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異世界でオカン(AI)がうるさい 〜追放された俺、最適化されて最強になる〜  作者: トレス=レイ
第二章 西国編

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第63話 禁足区域の影

神殿地下へと続く階段は、まるで地の底へ吸い込まれるように暗く深かった。

足を踏み出すたび、石段がわずかに軋み、冷気が肌を刺す。


太郎「なんやこの空気……耳キーンってするんやけど」


スサノオ「怯むな。俺が先頭に――」


オカン「アンタは後ろでええねん。うちは太郎守るんや」


スサノオ「な、なぜだ……!」


オカン「アンタの背中より、太郎の背中のほうが信用できるんや!」

太郎「なんでやねん!」


ツクヨミは壁に手を添え、静かに目を閉じた。

古い石壁には、かすれた封印文字が刻まれている。


ツクヨミ「……ヒルコの神気が残っています。ここを通ったのは間違いありません」


シーラは軽やかな足取りで前に出た。

毛並みは艶を取り戻し、傷の痕跡すら残っていない。


玲奈「シーラ、もう痛くないんだよね?」


シーラ「うん。ひより……ひよりの魔法で治った……ありがとう」

シーラはひよりの顔を見つめ、震える声で続けた。「……もう、怖くない。みんながいるから」


太郎「ひより、ほんまにすごいな……」


オカン「ひよりは“癒しの天使”や! 太郎とは大違いや!」

太郎「なんでそこで比較すんねん!」


通路を進むにつれ、空気はさらに重く、冷たくなっていく。

まるで音そのものが吸い込まれていくような静寂が広がっていた。


蒼真「……静かすぎるな。普通なら魔物の気配くらいあるはずやのに」


やがて、広い空間に出た。

壁には大きな衝撃痕が残り、床には白い毛が散らばっている。

石の破片が散乱し、何かが激しくぶつかった跡が生々しく残っていた。


蒼真「ここか……シーラが襲われた場所」


スサノオは壁に触れ、眉をひそめる。


スサノオ「……ヒルコの攻撃ではない。もっと鋭い……別の者だ」


太郎「は? 黒衣の女ってヒルコちゃうんか?」


その瞬間――

奥の闇が、ゆらりと揺れた。


黒い霧が通路の奥から流れ込み、冷気が一気に強まる。

霧は生き物のようにうねり、視界を奪っていく。


玲奈「な、なにこれ……!」


霧の中に、黒衣の女性の影が立っていた。

顔は見えない。

ただ、黒い布が風もないのに揺れ、影だけがこちらを向いている。


黒衣の女性「……この先には……行ってはいけない……」


その声には、深い後悔のような震えが混じっていた。


次の瞬間、霧とともに影は掻き消えた。


太郎「今の……ヒルコなんか?」


ツクヨミ「……違います。声が……違う」


蒼真「じゃあ誰やねん……」


オカン「知らん女に“行くな”言われて引き返すんは大阪ではありえへん!」

太郎「文化の問題ちゃうわ!」


さらに奥へ進むと、巨大な空間に出た。

左右に無数の通路が伸び、どれも同じように暗く、深く、冷たい。


太郎「……迷路やん。どれ選んでも迷うやつや」


スサノオ「俺が選ぶ。経験上、こういう時は――」


オカン「左から2つ目や」


全員「早っ!」


オカンは指をさしながら、いつもの調子で説明を始めた。


オカン「ここ真っ直ぐブワァ~って行ったら、ドーンと突き当たりや。

 ほんで左に曲がってズズ~って行ったら、デーンと扉があるわ」


太郎「説明が雑すぎるわ!」


玲奈「でも……オカンさんの勘って当たるんだよね……」


スサノオ「なぜ皆がこの女を信じる……?」


オカン「人生は“勘”と“勢い”や! 地図なんか飾りや!」

太郎「冒険者の発言ちゃう!」


半信半疑のまま、太郎たちは左から二つ目の通路へ進んだ。


通路は細く、天井は低く、湿った空気がまとわりつく。

壁の封印文字はところどころ剥がれ、黒い染みが広がっている。


太郎「……ほんまにあるんかいな……」


蒼真「いや、さすがにこれは――」


その瞬間、視界が開けた。


巨大な石造りの扉が、静かにそびえ立っていた。

古代の紋様が刻まれ、中央には赤黒い染みが残っている。


太郎「ほんまにあったーーー!!」


オカン「言うたやろ? 大阪のおばちゃんの道案内に間違いはないんや。3人にひとりしかたどりつけへんけど」


太郎「……いや待てや」

太郎「成功率33%って、それ道案内ちゃう!ギャンブルやん!」


オカン「人生は常に3分の1や! 当たったら勝ちや!」

太郎「ポジティブすぎるわ!」


ツクヨミ「この扉の先に……ヒルコが……」


スサノオが剣に手をかける。


スサノオ「行くぞ。ここから先は、何が出てもおかしくない」


空気が一気に張りつめ、笑いの余韻が消えていく。


太郎は深く息を吸い、扉に手を伸ばした。


太郎「……行くで。ヒルコを助けるんや」


重い扉が、低い唸り声をあげながら開いていく。


オカン「太郎、気ぃつけや! 扉の向こうで“ただいま”言うてくる奴おったら全員逃げるで!」

太郎「どんなホラーやねん!」


────────────────────────


太郎「……この扉の先にヒルコがおるんやな」

玲奈「怖いけど……行くしかないよね」

蒼真「ビビってもしゃあない。腹くくるで」

スサノオ「俺が先頭に立つ。お前たちは後ろから来い」

太郎「なんで毎回お前が主導権握ろうとすんねん!」

オカン「太郎、文句言わんとき。危ないとこは強い人に任せるんが一番や」

スサノオ「……今のは褒め言葉として受け取っていいのか?」

オカン「褒めてへん。うちは太郎を守るだけや」

太郎「結局オカンが一番強いやんけ!」

シーラ「……ヒルコ……助ける……」

太郎「よっしゃ、行くで! 開けるぞ、この扉!」

読んでくれてほんまおおきに。オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と言ってます

もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。

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