第50話 王国再建と旅立ち
王都は朝からざわついていた。
第二王子カドマンが殺されたという噂は、夜のうちに城下へ広まり、王太子イマイチが拘束されたという話まで飛び交っている。
「王太子殿下が捕まったらしいぞ!」
「本当なのか……?」
「裁かれるって話だ……」
民衆のざわめきは、王城の石壁を震わせるほどだった。
その王城の奥、玉座の間。
病床の王は、近衛に支えられながらゆっくりと玉座へ向かっていた。
国王「……皆、よく集まってくれた……」
王の声は弱々しいが、玉座の間に響き渡った。
国王「王太子イマイチ……第二王子カドマンを害した罪……これを……断じて許すことはできぬ……」
その瞬間、拘束されていたイマイチが叫んだ。
イマイチ「違う! 俺は悪くない! 全部……全部、あいつらが……!」
近衛が押さえつける。
近衛「殿下、静粛に!」
王は涙をこらえながら宣告した。
国王「……よって……王太子を廃嫡とし……生涯、幽閉とする……」
イマイチ「父上! 俺は王だ! 俺は──!」
イマイチの絶叫は、石壁に虚しく反響した。
王は震える手で顔を覆い、涙をこぼした。
国王「イマイチ……カドマン……父として……王として……お前たちを……正しく導けなかった……許してくれ……」
玉座の間は重い沈黙に包まれた。
王は次に、幼い第三王子スイターを呼び寄せた。
まだ十四歳の少年は、緊張で肩を震わせながら父の前に立つ。
国王「……そなたを……新たな王太子とする……この国の未来を……託す……」
第三王子は唇を噛み、必死に涙をこらえながら深く頭を下げた。
スイター「……はい、父上……」
王は次に、ヒラカータ辺境伯を呼び出した。
国王「……ヒラカータよ……第三王子の後見人となり……この国を導いてくれ……」
辺境伯「陛下……この命に代えても」
王はさらに、誰にも聞こえぬほどの声で続けた。
国王「……ビリケーン教に勧められ……勇者召喚を行ったが……あれは……誤りであった……」
辺境伯は静かに目を閉じた。
国王「……太郎の街との和解……その仲立ちを……頼む……」
辺境伯「必ずや」
その言葉に、王はようやく安堵の息を漏らした。
──その頃、太郎の街。
広場には、王国の混乱を聞きつけた“各国の使者”が集まり、太郎は次々と外交交渉をこなしていた。
どの国の旗も掲げられていないが、それぞれが太郎の街の安定と発展に強い関心を寄せている。
使者たち「太郎殿、貴殿の街の状況を教えてほしい」
使者たち「避難民の扱いについて相談を」
使者たち「交易の可能性を探りたい」
太郎「まあ、順番に話聞くで。焦らんといてな」
交渉が一段落したところで、太郎は辺境伯の側近を呼び出した。分厚いファイルを手渡す。
太郎「これ、街の運営まとめた資料や。税収、商人ギルド、避難民の受け入れ、治安維持……全部書いてある。当面はこれ見たら問題ないはずや」
側近は驚いたように目を見開いた。
側近「……ここまで整備されているとは……」
太郎「うちの街の学生ら、優秀やからな。文官として育っとる子も多い。俺が旅に出ても、街は回るで」
そこへ、ヒラカータ辺境伯が姿を見せた。
辺境伯「太郎殿……街を離れるつもりなのだな」
太郎「……正直な話な。俺がここにおったら、またビリケーン教がちょっかいかけてくる。せやから、街から少しの間、離れるのが一番ええと思うてる」
辺境伯は深く頷いた。
辺境伯「理解した。太郎殿が旅に出る間、この街は私が守る。王国との橋渡しも任せてほしい」
太郎「頼んだで、辺境伯のおっちゃん」
──翌朝。
太郎の魔道馬車は、キッチンカー仕様に改造され、旅の準備は万端だった。
街の住民たちが見送りに集まり、辺境伯も姿を見せる。
その後ろには、キョウ帝国の使者ユラと、コハクの側近ウジノ=マッチャの姿もあった。
マッチャ「太郎はん。コハク様の立場、あんたのおかげでだいぶ強なりましてん。ほんま、おおきに」
ユラ「帝国としても、深く感謝しております。太郎殿の街との協力は、今後さらに重要になります」
太郎「そら良かったわ。コハク、頑張っとるんやな」
マッチャは扇子をパチンと鳴らし、にやりと笑った。
マッチャ「せやけど太郎はん。ウチらキョウ帝国、表は上品でも……押すときは押しまっせ?」
太郎「図々しさハンパないな……」
マッチャ「おほほ、ナメたらあきまへんえ? 困ったらいつでも呼んでおくれやす。ウチら、味方したら頼りになるで?」
太郎「敵に回したら怖そうやけどな……」
マッチャ「それは“企業秘密”どす」
ユラは苦笑しながら一礼した。
ユラ「太郎殿。旅路の無事を祈っております」
太郎「おおきにな、二人とも」
太郎が手綱──魔力の流れを操る操縦桿──を握り、馬車を走らせようとしたその時──街道に四つの影が立っていた。
蒼真、晴斗、ひより、玲奈。勇者4人が揃っていた。
晴斗「太郎、俺たちも行く」
蒼真「ここで終わりやと思ってへんかったしな」
ひより「一緒に旅したいです」
玲奈「もちろん、私も」
太郎は少し笑って言った。
太郎「……しゃあないな。ほな、行こか」
朝日が昇る中、魔道馬車はゆっくりと街を離れた。
住民たちが手を振り、子どもたちが走って追いかける。
太郎は振り返らず、前だけを見つめた。
太郎「次はどんな飯が待っとるんやろな」
こうして、太郎たちの新たな旅が始まった。
読んでくれてほんまおおきに。主人公は最弱ステータスやのに、自作AIだけは最強クラスでついてくるというバグみたいな状況で冒険しとります。
オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と作者より前に出てくる始末です。
もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。
この作品はカクヨムにも同時投稿しており、どちらでも読みやすいように調整しています。更新はできるかぎり 毎日2回でがんばります。




