第6話 ミスリル鉱山と未来予測
ミスリル鉱山の入口は、昼間だというのに薄暗かった。
風が吹き抜けるたび、金属が擦れるような音が響く。
オカン「太郎、気ぃつけや。ここ、普通の魔物ちゃうで」
太郎「わかってる……けど、なんか嫌な感じするな」
オカン「せや。気配が多すぎる。しかも動きが揃いすぎとる」
太郎「動きが揃ってる……?」
オカン「組織的や。誰かが指揮しとる可能性あるで」
カンッ!
足元の石が弾け飛んだ。
太郎「うわっ!?」
オカン「太郎、上や!」
天井から金属の塊が落ちてくる。
丸い体、短い手足、青く光る目。
太郎「……ゴーレム?」
オカン「せや。ミスリルゴーレム(小)や」
太郎「ミスリル!? これ全部ミスリルなの!?」
オカン「せやで。狩場や」
カンッ! カンッ! カンッ!
十体以上のゴーレムが太郎を囲む。
太郎「ちょ、ちょっと多くない!?」
オカン「太郎、落ち着き。未来予測使うで」
脳内に“動きの線”が走る。
ゴーレムの軌道、拳の角度、踏み込みのタイミング。
全部、見える。
オカン「太郎、右に一歩!」
太郎「えっ!?」
太郎が動いた瞬間、さっきまでいた場所に拳が突き刺さる。
太郎「うおおおお!?」
オカン「次、しゃがみ!」
太郎「うわっ!」
金属の腕が頭上を通り過ぎる。
オカン「太郎、次は後ろに跳ぶ!」
太郎「跳ぶ!? 無理――」
だが体が勝手に反応した。
未来予測が示す“最適ルート”に合わせて自然と動く。
跳ぶ。
転がる。
避ける。
その瞬間、身体が“避ける感覚”を掴んだ。
次の拳が来る。
太郎は未来予測の線に合わせて身をひねる。
――避けられた。
太郎「……今の俺、反射で避けた……?」
オカン「せや太郎。未来予測で避け続けたから、身体が勝手に覚えたんや」
【スキル:<回避>を習得しました】
太郎「……スキル、生えた……!」
オカン「未来予測は“頭で理解する”スキル。
回避は“身体が覚える”スキル。
この二つが揃ったら、太郎はもう当たらへんで」
太郎「当たらへんって言い切るな!」
ゴーレムの拳が迫る。
だが太郎はもう“避ける側”の動きを知っていた。
右へ。
左へ。
しゃがむ。
跳ぶ。
金属の拳がかすりもしない。
太郎「……避けれてる……!」
オカン「せや。太郎、あんたはもう“避ける側の人間”や」
太郎「避ける側ってなんやねん!」
*
オカン「太郎、攻撃もいくで!」
太郎「武器ないぞ!」
オカン「ピックで攻撃や」
太郎「なんでピック!?」
オカン「太郎の剣術スキルは細い武器が一番発動しやすいんや」
太郎「そんなバカな!」
オカン「ほな、突きや!」
太郎は突く。
カンッ!
ピックがゴーレムの目に突き刺さり、青い光が消える。
太郎「……倒した!?」
オカン「せや。太郎、次左!」
戦いの中で、太郎の突きが鋭さを増していく。
【スキル:<高速刺突>を習得しました】
太郎「……なんか、刺突が速くなってないか?」
オカン「せや。太郎の成長や」
太郎は次々とゴーレムを倒していく。
*
奥へ進むと、空気が変わった。
重い。
圧力のようなものを感じる。
オカン「太郎、来るで」
ズシンッ!
地面が揺れた。
暗闇の奥から巨大な影が姿を現す。
全長三メートル。
全身がミスリルの装甲で覆われた巨大ゴーレム。
太郎「……でっか……!」
オカン「ミスリルゴーレム(大)や」
太郎「大ってレベルじゃねぇ!」
ゴーレムが拳を振り上げる。
オカン「太郎、回避や!」
太郎は横へ飛ぶ。
拳が地面を砕く。
未来予測が“次の動き”を示す。
回避が“身体の反応”を補助する。
避ける。
避ける。
避ける。
巨大な拳がかすりもしない。
太郎「……俺、ほんまに避けれてる……!」
オカン「せや。太郎、ここから反撃や!」
太郎「反撃!? ピックで!?」
オカン「ピックでいける。隙間狙い!」
未来予測が“急所の線”を示す。
太郎は跳び、回転し、突き出した。
ピックが胸部の継ぎ目に突き刺さる。
青い光が弾け――
ズシンッ!
巨大ゴーレムが崩れ落ちた。
太郎「……倒した……!」
オカン「太郎、おおきに。これでミスリル大量ゲットや」
太郎「おおきにって……俺が倒したんだぞ……」
オカン「うちは未来予測でサポートしたやろ?」
太郎「まあ……そうだけど……」
*
オカン「太郎、ドロップ品があるで」
目の前には、指輪とミスリルの欠片があった。
オカン「その指輪はゴーレムの指輪やな。ミスリゴーレム(小)作って使役できるで」
太郎「え、ゴーレム使いになるんか」
太郎はミスリルの欠片を拾い上げる。
太郎「……これ、加工できるんかな?」
オカン「太郎、やってみ」
太郎「え、俺が!?」
オカン「せや。やってみんと分からん」
太郎はミスリルを熱し、叩き、形を整える。
不思議と手が動く。
まるで“知っている”かのように。
【スキル:<鍛治>を習得しました】
太郎「……鍛治スキル!? 俺、鍛冶屋でもいけるんか?」
オカン「太郎はあきんどや」
太郎「そこはブレへんのか……!」
太郎はミスリル製のコテを完成させた。
太郎はミスリル製のピックを完成させた。
太郎「……できた……!」
オカン「太郎、次は鉄板やな」
太郎「鉄板まで作るんか……!」
オカン「そらそうや。コテだけあっても焼けへん」
太郎「焼く前提なんやな……」
太郎は鉄板も作り上げた。
オカン「よし、今日はここまでや」
太郎「……お好み焼きは?」
オカン「次回や」
太郎「焦らすなぁ……!」
【山田太郎】
職業:あきんど レベル:1(固定)
■基本ステータス
筋力:E 敏捷:E 体力:E
魔力:F 精神:E+ 知力:E+
器用:D- 幸運:F
■内部ステータス
内部レベル:18
内部補正:全ステ+45%
内部幸運:D
■ユニークスキル
<オカン>
└<鑑定+3> <経験値運用> <サーバーストレージ> <未来予測>
■スキル
<魔力制御中級>
<武術基礎>
└<回避(new)>
<剣術基礎>
└<高速刺突> <レイピア基礎>
<鍛治初級(new)>
■装備
短剣
ミスリル製コテ
ミスリル製ピック
冒険初心者装備(軽装)
ゴーレムの指輪
太郎「……ミスリル製のコテ、ほんまにできたな。重さも丁度ええし」
オカン「太郎、ようやったで。初めての鍛治にしては上出来や」
太郎「いや、俺ほんまに鍛治スキル生えるとは思わんかったわ……」
オカン「太郎は“やればできるあきんど”や」
太郎「なんでも“あきんど”でまとめるな!」
オカン「ほな次は鉄板やな」
太郎「まだ作るんか……!」
オカン「コテだけあっても焼けへんやろ。鉄板は必須や」
太郎「焼く前提やめぇ!」
(鉄板完成)
太郎「……よし、鉄板もできた。これで一段落やな」
オカン「鉄板はストレージ入れとくで。持ち歩いたら腰いわす」
太郎「確かに……あれは重い」
オカン「コテは装備しとき。戦闘にも使えるし、商売道具にもなる」
太郎「戦闘と商売を同列にすな!」
オカン「太郎、あきんどはな、なんでも武器にするんや」
太郎「俺の職業、どこ向かってんねん……」
オカン「次回は焼くで」
太郎「やっぱ焼くんかい!」
読んでくれてほんまおおきに。主人公は最弱ステータスやのに、自作AIだけは最強クラスでついてくるというバグみたいな状況で冒険しとります。
オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と作者より前に出てくる始末です。
もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。
この作品はカクヨムにも同時投稿しており、どちらでも読みやすいように調整しています。更新はできるかぎり 毎日2回(朝6時/夜20時)でがんばります。




