第46話 王国軍、崩壊の瞬間
太郎の街の城門前。
王国軍はついに到達した──はずだった。
だが、その姿は“軍”とは呼べない。
出発時五万の兵は、逃亡と病人で四万五千ほどにまで減っていた。
隊列は乱れ、兵士たちは泥に足を取られ、魔法兵は魔力が暴走寸前で震えている。
「もう歩けへん……」
「腹が……痛ぇ……」
「魔力が安定せん……気分悪い……」
病人は増え続け、士気は地に落ちていた。
そんな中、ビリケーン教の審問官が馬上で叫ぶ。
「退けば神罰が下る! ヒョウガミの息の根を止めるのです! これは神の試練である!」
兵士たちは恐怖でさらに顔を青ざめさせた。
将軍たちは必死に王太子イマイチへ進言する。
「殿下、兵はもう戦えませぬ! 撤退を──」
「黙れ!」
イマイチは怒鳴り返した。
「太郎の街は壊滅している! 病人だらけだと報告があった! 攻めれば勝てる!」
審問官がさらに煽る。
「殿下こそ神に選ばれし者……退くは冒涜……!」
将軍たちは顔を見合わせた。
誰もが「この男はもう駄目だ」と悟っていた。
城壁の上には誰もいない。
人の喧騒も聞こえず、食事の煙も上がらない。
ただ──城壁に立っているのは“本物のミスリルゴーレム(小)”だった。
しかし全身に布を巻かれ、木枠で補強され、まるで壊れたかかしのように動かない。
これは太郎が施した偽装だった。
本物のゴーレムを、あえて“ハリボテに見えるよう”にしているのだ。
「……あれ、ゴーレムか……?」
「いや……動いてへん……壊れてるんか……?」
「街は……本当に壊滅しているのかもしれん……」
審問官は宗教的に解釈した。
「見よ! 神罰でゴーレムすら動かぬ! 太郎の街は滅んでいるのだ!」
王国軍は完全に誤解した。
太郎の街が“崩壊しているように見せかけている”と気づく者は一人もいない。
*
その頃、街の住民は──。
「かき氷、ブルーハワイ追加でー!」
「わしはイチゴミルクや! 練乳ドバドバで頼むわ!」
子どもたちは砂浜で走り回り、
おばちゃんたちは焼きそばの鉄板を囲んでワイワイしている。
「この焼きそば、ソース濃いめで最高やわ!」
「太郎くんの街、ほんまサービスええなぁ!」
「ビール冷えてまっせー!」
「昼間から飲むビールは反則やろ! かんぱーい!」
男たちはビールを飲みまくり、完全に宴会状態だった。
「戦争? ああ、そんなのあったなぁ」
「ここおったら忘れるわ。天国か?」
住民たちは、戦争のことすら忘れ始めていた。
*
一方、城門前ではイマイチが剣を掲げて叫ぶ。
「攻撃せよ! 突撃だ!」
しかし──誰も動かない。
「……無理や……」
「立てへん……」
「もう帰らせてくれ……」
将軍たちはついに決断した。
「撤退する! これ以上は全滅だ!」
審問官は怒り狂う。
「神罰が下るぞ! 貴様ら異端者め!」
だが、誰も耳を貸さなかった。
王国軍は、戦うことなく崩壊した。
*
その頃、王都では第二王子カドマンが静かに動き出していた。
「……兄上が、そんな無茶を……。兵を見殺しにはできぬ。少数でよい、糧食を運べ」
ただそれだけを命じ、すぐに準備を始めた。
太郎は城壁の上から、撤退していく王国軍を静かに見下ろしていた。
「……ほな、王国の崩れ方、見届けさせてもらうで」
風狼が静かに鳴いた。
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蒼真「太郎、あいつら……もう戦えんで」
太郎「せやろ。戦わんでも勝てるんや」
晴斗「……俺らもリゾート行きたい……」
太郎「気持ちは分かるけど、仕事中や」
オカン「あんたら、住民の焼きそば争奪戦見た? 戦場より激しいで」
マッチャ「かき氷の行列、王国軍より長かったで」
ひより「ビール飲んでるおっちゃんら、完全に夏祭りでした」
辺境伯「……戦前とは思えん光景だな」
太郎「うちは守る戦いや。誰も死なんでええ」
晴斗「……でもビール飲みたい……」
太郎「お前高校生やからビールは飲めんわ」
読んでくれてほんまおおきに。主人公は最弱ステータスやのに、自作AIだけは最強クラスでついてくるというバグみたいな状況で冒険しとります。
オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と作者より前に出てくる始末です。
もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。
この作品はカクヨムにも同時投稿しており、どちらでも読みやすいように調整しています。更新はできるかぎり 毎日2回でがんばります。




