第67話 ヤマツ国ハーギ・革命の街
太郎達は海路でシマナ国からヤマツ国のハーギに向かった
ミスリルクルーザーが港へ近づくと、
白壁の町並みが朝日に照らされて輝いていた。
しかし、その美しさとは裏腹に、
街全体がどこか落ち着かず、ざわついている。
太郎「……なんやこの空気。妙にピリピリしとるな」
晴斗「なんか……みんな目がギラギラしてるよね」
蒼真「……騒乱の匂いがする」
港の老人が笑いながら声をかけてきた。
「よう来んさったの。ここはハーギ、革命の街じゃけぇ」
太郎「革命の街てなんやねん!」
老人「領主は毎年変わるんよ。前のんは三日で倒れたけぇ、今日からまた新しい領主じゃ。
革命ちゅうんはの、昔の領主が血の気の多い領民らのガス抜きに決めちょったんじゃ」
太郎「軽っ!!」
玲奈は苦笑し、ひよりは不安そうに太郎の袖をつまんだ。
ひより「……怖い街なの……?」
太郎「大丈夫や。俺らがついとる」
城下へ入ると、太郎は思わず立ち止まった。
「革命饅頭」
「革命せんべい」
「革命まんじゅう(2回目)」
「革命Tシャツ」
「革命タオル」
「革命ストラップ」
太郎「革命のバーゲンセールか!!」
店の兄ちゃんが笑いながら言う。
「兄ちゃん、これ全部ハーギ名物じゃけぇ。買うていきんさい」
晴斗「革命って……こんな軽いノリで売っていいの……?」
蒼真「……商魂たくましいな」
ひより「革命……おいしそう……」
太郎「ひよりちゃん、食べ物扱いすな!」
城下の中心に、妙に賑やかな建物があった。
看板には大きくこう書かれている。
「ビリ塾 この国を変えるには革命しかない!」
太郎「嫌な予感しかしないんやけど」
中を覗くと、志士コスプレの塾長が叫んでいた。
「攘夷!倒幕!そしてビリケーン様に献金せよ!!革命こそが未来を切り開くんじゃああ!!」
太郎「献金? 最後だけ俗っぽいわ!!」
蒼真「……ビリケーン教の下部組織だな」
太郎がキッチンカーを出すと、志士コスプレの革命信者が絡んできた。
「その料理……お好み焼きじゃない!“おこのみやき”とはヒロガ焼きのことじゃ!!」
太郎「誰が広島焼きやねん!! これは大阪の“お好み焼き”や!!」
「異端料理は革命の敵!!」
太郎「なんで料理で革命起こるねん!!」
信者が竹刀を振り上げた瞬間――
その背後に、ヒョウ柄の影 が立った。
オカンが腕を組んで立っている。
「……アンタ、何してんの?」
信者「ひっ……ヒョウガミ……!」
太郎「誰がヒョウガミやねん! ウチのオカンや!」
信者は震えながら逃げていった。
晴斗「……オカン、存在だけで敵を倒してるよね」
蒼真「ある意味、最強だ」
その時、薄桃色の着物を着た少女がそっと近づいてきた。
控えめな仕草だが、どこか気品がある。
少女は鉄板の上の湯気を見つめ、
小さく息を呑んだ。
少女「……あの……これが、噂の……“ヒョウガミ焼き”なんですか……?
ぶちええ匂いしちょる……わ、私にも……ひと口、くださいますか……?」
太郎はむせた。
「ヒョウガミ焼きって……誰が神やねん。それ、ただのお好み焼きや」
少女は太郎とオカンを交互に見て、
頬を赤らめた。
少女「えっ……じゃあ……このヒョウ柄の……その……お方が……ヒョウガミ様……?」
オカンは無言で腕を組んだ。
ただ立っているだけなのに、周囲の空気が一瞬で張りつめる。
太郎は慌てて手を振った。
太郎「ちゃうちゃう! ウチのオカンや!ヒョウガミでもなんでもない!」
少女はぺこりと頭を下げた。
少女「そ、そうなんですね……でも……ぶち食べてみたいんです……お願いです、少しだけ……」
太郎は苦笑しながら鉄板に向き直った。
太郎「ほな、焼くわ」
焼き上がった一枚を差し出すと、少女は両手で大事そうに受け取り、そっと口に運んだ。
次の瞬間――
少女の瞳が大きく見開かれた。
少女「……っ……ぶちうまい……!! こ、こんな……こんな味……初めてじゃ……!」
太郎「そんなにか?」
少女は震える声で続けた。
少女「お、お願いです……屋敷の者にも食べさせてやってください……ぶち喜ぶけぇ……! お金なら……いくらでも払いますけぇ!!」
提示された金額を見た太郎は固まった。
太郎「……オカン、これ……」
オカンは少女と金額を交互に見て、静かに息を吐いた。
オカン「これは行かんとアカンやつや。……太郎、行くで」
太郎「やっぱり行くんかい!」
少女はぱっと顔を明るくした。
少女「ほ、ほんまですか……! ありがとうございます……! 屋敷まで……どうか来てつかぁさい!」
太郎「しゃあないなぁ……行こか」
オカン「ヒョウガミちゃうで。覚えときや」
少女は真っ赤になって深々と頭を下げた。
屋敷に案内され、太郎たちは料理をふるまった。
領主も家臣も驚き、歓声を上げた。
しかし――
その平和は長く続かなかった。
「革命じゃああ!!」
「領主を倒せぇぇ!!」
領主「きのうの今日で革命じゃと? 返り討ちにしちゃるけぇの」
賊が大勢、屋敷に雪崩れ込んできた。
旗には ビリケーン教の印。
太郎「やっぱりお前らかい!!」
賊の一人がテーブルを蹴り飛ばし、料理が床に落ちた。
その瞬間――
オカンの気配が変わった。
オカン「……アンタら……何してんのや?」
その声は低く、しかし屋敷全体が震えるほどの圧があった。
賊「ひっ……ヒョウガミ……!」
太郎「だからヒョウガミちゃう言うてるやろ!!」
オカン「食べ物粗末にする子は……ウチが一番嫌いや」
賊たちは一斉に後ずさった。
太郎は拳を握った。
太郎「ほな行くで! 革命返しじゃ!!」
晴斗「革命返しって何……」
蒼真「……もう突っ込むだけ無駄だ」
太郎の拳が唸り、
晴斗の剣が光り、
蒼真の影が走り、
玲奈の魔法が炸裂し、
ひよりの光が味方を支える。
賊たちは次々と倒れていった。
太郎たちはそのままビリ塾へ突入した。
塾長が震えながら叫ぶ。
塾長「くっ……覚えちょれ……ヒョウガミ……お前のその“人を惹きつける力”……革命の敵じゃ……!」
太郎「なんで革命の敵やねん!」
塾長「ワシは逃げるんじゃない!! これは戦略的撤退じゃああ!!
ダンノーラの寺院が……必ずお前らを裁くじゃろう!! 覚悟しちょけぇぇぇ!!」
太郎「ダンノーラ!? 本拠地そこなんかい!」
塾長は窓から飛び出し、
闇へ消えた。
玲奈「めんどくさい敵だね……」
ひより「でも……太郎さんがいるから……大丈夫……」
太郎「ひよりちゃん、信頼が重いわ!」
領主「太郎殿、助かったわい。おかげで返り討ちにしちゃれた。
ヤマツにはの、ぶちでかいシューホー大迷宮や、バルーンパファーの名物がおるシモセキもあるけぇ、しっかり楽しんでいきんさい。」
太郎達は領主たちに見送られハーギを立った。
そして西国一の大迷宮――
シューホー大迷宮 へ向かうことになった。
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太郎「はぁ……なんや濃い街やったな」
晴斗「革命の密度が高すぎるよ……」
蒼真「次は迷宮だ。気を引き締めろ」
玲奈「でもさ、オカンの圧だけで半分片付いたよね」
オカン「アンタらが弱いだけやろ」
太郎「なんでワイらが怒られんねん!」
ひより「でも……オカンさん、ぶち強かった……」
太郎「ひよりちゃんまで言うんかい!」
蒼真「しかし“ヒョウガミ”とは……妙な誤解をされたな」
晴斗「もうあれ正式名称で広まってる気がする……」
太郎「やめてくれ! オカンが神扱いとか絶対ろくなことにならん!」
オカン「太郎、文句言う前に荷物持ちな」
太郎「結局オカンが一番強いやん!!」
読んでくれてほんまおおきに。オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と言ってます
もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。




