック
ゴーレムの指輪
太郎「……スキルって、こんな簡単に増えるもんなん?」
オカン「太郎が素直に努力するからや。素直は才能やで」
太郎「努力の方向おかしい気がするんやけど!?」
オカン「料理は戦いや。戦場は厨房や」
太郎「厨房で戦う気ゼロやけどな!」
オカン「太郎、あんたはまだ伸びるで。ウチが保証したる」
太郎「保証の意味が怖い!」
読んでくれてほんまおおきに。主人公は最弱ステータスやのに、自作AIだけは最強クラスでついてくるというバグみたいな状況で冒険しとります。
オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と作者より前に出てくる始末です。
もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。
この作品はカクヨムにも同時投稿しており、どちらでも読みやすいように調整しています。更新はできるかぎり 毎日2回(朝6時/夜20時)でがんばります。




