第75話 ノーミ島海底洞窟と潜水鐘ゴーレム
ノーミ島が近づくにつれ、海の色が変わっていった。
青から、濁った黒へ。
そして黒の中に、紫の光がゆらめく。
太郎「……なんやこの不吉な色」
タケベエ「魔牡蠣の魔力が海に漏れとるんじゃ。近づくほど濃ゅうなる」
太郎の肩に乗ったオカンが、じっと海を見つめる。
オカン「魔力の質が濃いなぁ……これは“高級食材の波動”や。胃袋が震えるわ」
太郎「震えんでええわ!! 食材センサーみたいに反応すな!!」
船が島に着くと、タケベエが指をさした。
タケベエ「魔牡蠣はノーミ島の海底洞窟におる。普通に潜るんは無理じゃ。寺から借りた“鐘”を使うんじゃ。潜水鐘いうての」
太郎「なるほど……ほな作るわ」
タケベエ「作るんかい!!」
太郎は島に上陸すると、ミスリルを取り出し、巨大な鐘の形をした構造物を作り始めた。蒼白い金属がみるみるうちに形を成していく。
蒼真「……また始まったな」
晴斗「これ、ほんまに潜るん……?」
太郎「ミスリルは強度は十分やけど……軽いんよな。中に空気入ったら浮力で浮いてまう。せやから、沈むように鉄で“おもり”付けるで。」
タケベエ「ほぉ……よう知っとるの。ミスリルだけじゃ浮いてしまうけぇの」
太郎は底部に鉄のブロックを組み込み、外殻はミスリルで覆い、さらにゴーレム核を埋め込んで制御を可能にした。
そして太郎は、鐘の前面に手をかざす。
太郎「視界悪いと危ないし……ミスリルを“薄膜化”して透明に加工するで。 強度はそのまま、光だけ通すように調整するんや」
ミスリルの一部が、ガラスのように透き通った青白い透明板へと変化していく。
晴斗「うわ……すげぇ……!」
蒼真「ミスリルの透明加工……理論上は可能だが、実際にやるとはな」
オカン「太郎、そこの角度もうちょい広げ。視界狭いと“海の藻屑まっしぐら”やで」
仕上がった鐘は、海底探索に最適化された構造になった。
タケベエ「……このゴーレム、便利じゃの。海の底まで沈む潜水鐘なんぞ、普通は作れんぞ」
太郎「ほな、行くで!」
女性陣は船で待機し、太郎・蒼真・晴斗・タケベエ、そして太郎の肩のオカンが潜水鐘に乗り込む。
晴斗「これ沈むん……?」
蒼真「理論上は問題ない」
タケベエ「かばちたれな。沈むに決まっとる」
太郎「沈むのはええけど……浮いてくるんやろな?」
オカン「太郎、心配しすぎや。沈んで浮かんで、人生みたいなもんや」
太郎「潜水鐘で人生語るな!!」
潜水鐘ゴーレムが海へ沈むと、外の光が黒から紫へと変わり、やがて完全な闇に包まれた。
蒼真が魔法で灯りをつけると、海底にぽっかりと開いた洞窟の入口が見えた。
タケベエ「ここじゃ。海底洞窟の入口」
洞窟内部は空気があり、壁には巨大な魔牡蠣がびっしりと張り付いていた。
太郎「……これ全部、魔牡蠣?」
オカン「立派やなぁ……全部持って帰りたいわ。冷蔵庫パンパンにしたい」
太郎「冷蔵庫で管理できるサイズちゃうやろ!!」
そのとき、壁の魔牡蠣が突然、水を勢いよく噴射してきた。
タケベエ「あれにかかったら腹を壊すけぇ! 避けぇ!!」
太郎「なんでそんなピンポイントなデバフやねん!」
晴斗「うわあああああ!!」
蒼真(余裕で避ける)
オカン「太郎、右や! もっと右! そのまま行ったらお腹ピーピーやで!!」
太郎「お腹ピーピーはいやや!!」
洞窟の最奥にたどり着くと、黒く光る巨大な魔牡蠣が鎮座していた。
太郎「……でっっっか!!」
蒼真「魔力障壁が張られているな。殻が異常に固い」
タケベエが薙刀で殻を叩くと、金属のような硬質音を立てて弾かれた。
タケベエ「……ちぃとやそっとじゃ開かんの」
巨大魔牡蠣は殻を固く閉ざし、魔力の膜が表面を覆っているのが見て取れる。
太郎「どうすんねんこれ……!」
蒼真「魔力障壁が強すぎる。殻を開かせるしかないな」
タケベエが一歩前に出た。
薙刀を構え、殻の合わせ目を睨みつける。
タケベエ「ほんなら――わしが殻をこじあけちゃるから、あんたらはそこからとどめをさしんさい!」
太郎「マジでいけるんか!?」
タケベエ「かばちたれな。ヒロガの男をなめるなよ」
タケベエが薙刀の刃を殻の隙間へねじ込み、全身の筋肉を震わせながら力を込める。
ギギギギ……ッ!
殻が悲鳴を上げるように軋み、魔力の膜が揺らいだ。
タケベエ「今じゃ!! 開いとる!!」
殻がわずかに開いた瞬間、太郎・蒼真・晴斗が一斉に攻撃を叩き込む。
太郎「うおおおおお!!」
蒼真「終わりだ」
晴斗「くらえぇぇ!!」
衝撃が内部に突き刺さり、巨大魔牡蠣は震え、やがて崩れ落ちた。
タケベエが身を取り出し、満足げにうなずく。
タケベエ「これが最高級の旨味じゃ」
オカン「ええソースになるでこれ。ウチの舌が震えてるわ」
太郎「なんでオカンの舌がセンサーみたいに反応すんねん!!」
ヒロガに戻ると、職人が魔牡蠣を見て涙を流した。
職人「これで……本物のオタオタソースが作れる……!」
太郎がストレージからデーツを取り出すと、職人は震える手で調合を始めた。
そして――
職人「……できた……これが……真・オタオタソースじゃ……!」
太郎「ついに……!」
タケベエ「これでヒロガ焼き対決に挑めるの」
オカン「腕が鳴るわ! 太郎、勝ったら“粉もんの覇者”名乗ってええで!」
太郎「いらん称号つけんな!!」
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太郎「……なんかこの魔牡蠣、めっちゃ生で食いたなるな」
晴斗「やめとけ! 腹壊すで! タケベエさんが言うてたやん!」
タケベエ「生で食うたら三日は寝込むぞ。保証するわ」
太郎「保証すな!」
蒼真「そもそも魔力が強すぎて生食は危険だ」
晴斗「じゃあカキフライにしたらいけるん?」
タケベエ「揚げても腹壊すやつは壊す」
太郎「なんの励ましにもならんわ!」
オカン「太郎、あんたはフライにしても壊す側や」
太郎「なんでワイ限定なん!?」
晴斗「でもカキフライは食いたいよなぁ……」
蒼真「戦いの前に食う話をするな」
タケベエ「ほれ、食うか壊すかは後じゃ! まず殻開けるで!」
読んでくれてほんまおおきに。オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と言ってます
もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。




