第55話 ナーシの村を越えて、砂漠へ
オカナ国を出発した魔道馬車は、朝の光を浴びながらゆっくりと街道を進んでいた。
窓の外には、青々とした畑と、遠くに連なるダイセーン山の稜線が見える。
晴斗「おー、山でっかいな。あれ越えるんか」
玲奈「空気が澄んでて気持ちいいわね」
ひより「鳥さん……いっぱい飛んでる……」
太郎「こういう“旅してる感”ええよな」
オカン「せやせや。景色はタダで楽しめる最高の娯楽や!」
オカン「太郎、タダの景色は見放題やけど、有料の景色はうちが止める。財布が死ぬ」
太郎「死なんでええ!」
馬車が進むにつれ、畑は果樹園に変わり、山のふもとの村が見えてきた。
村に入ると、名物のナーシ農園が広がっていた。
太郎「おお……これが噂のナーシか」
玲奈「みずみずしそうね」
ひより「おいしそう……」
晴斗「食べよ食べよ!」
農家の人から試食をもらい、太郎が一口かじる。
太郎「……うまっ! 俺、果物の中で梨が一番好きなんよ。食感も似てるしな」
玲奈「確かにこれは人気出るわね」
ひより「しゃくしゃくして……おいしい……」
太郎は即決でナーシ10箱を購入し、ストレージに保管した。
太郎「これは売れるし、自分でも食べる。二刀流や」
オカン「商売人の鑑やな!」
オカン「太郎、梨好きすぎて“ナシ太郎”や。語感が貧乏くさいけど似合っとる」
太郎「似合ってたまるか!」
村の市場で、太郎は露店を開いた。
並べたのはモーモ・グレプ・イカナーゴ佃煮・魚介類。
太郎「ほらほら、新鮮なモーモやでー! 甘いでー!」
村人A「お兄ちゃん、これほんまにモーモか? でっかいな!」
村人B「グレプも瑞々しいなぁ……」
太郎は鉄板を取り出した。
太郎「ほな、お好み焼き焼くで」
晴斗「きたきた」
玲奈「太郎くんの料理は安定しておいしいものね」
太郎が混ぜて焼く大阪風お好み焼きに、村人たちがざわつく。
村人C「えっ……全部混ぜて焼くんか?」
村人D「ヒロガ風と全然ちゃうやん。珍しいな!」
村人E「でも……うまっ!!」
太郎「せやろ? これが大阪風や」
オカン「ぐぐぐ……(ヒロガ風、こんな山奥まで勢力伸ばしとるんか……)」
太郎「オカン、顔に出てるで」
オカン「ヒロガ風の本部どこや。今から“味の討ち入り”したる」
太郎「やめとけ!!」
翌日、山を越えると景色は一変した。
果てしなく広がる砂漠が、陽炎とともに揺らめいている。
ひより「わぁ……すごい……」
玲奈「急に世界が変わったみたいね」
晴斗「砂漠ってこんな広いんか……」
近くの街で砂漠用装備を整える。
店主「魔道馬車は砂に沈むで。砂漠はラクチンに乗らなあかん」
太郎「ラクチン?」
店主「砂漠に住む魔獣や。こぶが背中にあって乗り心地が“ラクチン”やからラクチンや」
晴斗「名前のクセ強いな」
オカン「でも乗り心地はほんまにラクチンや!」
オカン「太郎もラクチン乗ったら“タロチン”や。語感がクセ強すぎてクセになる」
太郎「クセにならんわ!」
オアシスへ向かう途中、砂の上に人が倒れていた。
太郎「おい、大丈夫か!」
ひより「治癒します……!」
倒れていたのは砂漠商人ヒルゼンだった。
ヒルゼン「……助かった……盗賊に襲われて……荷物を……全部……」
太郎「しゃーない、助けたるわ」
蒼真「太郎、困ってる人見ると放っとけん性格やな」
太郎「商売人は信用第一や」
オカン「太郎は困ってる人見たら助ける病や。治療費は高いで」
太郎「金は取らんでええ!」
蒼真が砂の乱れを読み取り、盗賊のアジトを特定する。
蒼真「岩山の裏手に洞窟がある。そこや」
太郎「行くで!」
洞窟に入ると、盗賊たちが砂煙魔法で視界を奪ってくる。
太郎「砂かけババア戦法か!」
晴斗「うおおおおおっ!!」
晴斗が正面突破し、玲奈が結界で逃げ道を塞ぎ、
蒼真が背後から一瞬で制圧する。
蒼真「終わったぞ」
太郎「最近の敵、瞬殺ばっかりやな」
オカン「敵が弱いんちゃう。うちらが強すぎるんや。反省せぇ」
太郎「なんで反省やねん!」
オアシスで休憩しながら、ヒルゼンが礼を述べる。
ヒルゼン「本当にありがとう……! 恩返しに、砂漠の情報を教える」
太郎「ほうほう」
ヒルゼン「この先、トトリ王国の王都ミササへ向かう途中にサンドワームの巣がある。
さらに……“砂漠の迷宮”と呼ばれる場所もな。魔力で方向感覚が狂う。風向きだけが頼りや」
玲奈「迷宮……厄介ね」
ひより「こわい……」
晴斗「でも行くしかないな」
オカン「水分補給はこまめにや!」
オカン「太郎、砂漠は乾燥するで。顔パック持っていこか?」
太郎「いらんわ!!」
太郎たちは砂漠の入口に立ち、揺らめく地平線を見つめた。
太郎「……なんか、でっかい影おったよな?」
蒼真「気のせいではない」
太郎「……よっしゃ。行くか」
こうして太郎たちは、砂漠の国トトリへと足を踏み入れるのだった。
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太郎「しかしラクチンって名前、どうにかならんのか」
晴斗「乗り心地はほんまにラクチンやけどな」
玲奈「語感がかわいいから私は好きよ」
ひより「……もふもふしてる……」
オカン「名前は大事やで。太郎も“タロチン”にするか?」
太郎「絶対嫌や!」
蒼真「……タロチン。悪くないな」
太郎「お前まで乗るな!」
晴斗「ほらタロチン、出発するで」
太郎「やめろ言うてるやろ!!」
オカン「タロチン、今日から正式採用や。拒否権はない」
太郎「独裁やんけ!!」
オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と言ってます
もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。
この作品はカクヨムにも同時投稿しており、どちらでも読みやすいように調整しています。更新はできるかぎり 毎日2回でがんばります。




