第79話 オーダ上洛と、膨れ上がる太郎の街
ヒロガの街を出ようとしたそのとき、
太郎の腰の魔道具が突然震え、甲高い音を立てた。
太郎「なんや、こんなタイミングで……」
魔道具からユラの焦った声が響く。
ユラ『太郎くん! たいへんや、すぐに戻ってきて!』
太郎「ユラ!? どうしたんや!」
ユラ『トーカイの……オーダ様が上洛するんよ!キョウ帝国の皇帝陛下に会いに来はる!』
太郎「はぁ!? なんでそんな大物が動くねん!」
晴斗「上洛って……戦国時代かいな……」
ユラ『それだけやないんよ…… “カワチ王国にある太郎くんの街にも寄りたい”って言うてる!』
太郎「なんでやねん!! なんでウチの街やねん!!」
蒼真「……いつ来る?」
ユラ『一週間後やって』
太郎「一週間!? ヒロガからだと絶対間に合わん!」
ひより「どうするの……?」
晴斗「詰んだな……」
そのとき、オカンが胸を張った。
オカン「心配いらんで。ウチら、すぐ戻れるわ」
太郎「なんでやねん」
オカン「ダンジョンに“転移先”が設定されとるみたいや。宝珠使えば、いつでもカワチに戻れるで」
太郎「もっと早よ言うてや!!」
オカン「今言うたやん」
太郎は深呼吸し、宝珠を握りしめた。
太郎「……よっしゃ、帰るで!」
光が太郎たちを包み──
次の瞬間、太郎の街のダンジョン入口に立っていた。
太郎「ほんまに一瞬や……助かったわ」
蒼真「急ごう。ギルドで状況を整理する」
ひより「ユラさんも待ってるはず」
太郎たちは街道を駆け抜け、ギルドへ向かった。
◆ ギルド会議室
ユラ「来てくれてよかった……!」
太郎「ユラ、詳しく教えてくれ」
ユラは深刻な表情で資料を広げた。
ユラ「オーダ様は“トーカイの支配者として正式に認めてもらうため”に上洛するんよ。その後で太郎くんの街を視察したいって……
理由は言わんかった。目的は不明のまま」
蒼真「……それが一番厄介だ」
晴斗「歓迎したほうがええんか、警戒したほうがええんか……」
オカン「街の準備もせなあかんしな」
ギルドの空気は重く、
“どう迎えるべきか”の議論が続いた。
そんな中──
玲奈の魔道具が震えた。
玲奈「あ、学生から報告が来てる……」
太郎「お、街の様子か?」
玲奈は淡々と読み上げ始めた。
玲奈「“街の人口が一万を突破しました”」
太郎「はぁ!? ウチの街、二千人くらいやったやろ!?」
玲奈「“ダンジョン産の販売収益で無税状態が続いているため、移住者が急増しています”」
蒼真「……無税なら、そりゃ人は集まる」
玲奈「“交易量は三倍に増加。王都からの商会が複数進出。冒険者ギルドの登録者数も急増中”」
太郎「いやいやいや……なんでこんな短期間で発展しとんねん……」
晴斗「学生の報告は事実だけやからな……逆に怖いわ」
玲奈「“街の外観も大きく変化しています。詳細は現地確認を推奨”って」
太郎「現地確認って……ここギルドの中やし……」
太郎はゆっくりと立ち上がり、
ギルドの窓へ歩いた。
カーテンをめくり、外を見た瞬間──
太郎は言葉を失った。
そこには、
太郎が知っている“田舎の街”ではなく、
人と荷車が行き交い、
新しい建物が立ち並ぶ“新興都市”が広がっていた。
石畳の道は整備され、
露店は倍以上に増え、
遠くには新しい倉庫群が見える。
太郎「………………これはアカンやつや」
蒼真「太郎。オーダが来る前に、状況を把握する必要がある」
ひより「街の人たちも、きっと混乱してるよ……」
太郎「せやな……なんでこんなことになっとんねん……」
ギルドの空気は、緊張と不安で張りつめていた。
太郎は深く息を吸い、仲間たちを振り返った。
太郎「……行くで。ウチの街がどうなっとるか、見に行かなアカン」
こうして太郎たちは、急激に膨れ上がった“自分の街”へと歩き出した。
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太郎「……なぁ、誰かウチの街に何したん?」
晴斗「いや、何もしてへんやろ。勝手に育っとるだけや」
蒼真「人の流れが増えれば、街は自然と変わるものだ」
ひより「自然でこうなるのは……ちょっと怖いね」
オカン「まぁ賑やかなんはええことやけど、オーダ様来るんやろ? タイミング最悪や」
太郎「ほんまそれや! なんでこの一週間で一万都市になっとんねん!」
玲奈「学生いわく“地の利が良すぎるから当然”らしいよ」
晴斗「当然でこうなるか? これもう小国レベルやぞ」
蒼真「オーダがどう受け取るか……それが問題だ」
オカン「太郎、覚悟しとき。あんた、案内役やで」
太郎「なんでやねん!! ウチが一番状況わかってへんのに!」
ひより「でも……太郎さんが一番、街の人に信頼されてるから」
太郎「信頼って便利な言葉やな……逃げたいわ……」
読んでくれてほんまおおきに。オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と言ってます
もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。




