第37話 茶器と相場と悪い笑顔
キョウ帝国との会談が終わり、太郎の街は一気に慌ただしくなっていた。
その中心にいるのは──もちろん太郎とオカンである。
キョウ帝国の第三皇女コハクは、太郎の街の商業力とダンジョン資源にすっかり魅了されていた。
コハク「太郎はんの街と取引する以上、王国側の窓口も必要どす。
せやから辺境伯様とは商売を続けますえ」
辺境伯「……感謝いたします!」
辺境伯は深々と頭を下げた。
太郎は苦笑しながら、帰還する辺境伯に大量のポーションを手渡す。
ひより「これ、兵士さんたちに使ってください」
辺境伯「こ、これほどの量を……!?太郎殿……恩に着る!」
オカン「太郎、ええことしたな」
太郎「まあ、困ってる人は助けなあかんしな」
辺境伯は感謝を胸に領地へ戻っていった。
一方、キョウ帝国の一行はしばらく太郎の街に滞在することになった。
コハク「太郎はんの街……見るところ多すぎますわぁ」
マッチャ「商売の匂いしかしませんなぁ」
ユラ「うち、しばらく滞在しますえ」
太郎は街が急に国際都市みたいになってきたことに、少し戸惑っていた。
倉庫に案内すると、帝国組は目を見開いた。
倉庫は以前より増築され、ダンジョン産の資源が山のように積まれている。
コハク「これは……宝の山どす……!」
コハクは希少金属の塊を手に取り、うっとりと眺めた。
コハク「太郎はん……これ、茶器職人に渡したら“最高級の茶器”が作れますわ。
帝都の貴族は茶器の格で家の格を語りますさかい」
太郎「素材だけじゃあかんのか?」
コハク「素材だけでは“ただの金属”どす。
名のある職人が仕上げてこそ、貴族がひれ伏す茶器になるんどす」
太郎「茶器でそんな変わるんか……庶民にはわからん……」
オカン「太郎、貴族は茶器で戦争するんやで」
マッチャは宝石の山を見てニヤリと笑う。
マッチャ「奥様方は宝石に弱いんどす。
これをアクセサリーに仕立てて渡したら、奥様方は一発で味方どすえ」
太郎「奥様外交って怖いな……」
オカン「太郎、奥様方は戦場やで」
コハクはミスリルの塊を見て、真剣な表情になる。
コハク「太郎はん……このミスリル、うちの近衛に使わせてもらえますか?
近衛の質は皇女の格そのものどす」
太郎「ええよ。オリハルコンは無理やけど、ミスリルなら」
コハク「これで……帝都に戻った時、うちの立場は一段と強まりますわ」
太郎はため息をついた。
太郎「貴族の世界って……ほんま庶民にはわからん……」
オカン「太郎、あんたは一生わからんで」
倉庫の奥には、小麦と米が山のように積まれていた。
オカンとユラが同時にニヤァと笑う。
太郎「……その顔やめろ!」
オカン「太郎、今回の作戦はこうや」
ユラが指を折りながら説明する。
ユラ「まず、蒼真はんの密偵部隊に“コウベ共和国が戦争準備で小麦を買い集めてる”と情報を流します」
オカン「次に、王国の小麦は不作で高騰ぎみや」
ユラ「そこへキョウ帝国が王国の小麦を買い付ける。
資金は太郎さんから買った素材で相殺どす」
オカン「するとサカイが“これは高騰する!”って思って買い集める」
オカン「庶民は不満。サカイは調子に乗る」
オカン「ほんで──十分高騰したところで、ダンジョン産小麦を安価で流す」
オカンの高笑いを聞きながら太郎は頭を抱えた。
太郎「……悪いなぁ!!?」
オカン「太郎、これは“正義の制裁”や」
ユラ「サカイはん、調子乗りすぎどしたからなぁ」
太郎はため息をつきながら、帝国組を食堂に案内した。
カレーライス、寿司、牛丼──
帝国組は衝撃を受けた。
コハク「な、なんどすかこの“カレー”という魔法の食べ物……!」
マッチャ「寿司……生魚がこんなに美味しいなんて……!」
ユラ「牛丼……これは……革命どす……!」
ユラは目を輝かせた。
ユラ「太郎さん、レシピ……売ってくれへん?」
太郎「商売の匂いしかしない!」
ユラ「太郎、レシピは高値で売れるで」
太郎「やっぱり商売の匂いしかしない!!」
晴斗「太郎、もう完全に商人だな……」
太郎「俺、いつからこんな商売人になったんや……」
オカン「最初からやで」
太郎「えぇ……」
──小麦相場は静かに揺れ始めていた。
太郎の街、キョウ帝国、そして王国の商人たちを巻き込む
“経済戦争”の幕が、いま上がる。
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【山田太郎】
職業:あきんど レベル:1(固定)
■基本ステータス
筋力:D+ 敏捷:C+ 体力:C-
魔力:C 精神:C- 知力:D+
器用:C+ 幸運:F+
■内部ステータス
内部レベル:47
内部補正:全ステ+130%
内部幸運:A
■ユニークスキル
<オカン>
└<鑑定+3> <経験値運用> <サーバーストレージ> <未来予測+1> <超魔改造>
<金で解決できへんことない>
└<札束でしばく> <課金ガチャ>
■スキル
<領地管理>
└<開拓> <防衛構築+1>
<魔法>
└<属性魔法> <魔力制御上級> <解呪> <ゴーレム操作>
<武術中級>
└<回避+1> <串うち乱れ撃ち>
<剣術中級>
└<レイピア中級> <高速刺突・極> <二刀流基礎> <ハヤブサ嵐舞>
<耐性>
└<熱耐性+3> <氷耐性+2> <精神抵抗> <おかんの手>
■加護
<勇者との絆>
■装備
ミスリル繊維軽装防具+1
オリハルコン製コテ
オリハルコン製ピック
ミスリル製串
ゴーレムの指輪
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太郎「……こうして見ると、俺のステータス、商人の域超えてへん?」
オカン「太郎、商売は戦いや。強さは必要経費やで」
太郎「経費の規模がデカすぎるんよ……」
コハク「太郎はん、その強さがあれば“茶器外交”も安心どす」
太郎「茶器で外交ってなんやねん!」
マッチャ「奥様方は宝石で戦争しますえ」
太郎「なんで貴族は平和に暮らされへんの……?」
ユラ「太郎さんもそのうち“見栄の戦場”に立ちますえ」
オカン「太郎、覚悟しとき。商売は命がけや」
太郎「いや俺、茶器で命がけになる予定なかった!!」
読んでくれてほんまおおきに。主人公は最弱ステータスやのに、自作AIだけは最強クラスでついてくるというバグみたいな状況で冒険しとります。
オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と作者より前に出てくる始末です。
もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。
この作品はカクヨムにも同時投稿しており、どちらでも読みやすいように調整しています。更新はできるかぎり 毎日2回でがんばります。




