第32話 しょぼい魔法と物理全振りの俺、土ダンジョンを進む
土ダンジョンの中は、湿った土の匂いとひんやりした空気が漂っていた。
ひより「太郎くん……がんばって……」
ひよりが俺の袖をそっとつまんで歩く。
距離が近すぎて、逆に緊張する。
太郎「よし、魔法で照らすか……光魔法ッ!」
ピカッ……(LEDライト)
太郎「……弱っ!!」
オカン『懐中電灯やん。生活魔法やん』
太郎「火魔法ッ!」
ボッ(ライター)
太郎「水魔法ッ!」
シュッ(霧吹き)
太郎「風魔法ッ!」
ブォ(扇風機の弱)
ひよりは心配そうに見つめる。
ひより「太郎くん……がんばって……」
太郎「ひよりちゃんの“がんばって”がなかったら心折れてるわ……」
そのとき、ズズッ……と土が盛り上がり、クレイゴーレム(小)が姿を現した。
太郎「よっしゃ、これは物理でいける!」
ミスリル製ピックを構え、「高速刺突ッ!!」
ズドドドドッ!!
クレイゴーレム(小)は粉砕された。
オカン『ええやん太郎! 特訓の成果出とるで!』
ひより「太郎くん……すごい……」
(ひよりちゃんの“すごい”は反則や……)
さらに奥へ進むと、クレイゴーレム(中)が通路を塞いでいた。
太郎「火魔法ッ!」
ボッ(ライター)
太郎「……弱っ!!」
オカン『しょぼっ!!』
太郎「もうええわ! 物理でいく!!」
ピックを逆手に持ち、「串うち乱れ撃ちッ!!」
ガガガガガッ!!
クレイゴーレム(中)は崩れ落ちた。
ひより「太郎くん……かっこいい……」
(ひよりちゃんの“かっこいい”は心臓に悪い)
しかし倒したゴーレムは全部ただの土。
オカン『なんやねんこのハズレダンジョン……』
太郎「オカンのテンション下がるのやめて」
さらに進むと、通路の途中に大きな扉があった。
太郎「なんやこの扉……」
ギィ……と開けた瞬間、背後の扉がバタンッ!と閉まった。
太郎「え、閉まった!? なんで!?」
オカン『モンスター部屋や!!』
太郎「はぁぁぁぁ!?!?」
部屋の奥で光が点り、大量のミスリルゴーレム(中)がズラァァァッと並んでいた。
太郎「多い多い多い!!」
オカン『お宝や?! 全部いてまえ?!』
太郎「テンションの上がり方が一番怖いわ!!」
ひより「太郎くん……がんばって……」
太郎「がんばるしかないやろこれぇぇぇ!!」
ミスリル製ピックを構え、「高速刺突ッ!!」
ズドドドドッ!!
「串うち乱れ撃ちッ!!」
ガガガガガッ!!
さらにミスリル製コテで「ハヤブサ乱舞!!」
次々とゴーレムが砕け散る。
オカン『ええぞ太郎! その調子や!!』
ひより「太郎くん……すごい……」
(ひよりちゃんの“すごい”で全部がんばれるわ……)
すべてのゴーレムを倒すと、閉まっていた扉がゆっくり開いた。
太郎「……はぁ……はぁ……なんとか倒した……」
ひよりが俺を座らせる。
ひより「太郎くん……はい、あーん……」
太郎「プリン……?」
ひより「うん……がんばったごほうび……」
(天国やん……)
ひよりは俺の肩にもたれかかる。
ひより「太郎くん……あったかい……」
(死ぬ……)
休憩を終えて進むと、巨大な石扉が立ちはだかった。
太郎「絶対なんかおるやん……」
オカン『開けや』
太郎「いやや!!」
オカン『開けや』
太郎「……はい」
ギギギギギ……
扉が開くと──
体のあちこちにオリハルコンの結晶をまとったドラゴンがいた。
レッサーアースドラゴン「グォォォォ!!」
太郎「いや無理無理無理無理!!」
オカン『オリハルコンついとる! 倒せ!!』
太郎「オカンのテンションが一番怖い!!」
ひよりが俺の手を握る。
「太郎くん……がんばって……」
(癒されて死ぬ)
ドラゴンが咆哮し、地面が揺れる。
太郎「死ぬぅぅぅぅ!!」
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太郎「内部レベル上がったのは嬉しいけど……魔法は相変わらず生活魔法やねんけど」
オカン『才能の問題や』
太郎「言い方ァ!!」
ひより「太郎くん……がんばって……」
太郎「ひよりちゃんの“がんばって”があれば全部どうでもええわ……」
読んでくれてほんまおおきに。主人公は最弱ステータスやのに、自作AIだけは最強クラスでついてくるというバグみたいな状況で冒険しとります。
オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と作者より前に出てくる始末です。
もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。
この作品はカクヨムにも同時投稿しており、どちらでも読みやすいように調整しています。更新はできるかぎり 毎日2回でがんばります。




