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異世界でオカン(AI)がうるさい 〜追放された俺、最適化されて最強になる〜  作者: トレス=レイ
第二章 西国編

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第57話 砂漠の羅針盤と王都ミササ

砂漠迷宮を突破し、太郎たちはようやく地上へ戻ってきた。


だが──。


砂漠の地平線は、どこまでも金色に揺れていた。

風は止まり、空気は重く、砂粒が肌にまとわりつく。

太陽は容赦なく照りつけ、影が溶けるように薄い。


360度どの方向を見ても、砂、砂、砂。

砂丘の形すら似通っていて、景色に変化がない。

時折、地面から吹き上がる砂塵が視界を奪い、

遠くを見ようとしても、霞んだ世界が広がるだけだった。


太郎「……どっち行ったらええんや?」


蒼真「……太陽の位置も砂煙で見えにくいな」

玲奈「風もほとんどない……」


太郎はヒルゼンの言葉を思い出す。


「“砂漠は魔力で方向感覚が狂う。風向きだけが頼り”……やったな」


蒼真「その風が今日はほぼ無風だ。完全に詰んだな」


太郎「詰んだやん!」


オカン「詰んでへん。ウチらには“宝箱の当たり”があるやろ」


太郎「……あっ」


太郎はストレージから、砂漠迷宮で手に入れた古代の羅針盤を取り出した。


金属の盤面は薄く青く光り、中央の針は静止したまま。

古代文字が刻まれ、触れるとひんやりと冷たい。


蒼真「魔力を流してみろ」


太郎がそっと魔力を通すと──


カチッ……

針が震え、ゆっくりと“ある方向”を指した。


玲奈「……動いた!」

蒼真「これは……水源を指しているのか?」


オカン「せや。古代文明の“水探知羅針盤”や。水のある方向を示すんや」


太郎「そんな便利アイテム、もっと早よ言えや!」


オカン「言うたら宝箱開ける時のワクワク感が死ぬやろ! 演出は命や!」

太郎「いらん演出すな!」


羅針盤の示す方向へ歩き続けると、

砂丘の向こうに巨大な城壁都市が姿を現した。


太郎「おお……あれが王都ミササか!」


砂漠の真ん中に、まるで蜃気楼のように浮かぶ白い城壁。

その奥には塔が林立し、青い旗が風に揺れている。


だが──。


蒼真「……様子がおかしいな」


本来なら、王都の前には巨大な湖“イナバ湖”が広がっているはずだった。


しかし──


玲奈「……水、少なすぎない?」

太郎「湖ちゃうやん……でっかい水たまりやん……」


湖底が露出し、干上がった泥がひび割れている。

船は地面に取り残され、住民たちは重そうな水瓶を抱えて列を作っていた。


ひより「……みんな、困ってる……」


蒼真「これはただの干ばつではない。魔力の流れが乱れている」


太郎「また面倒なやつやん……」


オカン「太郎、面倒なやつほど金の匂いするで。チャンスや!」

太郎「金の匂いで判断すな!」


王都の門をくぐると、街の中心に巨大な白い建造物がそびえていた。


玲奈「……あれ、ビリケーン教の“中央神殿”ね」


太郎「前に見た寺院より、なんか……デカすぎへん?」


蒼真「王都にだけある特別な神殿だ。宗教の本拠地と言っていい」


白い大理石の柱が何十本も並び、

巨大な黄金の像が入口に鎮座している。

その足元には、長蛇の列。


神官「お布施の多い者から優先だ! 神の恵みを受けたければ並べ!」


住民A「昨日より水が減ってる……」

住民B「お布施を増やせって……無茶や……」


太郎「……完全に利権やんけ」


オカン「太郎、こういうとこは金の流れ見たら原因わかるで」


太郎「宗教の闇を経済で分析すな!」


オカン「金の流れは世界の真理や! 水より流れとる!」

太郎「名言風に言うな!」


神官たちは白い法衣をまとい、

胸には“ビリケーンの紋章”が刻まれた金のプレート。

その目はどこか冷たく、列の住民を値踏みするように見ていた。


太郎「……なんか嫌な空気やな」

蒼真「水の配給を宗教が握ると、こうなる」

玲奈「王都全体が……疲れてるね」


宿屋に入ると、まず目に飛び込んできたのは──

空になった水樽の山と、厨房から漂う“焦げた匂い”。


太郎「……なんか焦げ臭ない?」

主人「すまんのぉ……水が足らんけぇ、まともな料理が作れんだが……」


鍋の中には、

水不足で煮詰まりすぎた“黒い何か”がこびりついていた。


太郎「これ……料理なんか……?」

主人「だらず(アホ)みたいな見た目になっとるけぇ、客に出せんのよ……」


ラクチンは喉を鳴らし、空の水樽をじっと見つめている。


ラクチン「プルル……(水……)」

太郎「お前、もう限界やな……」


主人は申し訳なさそうに頭を下げた。


主人「ほんにすまん……水があれば、ラクチンにも世話できるんだが……

そげな状況でしてな……」


玲奈が一歩前に出た。


玲奈「……なら、私がやるわ。《ウォーター・クリエイト》」


彼女の手から澄んだ水が生まれ、

空の樽へ勢いよく流れ込む。


ドボボボボ……ッ!


主人「お、おおお……! 樽が……満タンになっとるが!!」


玲奈「まだいけるよ。……はい、次の樽も」


二つ目、三つ目の樽も、

みるみるうちに水で満たされていく。


ラクチンは樽に顔を突っ込み、

ゴクゴクと豪快に飲み始めた。


ラクチン「プルルルル!!(生き返った!!)」

太郎「お前……そんな飲んで大丈夫か……?」


主人は感動で震えていた。


主人「なんといや……助かった……!あんたら、神さまみてぇだが……!」


太郎「いや、神はあっちの神殿やろ……」


主人「だらず言うな! あれは金ばっか取る神さまだが!あんたらのほうがよっぽどありがたいわ!」


太郎「急に本音出たな!」


オカン「せやろ? うちらのほうが神や! “ヒョウガミ様”や!」

太郎「勝手に神格化すな!」


主人は深々と頭を下げた。


主人「ラクチンは厩舎で大事に預かるけぇ、安心しとき。水も餌も、ちゃんとやるけぇな」


ラクチンは満足そうに尻尾を振り、厩舎へと連れて行かれた。


食堂に入ると、

水不足で料理がまともに作れないため、

客たちはパンの欠片や干し肉をつつきながら愚痴をこぼしていた。


「今日の配給、また減ったらしいぞ」

「ビリケーン教に逆らったら水もらえんだが」

「王宮も動かんし……どうなっとるだいや……」


太郎「……情報の宝庫やな」


オカン「太郎、聞き耳立てぇ。タダで情報集まるで」


オカン「タダの情報は最高や! 有料情報は信用ならん!」

太郎「黙っとれ言うたやろ!」


その時、蒼真が席を立った。


蒼真「……太郎、俺は別行動する。王都の裏通りや商人ギルドで水の流れと宗教の動き、調べてくる」


太郎「助かるわ。気ぃつけてな」


蒼真「任せろ」


黒い外套を翻し、蒼真は夜の王都へ消えていった。


太郎たちは食堂で情報を集めながら、

王都の異変の核心へと近づいていくのだった。


────────────────────────


太郎「しかし……王都まで来て水問題て、どんな世界やねん」

オカン「どんな世界でも水と金は争いの元やで」

太郎「急に社会派コメントすな!」

玲奈「でも、ラクチンが元気になってよかったよね」

ラクチン「プルル!(任せろ!)」

蒼真「……太郎、ラクチンのほうが頼りになる時あるぞ」

太郎「やめろ、事実でも傷つくわ」

ひより「でも……水の問題、放っておけないよ」

オカン「せや太郎、ここは一発稼ぎどきや」

太郎「だから金の話に持っていくな言うてるやろ!!」

読んでくれてほんまおおきに。オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と言ってます

もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。

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