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異世界でオカン(AI)がうるさい 〜追放された俺、最適化されて最強になる〜  作者: トレス=レイ
第二章 西国編

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第72話 ミヤジ島の神域と神鹿の洗礼

ダンノーラの戦いが終わった直後だった。

光滅の聖槍が怨念の核を貫いた瞬間、黒い霧が逆流するように太郎の腕へ吸い込まれた。


太郎「……なんやこれ、腕がズキズキするんやけど」


腕には、墨のような黒紋が浮かび、脈打つたびにじわりと広がっていく。

まるで怨念が皮膚の下で蠢いているようだった。


蒼真「光滅の聖槍が怨念を吸い込みすぎたんだ。太郎、お前に“残滓”が残っている」

オカン「ほなミヤジ島や。ヒロガ国の神社で浄化してもらわなアカン」


太郎は腕を押さえながら、苦笑いを浮かべた。


太郎「はよ行こ。こんなん背負ったまま飯も食われへんわ」



ミスリルクルーザがミヤジ島へ近づくにつれ、海の色が変わっていった。

深い青から、どこか神聖さを感じる淡い碧へ。

海面には小さな島々が点在し、陽光を受けてきらきらと輝いている。


島の中心には、紅葉に染まった山がそびえ、

海上には巨大な鳥居が立ち、まるで空と海をつなぐ門のようだった。


太郎「なんや……えらい綺麗なとこやな」

ひより「空気が澄んでます……ここ、本当に神域なんですね」


しかし――島に上陸した瞬間。


島民「おう、旅のもんか。かばちたれな」


太郎「いきなりケンカ売られたんかと思ったわ!!」


島民は険しい顔で近づいてくる。


島民「わりゃあどこのもんじゃ。ここに何しに来たん」


玲奈「ひっ……言葉が怖い……!」

ひより「お、怒ってるわけじゃ……ないんですよね……?」


蒼真「この地域の挨拶らしい。“文句言うな”という意味だが……歓迎の言葉だ」


太郎「歓迎の圧が強すぎるわ!」


オカン「大阪の“まいど”より圧強いで。初手で威圧してくる挨拶や」


神社は、海風に揺れる木々の間に静かに佇んでいた。

朱塗りの柱は年月を感じさせながらも、どこか温かい光を放っている。


巫女は太郎の腕を見て、目を細めた。


巫女「……これは深い怨念じゃ。お祓いは二日後になる」

太郎「二日後!? 呪い進行したらどうすんねん!」

巫女「かばちたれな。神事に急ぎは禁物じゃ」


太郎「挨拶で黙らされるの腹立つわ!」


オカン「“かばちたれな”万能すぎるやろ。便利ワードか?」


仕方なく宿で過ごすことになった。


ひより「せっかくなので……ピクニックに行きませんか? 島のガイドブックに

きれいなところがあると書いてるよ」

玲奈「お弁当、私たちで作るね!」


太郎「おお、ええやん!」



翌日。

もみじ谷は、島の奥に広がる“永遠の紅葉”と呼ばれる場所だった。

木々は一年中赤く染まり、風が吹くたびに葉が舞い落ち、

まるで赤い雪が降っているようだった。


川のせせらぎが心地よく、鳥の声が響く。

太郎は思わず深呼吸した。


太郎「ええ場所やん……癒されるわ……」


ひよりと玲奈が作った弁当を広げた、その瞬間。


ガサガサッ!!


魔猿の群れ「キィィィ!!」


太郎「ワイの弁当返せやあああ!!」


魔猿は弁当を奪い、木々の間を縫うように逃げていく。

太郎と晴斗が追い払うが、戻ってきたとき――


太郎「……あれ? 弁当が……」


そこには、神々しい光をまとった鹿――神鹿が、

太郎の弁当をむしゃむしゃ食べていた。


神鹿の毛並みは白く輝き、角は淡い光を帯びている。

その姿はまさに“神の使い”だった。


太郎「おいコラァァァ!!」


太郎が追い払おうとすると通りすがりの島民が

「あれは神の使いじゃけぇ、手ぇ出したらいけんぞ」


太郎「なんでワイの弁当ばっか狙われんねん!!」


神鹿は太郎を一瞥し、ふっと鼻を鳴らして去っていった。

太郎は泣き寝入りするしかなかった


太郎「……ワイ、なんか悪いことした?」

ひより「た、太郎さん……元気出してください……」

玲奈「残った分で食べよ……?」


ピクニックは、涙の味がした。



二日後、神社へ向かうと巫女が告げた。


巫女「神託が降りた。朝早く島の山に登り、頂上で“聖なる光”を浴びよ」

太郎「山登りかい!」

巫女「かばちたれな。神の道は厳しいんじゃ」


太郎「もう慣れてきたわその挨拶!」


オカン「“かばちたれな”言われたら負けやと思え」


山道は静かで、風の音だけが響いていた。

木々の隙間から見える海は、陽光を受けて銀色に輝いている。

太郎の腕の黒紋は、山を登るごとにじわじわと疼きを増していった。


やがて、視界が開けた。


山頂は、島々と海を一望できる“高台の神域”だった。

海から吹き上げる風が心地よく、

中央には淡い光を放つ“祓いの柱”が立っている。


光が太郎の腕を包み、黒紋がじりじりと焼かれていく。


太郎「ぐっ……! でも……これで……!」

ひより「太郎さん……がんばって……!」


光が収まると、黒紋は完全に消えていた。


太郎「助かったわ……もう弁当盗られても怒らん……いや怒るけど!」


オカン「元気そうで何よりや。でもな、弁当盗られて怒らんで何時怒るんや」



太郎が山頂から海を見下ろすと――

穏やかな海の向こうに、無数の帆を掲げた船団が現れていた。

島々の間を縫うように進むその船には、

見覚えのある紋章がはためいている。


蒼真「……海賊か?」


オカン「ちゃう、ムラカ水軍や。海の武士団やで」


太郎「なんでこっち来とんねん!!」


オカン「太郎の弁当の匂いにつられて来たんちゃう?」


太郎「そんなわけあるかい!」


新たな波が、太郎たちへ迫っていた。


────────────────────────


太郎「おいおい……なんやあの船の数。絶対ええ知らせちゃうやろ」

蒼真「帆に描かれた紋……ムラカ水軍で間違いない」

オカン「かばちたれな、太郎。落ち着きぃや」

太郎「いや今の“かばちたれな”は絶対落ち着かせる気ないやろ!」

玲奈「水軍って……海の武士団なんだよね? 味方……なの?」

晴斗「見た感じ、ぶち怖いんやけど……」

ひより「た、太郎さん……また戦いになるんでしょうか……」

太郎「ワイの弁当盗った神鹿よりはマシやろ……いやどっちも怖いわ!」

蒼真「来るぞ。構えろ」

島民(山の下から)「おーい! かばちたれな! 水軍が上陸するぞ!」

太郎「だから挨拶の圧が強いねん!!」

オカン「ほな行こか。ヒロガ編、開幕やで」

太郎「勝手に開幕すな!!」

読んでくれてほんまおおきに。オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と言ってます

もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。

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