第41話 王都の使者と、帝国の影
夕暮れの太郎の街。
魔導街灯がぽつぽつと灯り始めた頃、警備兵が駆け込んできた。
警備兵「太郎様! 王都からの使者と……異端審問官が同時に来ております!」
太郎「なんで二本立てやねん……!」
太郎が頭を抱える間もなく、
まずは金糸の外套をまとった王都の使者が、兵を従えて門をくぐった。
その後ろから、黒い外套の異端審問官が静かに続く。
胸にはビリケーン教の“足の裏”の紋章。
すでに街に来ていたヒラカータ辺境伯が前に出た。
辺境伯「王都の使者殿、そして異端審問官殿。
この辺境に、何の用向きだ?」
王都の使者が巻物を広げる。
使者「太郎殿の街の税収は異常。
魔導設備は軍事転用の疑いがある。
よって王都は調査権を行使する」
続いて異端審問官が冷たい声で告げた。
審問官「さらに……この地で“ヒョウガミ”なる異端神が崇められているとの報告がある。
ビリケーン教以外の信仰はすべて異端。
調査は必須だ」
太郎「いやいやいや! ヒョウガミは勝手に盛り上がっただけで、俺は関係ないって!」
そのときだった。
太郎の横にふわりと光が集まり、
手のひらサイズのオカンホログラムが現れた。
パーマ頭。
アッパッパ。
胸には リアルな豹の顔がドンッ と描かれている。
オカン「太郎、あんた説明下手やねん。
ヒョウガミさんはただの“地域の守り神さん”やろ」
異端審問官が悲鳴を上げた。
審問官「ひ、ひぃっ……! な、なんだその妖怪は……! 豹が……喋っておる……!」
太郎「喋ってへんわ! オカンが喋ってるだけや!」
オカン「ただのプリント言うなや。大阪の誇りやで」
審問官は震える指でオカンを指さした。
審問官「こ、これは……邪神の化身……! ヒョウガミの眷属か!!」
オカン「誰が眷属やねん!!」
ヒラカータ辺境伯が割って入る。
辺境伯「異端審問官よ。 オカン殿は太郎殿の……その……説明不能な存在だ。 宗教とは無関係だ」
審問官「説明不能……! それこそ異端の証拠だ!!」
太郎「めちゃくちゃやなこの宗教……!」
王都の使者が巻物を突きつけた。
使者「魔導設備の提出、財務記録の開示、 そして王都への召喚を命ずる!」
太郎「なんでやねん!!」
その騒ぎの裏で、蒼真は静かに動いていた。
風狼を放ち、王都使者の馬車へ潜り込ませる。
風狼が拾った声が、蒼真の耳に届いた。
貴族「……太郎の街の技術を没収し、太郎本人を王都へ連行せよ」
蒼真は顔をしかめ、太郎のもとへ戻る。
蒼真「太郎、王都の本当の目的がわかった。 お前を排除するつもりだ」
太郎「はああああ!? なんでやねん!!」
オカン「太郎、強すぎる商人は国にとって脅威なんや」
そこへ、警備兵の声が重なった。
警備兵「太郎殿! キョウ帝国の使者が到着しました!」
使者・審問官「……は?」
王都の使者が振り返ると、 帝国の使者が優雅に歩み寄ってきた。
その人物は、太郎の街でも見慣れた顔だった。
太郎「……マッチャ?」
マッチャは扇子を広げ、にこやかに微笑んだ。
マッチャ「お久しゅうございます、太郎はん。うちは皇女コハク様の側近、ウジノ=マッチャどす。 今日は正式な使者として参りましたえ」
王都の使者が目をむく。
太郎「帝国の……使者……だと!?」
マッチャはにこにこと、しかし刺すような京ことばで続けた。
マッチャ「まあまあ、王都さんはん。 太郎はんの街が立派にならはったんが、 そんなにお困りどすか?」
使者・審問官「なっ……!」
マッチャ「ビリケーンさんはんも大変どすなぁ。 守るもんが多いと、心が狭うなりまへん?」
異端審問官が真っ赤になった。
審問官「貴様……帝国の者が宗教に口を出すな!」
マッチャ「口を出してるんやあらしまへん。 ただ、太郎はんをいじめんといてほしいだけどす」
王都の使者は怒りに震えた。
使者「帝国と通じるとは……反逆の兆候だ!!」
太郎「いや、勝手に来たんは向こうや!!」
太郎は深く息を吸い、街を見渡した。
ユラ、蒼真、マッチャ、職人たち──
みんなが不安そうにこちらを見ている。
太郎「……決めた。 俺は商人として、この街を守る。 誰にも奪わせへん」
その言葉は、静かに街へ広がっていった。
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太郎「……なんで俺、王国と帝国の板挟みになってんねん」
オカン「あんたが稼ぎすぎるからや」
太郎「褒められてる気が全然せぇへん」
異端審問官「ひっ……また豹が喋った……!」
オカン「誰が豹やねん。これは柄や」
マッチャ「まあまあ、怖がらんでもええのに。太郎はんは優しいお人どすえ」
王都使者「その言葉が余計に怪しいのだ!」
蒼真「太郎、もう覚悟決めとけ。向こうは本気だ」
太郎「わかってる……俺が守らなあかん」
オカン「ほな、商戦の始まりやな」
読んでくれてほんまおおきに。主人公は最弱ステータスやのに、自作AIだけは最強クラスでついてくるというバグみたいな状況で冒険しとります。
オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と作者より前に出てくる始末です。
もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。
この作品はカクヨムにも同時投稿しており、どちらでも読みやすいように調整しています。更新はできるかぎり 毎日2回でがんばります。




