第36話 帝国皇女と商人たちの思惑
太郎の街の会議室には、王国、キョウ帝国、そして太郎の街の代表が揃っていた。
重苦しい空気の中、最初に口を開いたのはキョウ帝国の第三皇女・コハクだった。
コハク「太郎はんの街……ようやってはりますなぁ。
この短期間でここまで育てはるとは、たいしたもんどす」
太郎「褒められた!」
オカン「太郎、あれ皮肉やで」
太郎「なんでやねん!」
勇者パーティは慣れた顔でため息をついた。
コハクは扇子を軽く開き、静かに続けた。
コハク「うち……帝国内での立場、ちぃと弱いんどす。
せやから太郎はんの街と“特別な交易”を結びたい思てますの。
味方が増えたら、うちの発言力も強まりますさかい」
太郎「その年でそんな政治の話すんの!?」
オカン「この子、若いけど腹黒いで」
コハク「腹黒い言わんといてほしいわぁ」
マッチャが静かに口を開く。
マッチャ「実は……辺境伯様とは少しお話してましたんえ。
せやけど太郎はんの街のほうが将来性ありますさかい、
うちはこっちにつかせてもらいます」
オカン「辺境伯より太郎のほうが儲かるって言うてるで」
辺境伯 「マッチャ殿!? 裏切ったのか!」
マッチャ 「裏切りやあらしまへん。商売の方向転換どす」
オカン「切り捨てられたってことや」
辺境伯 「ぐっ……!」
その辺境伯が、ずっとオカンをチラチラ見ていた。
ついに意を決して口を開く。
辺境伯「そ、その……失礼を承知で伺うが……あなた様は……ヒョウガミ様の……眷属なのでは……?」
会議室が静まり返る。
太郎「えっ!? オカン、そうなん!?」
オカン「ちゃうわ!!」
オカン「この恰好はな、大阪マダムの正装や。ヒョウガミとか関係あらへん」
辺境伯「お、おおさか……ま、だむ……?」
コハク 「……ようわからん文化どすなぁ」
太郎 「説明になってへん!」
ユラが手を挙げた。
ユラ「太郎さん……王国中央商人ギルドのサカイはん、
小豆相場を操作して儲けてはったんどす」
太郎「え、そんなことが!?」
ユラ「……実は、うちのニシキ商店も
ちぃと手ぇ貸してもうて……すんまへん」
太郎「えええええ!?」
オカン「サカイ……絶対許さん。ウチの資産減らした罪を贖ってもらうで」
太郎「オカン、会ったこともないやろ!」
オカン「関係あらへん! 敵や!」
玲奈「オカンさん、顔が魔王みたいになってる……!」
オカン「ユラちゃん、ちょっと裏来よか」
ユラ「え、なんどす?」
太郎「オカン、何する気や!?」
オカン「太郎は黙っとき」
二人は会議室を出ていった。
──数分後。
戻ってきた二人は、
悪い顔 をしていた。
太郎「なんで二人とも悪い顔してんねん!?」
オカン「気のせいや」
ユラ「気のせいどすえ」
勇者たち「絶対気のせいじゃない……!」
太郎「ところで、ダンジョンのほうはどうなってるん?」
オカン「農業区画、さらに拡張しといたで。小麦も米も順調や」
太郎「また増やしたんかい!」
玲奈「オカンさん、あれもう農業じゃなくて国家プロジェクト……」
オカン(サカイ……覚悟しときや……)
ユラ(これは……儲かる匂いしかしませんわ……)
辺境伯 「太郎殿……私も取引を願いたい。この街の発展は王国にとっても利益となる」
コハク 「辺境伯様……よう言わはりますなぁ。さっきまで太郎はんを攻めてはったのに」
オカン「手のひら返しって言われてるで」
辺境伯 「ぐぬぬ……!」
オカン「ほな、うちの街と取引したいなら条件あるで」
・街の独立性を尊重
・税や関税は太郎が決める
・ダンジョン資源は太郎の所有
・商売は公平
・裏取引は禁止
太郎「それと──キョウ帝国へ行くための“通行許可証”が欲しい」
マッチャが懐から数枚の札を取り出しコハクに渡す。
コハク「もちろん用意してますえ。
太郎はんの分、勇者はんらの分も全部どす。
これがあれば──
帝国への税金なし、通行料なし どす」
ユラ「さらに ニシキ商店での割引つき どす」
太郎「えっ!? そんなVIP待遇なん!?」
ユラ 「太郎さんは特別どす。うちの商店、太郎さんには“特別価格”で対応しますえ」
マッチャ 「太郎はんと組むんや。これくらい当然どす」
晴斗「太郎、これは実質“帝国公認の上客”ってことや」
蒼真「なんかすごいことになってきたな……!」
太郎「ところで、さっき裏で何の話してたん?」
オカン「太郎、気にせんでええ。乙女の秘密や」
ユラ「そのうち“おもろいこと”になりますえ」
太郎「絶対ろくなことちゃうやろ!」
──太郎はまだ知らなかった。
オカンとユラが“穀物相場を揺るがす計画”を立てていたことを。
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太郎「ダンジョン農業、順調どころか増えてたな」
オカン「太郎が許可出したら、そら拡張するに決まっとる」
太郎「いや、あれもう街の経済握っとるやん」
ユラ「太郎さん、あれ使えば相場ひっくり返せますえ」
オカン「ユラちゃん、ええこと言うわ」
勇者たち「二人とも悪い顔してる……」
太郎「俺、なんか危ない橋渡ってへん?」
オカン「安心し、落ちる前にウチが引っ張り上げたる」
太郎「その“安心”が一番怖いんよな……」
マッチャ「でも儲かりまっせ?」
読んでくれてほんまおおきに。主人公は最弱ステータスやのに、自作AIだけは最強クラスでついてくるというバグみたいな状況で冒険しとります。
オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と作者より前に出てくる始末です。
もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。
この作品はカクヨムにも同時投稿しており、どちらでも読みやすいように調整しています。更新はできるかぎり 毎日2回でがんばります。




