第68話 観光地シューホー大迷宮
ヤマツ国の山道を抜けると、巨大な石造りの門が姿を現した。
その上には金色の文字でこう刻まれている。
<大迷宮シューホー>
しかし――太郎たちが想像していた“危険な迷宮”とはまるで違った。
太郎「……なんやこれ。テーマパークか?」
入口周辺には露店、土産物屋、写真撮影スポット、
さらには「迷宮Tシャツ」まで売られている。
晴斗がパンフレットを手に取った。
晴斗「“3日間コース”“1週間コース”“初心者向け10階層ツアー”……完全に観光地だよ、これ」
蒼真「……だが迷宮自体は本物だ。油断するな」
近くのガイドが声をかけてきた。
「兄ちゃんら、迷宮行くんか? 今は49階層まで攻略されちょるけぇ。50階層はの、S級が10年挑んどるけど、まだ誰も突破できちょらん。最深部がどこまであるんか……誰も知らんのじゃ」
太郎「ロマンあるけど、怖い話やな……」
ガイドは続ける。
「わしらガイドが行けるんは10階層までじゃ。11階層からは魔物が一気に強うなる。40階層はS級でも命がけじゃけぇ、気ぃつけんさいよ」
太郎「なるほどな……」
晴斗「でもさ、食料はサーバーストレージに山ほどあるし、最悪一年は余裕で暮らせるよね?」
太郎「せっかくやし、行ってみるか」
蒼真「……どうせ塾長は奥に潜んでいる」
玲奈「じゃあ、地図買っとこ。49層までのやつ」
露店で分厚い地図を購入し、太郎はふと空を見上げた。
太郎「……移動時間、短縮したいな」
その瞬間、太郎の脳内で何かが弾けた。
太郎「よし、作るか!」
晴斗「え、何を?」
太郎はサーバーストレージから素材を取り出し、魔石を組み込み、ミスリルを加工し始めた。
蒼真「……また始まった」
数分後――。
ミスリルチャリ(魔石補助付きマウンテンバイク) が完成した。
しかも変形して小型ゴーレムにもなる。
晴斗「なにこれ!? めっちゃカッコいい!!」
蒼真「……男のロマンだな」
太郎「せやろ?」
オカンは呆れながらも微笑んだ。
「アンタら、ほんま好きやなぁ」
入口で観光客や冒険者たちがざわついた。
「なんじゃあの乗り物……?」
「ミスリル製か!? ぶち早や!」
太郎たちはミスリルチャリに乗り、迷宮の階段を一気に駆け下りる。
宿屋や露店が並ぶ階層を完全スルーし、あっという間に10階層へ到着した。
晴斗「早っ!!」
蒼真「……移動効率が異常だ」
露店の前で太郎が足を止めた。
太郎「なんか食べ物買うか?」
値札を見る。
太郎「……高っ!! 地上の5倍やんけ!」
玲奈「迷宮価格ってやつだね……」
太郎「やめやめ。手持ちの食料でええわ」
オカンがにやりと笑う。
オカン「せやろ? こうなる思てたわ」
10層 階層主:紅天蜘蛛巨大な赤い蜘蛛が天井から降りてきた。
体表には赤いショウガのような突起がびっしり。
玲奈「うわ……紅しょうが生えてる……」
太郎「紅しょうが天作れるでこれ!」
戦闘は――あっさり終わった。
太郎のコテで粉砕。
蒼真が影で拘束し、晴斗が脚を切り落とす。
ドロップ品と赤いショウガを回収。
太郎「これ、絶対うまいやつや」
20階層、階層主の扉の前には、疲れ切った冒険者たちが座り込んでいた。
「もう無理じゃ……」
「腹減った……」
「回復薬も尽きた……」
オカンはニヤリと笑った。
オカン「……太郎、出番やで。“弱った客は上客”って相場が決まっとる」
太郎も同じ顔をした。
太郎「さあ、商売の時間や」
太郎たちはキッチンカーを展開し、
地上価格の10倍 でお好み焼きとたこ焼きを販売。
金のない者には迷宮素材を買い取り、こちらは地上の半値。
しかし――売れる。
「う、うまい……!」
「これで10倍は安いわ……!」
太郎「サービスで体力回復するアメちゃんもつけとくで」
「回復する……! なんで!?」
冒険者たちは涙を流して喜んだ。
蒼真「……迷宮で商売するとはな」
玲奈「オカン、悪い顔してるよ」
オカン「儲けることができるときに儲けるのは商人としてあたり前や」
太郎「せやけど悪どいなぁ!」
ひより「でも……みんな元気になってるから……いいと思う……」
太郎「ひよりちゃん、天使か!」
こうして太郎たちは、
迷宮のさらに深くへと進んでいく。
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太郎「いやぁ……20階層であんな売れるとは思わんかったわ」
晴斗「10倍価格で完売って……迷宮経済すごいね」
蒼真「素材の買い取りも地上の半値で十分利益になったな」
玲奈「オカン、完全に商人の顔してたよ」
オカン「儲けられるときに儲けるんは当然や」
太郎「その“当然”が怖いねん!」
ひより「でも……みんな元気になってたから……よかった……」
太郎「ひよりちゃんはほんま癒やしやなぁ」
晴斗「てか太郎、紅しょうが天いつ作るの?」
太郎「今はアカン! ここで揚げもんしたら魔物寄ってくる!」
蒼真「……それはそれで面白いが」
太郎「やめてくれ! 紅しょうが天で全滅とか嫌や!」
オカン「ほな、次は30階層目指すで。さっさと行こ」
読んでくれてほんまおおきに。オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と言ってます
もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。




