第66話 神骨化と神集の儀
太郎は自分のステータス画面を見つめて固まっていた。
太郎「……は? なんで基本ステータス上がっとるんや……?」
筋力、敏捷、体力、精神、魔力。
どれも“1段階”上がっている。
本来、基本ステータスは一生変わらないはずやのに。
太郎「オカン、これ絶対おかしいやろ。バグっとるんちゃうん?」
オカン「バグちゃうわ。今回は経験値やなくて“肉体のレベル”が上がったんや」
太郎「肉体のレベル……?」
オカン「せや。あんたの身体、神骨化したんや」
太郎「神骨化ってなんやねん!」
オカン「スサノオに骨砕かれて、アマテラスに治されて、また砕かれて、また治されて……
その繰り返しで、あんたの身体が神気に適応してもうたんや」
オカン「つまり太郎、あんたの骨はもう“国産最高級カルシウム”や!」
太郎「そんなブランド牛みたいに言うな!!」
オカン「知らんけど」
太郎「絶対わかってへんやろ!!」
オカン「細かい理屈はええねん。とにかく今回は“経験値”やなくて“肉体そのもの”が進化したんや。
せやから基本ステータスが上がったんやで」
太郎「……まあ、上がったもんはええけど……」
太郎は勇者パーティのステータスも確認することにした。
鑑定を発動すると、4人のステータスが表示される。
【豊中晴斗】
職業:勇者 レベル:82
■基本ステータス
筋力:SS-↑ 敏捷:S↑ 体力:SS-↑
魔力:A+↑ 精神:A+↑ 知力:B+
器用:B+ 幸運:D
■スキル
<剣術・極> <勇者の加護・深> <戦闘予測+3>
<魔力抵抗+2> <リーダーシップ+5> <光魔法+2>
<光刃展開>(new) <神気耐性(微)>(new)
【守口玲奈】
職業:賢者 レベル:81
■基本ステータス
筋力:B-↑ 敏捷:B+↑ 体力:B+↑
魔力:SS-↑ 精神:S↑ 知力:SS-↑
器用:A 幸運:C
■スキル
<大賢者の知恵+7> <高位回復魔法・極> <高位結界術・極>
<分析+5> <全属性魔法+3>
<神気解析>(new) <神気耐性(微)>(new)
【茨木蒼真】
職業:忍者 レベル:83
■基本ステータス
筋力:A↑ 敏捷:SS-↑ 体力:S↑
魔力:A↑ 精神:A↑ 知力:A+
器用:A+ 幸運:C
■スキル
<影走り・極> <隠密+5> <情報解析+4>
<魔力制御・上級> <分身・改> <影縛り・極>
<影疾風>(new) <神気耐性(微)>(new)
【天満ひより】
職業:聖女 レベル:80
■基本ステータス
筋力:B-↑ 敏捷:B+↑ 体力:A↑
魔力:S↑ 精神:SS-↑ 知力:B+
器用:B+ 幸運:SS-↑
■スキル
<聖女の祈り+6> <奇跡+7> <高位治癒・極>
<祝福・深> <聖域・極> <聖域拡張・改>
<聖魔法+2> <神聖共鳴>(new) <神気耐性(微)>(new)
太郎「……は?」
太郎「いやいやいやいや!! なんで全員SSとか行っとんねん!!
ワイより強いやんけ!! なんでやねん!!」
オカン「勇者組は内部ステータスない分、スキル伸びやすいからなぁ」
オカン「太郎は“外付けハードディスク型”やけど、あの子らは“SSD型”や」
太郎「例えが、わけわからん!!」
オカン「知らんけど」
太郎「もうええわ!!」
太郎はふと、ヒルコを救ったときの光の粒を思い出した。
太郎「そういやオカン、ヒルコ助けたときのあの光……なんやったん?」
オカン「ウチは祝福なんか使ってへんで。たぶん、あの子を救いたいと思う“誰か”の力やと思うわ」
太郎「誰かって……神さん?」
オカン「知らんけど」
太郎「いやそこで知らんけど言うな!」
オカン「知らんけどは“万能魔法”や。大阪では全部これで通る」
太郎「通らんわ!!」
そこへアマテラスが歩み寄ってくる。
アマテラス「太郎さん。“神集の儀”をご覧になっていくといいでしょう。
あなたにとって、きっと意味のあるものになります」
太郎「神集の儀……?」
アマテラス「神々が集い、力を示す儀式です。見ておく価値はありますよ」
続いてスサノオが豪快に笑いながら肩を叩いてくる。
スサノオ「おもろい鍛冶屋がおるで。神器も扱える腕前や。行ってこい」
太郎「神器!? そんなすごい鍛冶屋おるんか」
スサノオ「お前の装備、+2まで強化できるやろな。鍛冶の神の加護がついとる」
太郎「マジか……!」
神鋼工房の扉を開けた瞬間、太郎は息を呑んだ。
ミスリル、オリハルコン、神鋼、神繊……
普通の鍛冶屋では絶対に見られない素材が並んでいる。
親方「おう、来たか。スサノオ様から聞いとる」
太郎「よ、よろしくお願いします……」
親方は太郎の装備を一瞥し、次に晴斗、そして蒼真の装備を見た。
親方「ふん……悪くない。だが伸びしろがまだ残っとる。置いていけ」
太郎「え、全部ですか?」
親方「全部や。お前も、そっちの勇者も……そっちの忍者もや」
蒼真「……俺もか」
親方「当たり前や。お前のクナイも短刀も、まだまだ強化できる」
蒼真「……助かる」
晴斗「俺のも……?」
親方「お前の剣も盾も、鍛え直したら“+2”まではいけるやろな」
太郎「鍛え直すって……そんな簡単に言うけど……」
親方「簡単やない。せやからワシがやるんや」
太郎(か、かっこええ……)
こうして太郎・晴斗・蒼真の3人は、武器も防具も全部預けることになった。
装備を預かった直後、アマテラスとツクヨミがひよりと玲奈に近づく。
アマテラス「あなたたちには、こちらを」
ツクヨミ「神繊で織られた衣です。神気を通し、魔力を乱さない」
差し出されたのは、
露出控えめで、清楚で、動きやすい神繊の衣装。
玲奈には神繊のローブ。ひよりには神繊の聖衣。
ひより「えっ……こんな綺麗なの……いいんですか?」
玲奈「露出少なめ……助かる……!」
アマテラス「あなたたちの戦い方に合わせてあります。どうか使ってください」
ひよりと玲奈は深々と頭を下げた。
ひより「ありがとうございます……!」
玲奈「大切にします」
太郎「(なんか二人だけ待遇ええな……)」
ツクヨミ「太郎さんの装備は……まあ、鍛冶屋に任せましょう」
太郎「なんでちょっと間があったん!?」
親方「ほな、預かった装備は全部“+2”まで鍛え直しとく。
神器級並みの仕上がりにしたるから、楽しみにしとけ」
親方「じ、神器級並み……!」
晴斗「マジかよ……!」
蒼真「……恩に着る」
親方「ただし――」
太郎「ただし?」
親方「命削って鍛えるから、時間はかかる。神集の儀が終わるまで待っとけ」
太郎「命削るんかい!!」
親方「知らんけど」
太郎「お前も知らんけど言うんかい!!」
スサノオ「気にすんな。あいつはああいうやつや」
オカン「死なんけど、明日めっちゃ腰痛なるタイプや」
太郎「なんでわかんねん!!」
神集の儀は、太郎の予想に反して何事もなく無事に始まった。
広場の中央に立つアマテラスとツクヨミ。
二人がゆっくりと舞い始めると、空気が震え、光が揺らめいた。
アマテラスの袖が翻るたびに、
ツクヨミの足が地を踏むたびに、
無数の光の粒がふわりと舞い上がる。
それはまるで――
星が地上に降りてきたかのような光景だった。
玲奈「……きれい。こんなの初めて見る」
ひより「本当に……神様の舞って、こんなに綺麗なんだ……」
光の粒は二人の周囲をゆっくりと回り、
時に尾を引きながら空へ昇っていく。
太郎はその光景を見ながら、ふと呟いた。
太郎「あの光……オカンの周りにあった光に似とるな。やっぱり神さんやったんかな!」
蒼真「……確かに、同じ種類の気配だ」
晴斗「俺でもわかる。あれは……普通の魔力じゃない」
光の粒は、まるで意思を持つかのように舞い続ける。
アマテラスの周りには金色の光、
ツクヨミの周りには銀色の光が集まり、
二つの光が交わるたびに、柔らかな音が響いた。
玲奈「……音がする。鈴みたいな……」
ひより「心が洗われる感じ……」
太郎「なんやこれ……神秘的すぎて逆に怖いわ……」
オカン「神さんの舞やからなぁ。そら綺麗やで」
太郎「オカン、なんでそんな普通に言えるん……?」
オカン「知らんけど」
太郎「もうええわ!!」
舞はしばらく続き、
光の粒は最後にふわりと空へ溶けるように消えていった。
儀式は――
本当に、何事もなく、静かに幕を閉じた。
玲奈「でも、綺麗だったね」
ひより「うん……忘れられない光景だよ」
神集の儀が終わり、太郎たちは鍛冶屋「神鋼工房」へ戻ってきた。
親方「……できたぞ。取りに来い」
太郎「は、早っ!? 命削ったんちゃうんか!」
親方「削ったわ。寝る前に渡す。ほれ」
太郎「雑!!」
親方は無造作に、しかし丁寧に仕上げられた装備を並べていく。
◆太郎の装備
神維軽装防具+2
オリハルコン製コテ+2
オリハルコン製ピック+2
オリハルコン製包丁+2
ミスリル製串+2
オリハルコン・ドラゴンスレイヤー+2
光滅の聖槍+2
親方「ついでに包丁も作ってやったぞ。料理人の魂だからな」
太郎「料理人と違うわ」
親方「串は熱伝導考えたらミスリル製のほうがいいので素材は変えていないぞ」
太郎「かまへんよ」
◆晴斗の装備
勇者の聖剣+2
勇者の鎧+2
親方「オリハルコンに神鋼を少し混ぜたからな強度、攻撃力も今までの3倍くらいあるぞ」
晴斗「これ……やばいな……」
◆蒼真の装備
影走り短刀+2
投擲クナイ+2
忍装束(神繊)+2
親方「認識阻害の効果をつけておいた。瞬間的な加速がとんでもないぞ」
蒼真「……完璧や」
親方「ほなワシ寝るわ……」
親方はそう言うとその場に倒れ寝ていた
太郎「ほんまに命削っとるやん!!」
スサノオ「気にすんな。死なんから」
オカン「死なんけど、明日めっちゃ腰痛なるタイプや」
太郎「なんでわかんねん!!」
装備を受け取った太郎たちは、ミスリルクルーザーに乗り込み、次の目的地――ヤマツ国へ向かう。
太郎「よっしゃ、次の国や!」
海風を受けながら、太郎は新たな冒険へと踏み出した。
オカン「太郎、次の国の“名物”チェック忘れんなよ!」
太郎「冒険より食い気優先すな!!」
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太郎「しかし……ほんまに命削って鍛えとったんやな、あの親方」
晴斗「寝落ちの仕方がガチだったもんな……」
蒼真「……あれは本物の職人だ」
玲奈「でも、装備すごく強くなったよね。触っただけでわかる」
ひより「うん……神様の気配がする……」
太郎「ワイの包丁まで強化されとるのはどういうことやねん」
晴斗「戦闘スタイルが料理人だからじゃない?」
太郎「違うわ!!」
蒼真「……否定しきれてないぞ」
玲奈「でも串まで強化されてるのは笑った」
ひより「ミスリル串……なんか可愛い」
太郎「可愛い言うな!武器やぞ!」
オカン「知らんけど」
読んでくれてほんまおおきに。オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と言ってます
もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。




