第31話 勇者のステータスを見た瞬間、心が折れた音がした
ギルドの訓練場に、勇者パーティ四人が並んで立っていた。
晴斗、玲奈、蒼真、ひより。
全員、以前より明らかに強くなってる。オーラが違う。
「太郎くん、準備はいい?」
晴斗が爽やかに笑う。
その爽やかさが逆に腹立つ。
「じゃあ、まずは俺から見てもらおか」
晴斗が水晶板に手を置くと、光が走った。
【豊中晴斗】
職業:勇者 レベル:50
■基本ステータス
筋力:A+ 敏捷:A+ 体力:A+
魔力:C 精神:B+ 知力:C
器用:C 幸運:D
■スキル
<剣術上級> <勇者の加護> <戦闘予測+2>
<魔力抵抗+1> <リーダーシップ+3>
<勇者必殺・天破一閃>
■装備
勇者装備一式(強化済)
ミスリルロングソード改+2
「……いや、強すぎやろ。なんで同級生がA+連打なんや……」
太郎は震えた。
【守口玲奈】
職業:賢者 レベル:49
■基本ステータス
筋力:D 敏捷:C 体力:C
魔力:A+ 精神:A+ 知力:A+
器用:C 幸運:C
■スキル
<大賢者の知恵+5> <高位回復魔法>
<結界術> <分析+3>
<魔導変杖操作>
■装備
賢者の法衣(魔力変質対応)
魔導変杖〈エレメンタル・レギオン〉
「ステータスより衣装がコロコロ変わるコスプレ賢者が怖いんよ……」
太郎は震えた。
【茨木蒼真】
職業:忍者 レベル:51
■基本ステータス
筋力:C 敏捷:A+ 体力:B
魔力:B 精神:C 知力:A
器用:B+ 幸運:C
■スキル
<影走り> <隠密+4> <情報解析+3>
<魔力制御・中級> <影索術>
<隠密・極意> <影分身>
■装備
忍装束・黒影(敏捷強化)
影手裏剣
魔力糸
「影が本体ちゃうんか……? 影の方が強いやん……」
太郎は震えた。
【天満ひより】
職業:聖女 レベル:48
■基本ステータス
筋力:D 敏捷:C 体力:C
魔力:B+ 精神:A+ 知力:C
器用:C 幸運:S
■スキル
<聖女の祈り+4> <奇跡+5>
<高位治癒> <祝福>
<聖域・極致>
■装備
聖女のローブ(魔力変質対応)
聖杖ルミナス
「幸運Sってなんやねん……人生のチートやん……」
太郎は震えた。
「太郎、あんたの番やで」
「……見せなあかん?」
「見せなあかん」
しゃあない。
俺は水晶板に手を置いた。
【山田太郎】
職業:あきんど レベル:1(固定)
■基本ステータス
筋力:D 敏捷:C 体力:D+
魔力:C- 精神:D+ 知力:D
器用:C 幸運:F
■内部ステータス
内部レベル:45
内部補正:全ステ+108%
内部幸運:A
■ユニークスキル
<オカン>
└<鑑定+3> <経験値運用> <サーバーストレージ>
<未来予測+1> <超魔改造>
<金で解決できへんことない>
└<札束でしばく> <課金ガチャ>
■スキル
<領地管理>
└<開拓> <防衛構築+1>
<魔法>
└<魔力制御上級> <解呪> <ゴーレム操作>
<武術中級>
└<回避+1> <串うち乱れ撃ち>
<剣術中級>
└<高速刺突> <レイピア中級> <ハヤブサ乱舞> <二刀流基礎>
<生産技術初級>
└<鍛治初級> <調理初級>
<耐性>
└<熱耐性+3> <氷耐性+2> <おかんの手>
■装備
ミスリル繊維軽装防具+1
ミスリル製コテ+1
ミスリル製ピック+1
ミスリル製串
ゴーレムの指輪
「ステータス低いのに……なんでスキル欄だけ魔王みたいなん……?」
太郎は自分で震えた。
「太郎くん、スキルの圧がすごいよ……?」
ひよりが引き気味。
「太郎、スキルだけ見たら勇者超えてるぞ」
蒼真が真顔。
「太郎くん……これ……管理できてるの……?」
玲奈が引きつった笑顔。
「太郎くん、すごいやん!」
晴斗だけが爽やかに笑う。
一番怖いのはこいつや。
◆ オカン発案の狂気特訓開始
「太郎、あんたの弱点は全部や。せやから──」
オカンが分厚い冊子を取り出した。
『太郎完全強化マニュアル(狂)』
「タイトル怖っ!!」
勇者たちが説明書を覗き込む。
「……これ、本当にやるの?」
玲奈が眉をひそめる。
「太郎くん死なん?」
ひよりが心配そうに言う。
「いや、これ……狂ってるやろ」
蒼真が真顔で言う。
「太郎くん、がんばろな!」
晴斗だけが爽やかに笑っていた。
一番怖いのはこいつや。
◆ 晴斗担当:筋力・体力特訓
「太郎くん、まずは“勇者式フィジカル強化”や!」
「嫌な予感しかしない!」
「ほな、まずはこれ背負って100Km走ろか! 途中パンチとかキックとかあるからね」
晴斗が出したのは──
おもりの入った巨大リュック(重量80kg)
「無理無理無理無理!!」
「大丈夫や! 死なん程度にボコるから!」
「ボコる前提やめろ!!」
走る太郎。
転ぶ太郎。
追撃パンチが飛んでくる。
「ぐはぁ!! 死ぬ!!」
「死なん死なん!」
「死ぬわ!!」
◆ 蒼真担当:敏捷・器用特訓
「太郎、これを頭に乗せろ」
蒼真が渡してきたのは──
熱湯入りのバケツ
「いやいやいやいや!!」
「こぼしたら熱いだけだ。攻撃に当たると痛い」
「どっちも嫌や!!」
「では、多方向から攻撃する。全部避けろ」
「無理や!!」
蒼真の手裏剣(木製)
蒼真の蹴り
蒼真の影分身
蒼真の魔力糸
「アチーー!!」
「いたーー!!」
「影が殴ってきたぁぁぁ!!」
「太郎、バケツが傾いてる。」
「知っとるわ!!」
◆ 玲奈担当:魔力・知力特訓
玲奈はスーツに眼鏡の“先生モード”。
「太郎くん、フラッシュ暗算いくわよ」
「なんで先生スタイルなん!?」
「……そ、その方が集中できるでしょ?」
「321、スタート」
玲奈が魔導変杖をムチ形態に変える。
「間違えたらしばくからね?」
「教育の概念どこいった!?」
「問題。“87×46÷2+129ー58×3=?”」
「無理や!!」
バチィン!
「痛ぁぁぁ!! なんでムチの色変わった!?」
「属性変わったのよ。今のは“雷”」
「やめろや!!」
「次は“氷属性ムチ”ね。魔力を見て、対応する属性で受けないと痛み倍増よ?」
「そんな高等技術できるかぁ!!」
◆ ひより担当:精神・幸運特訓
「太郎くん、こっち来て……」
ひよりが膝枕をしてくれる。
「天国か……?」
「がんばったね……太郎くん……」
「ヒヨリちゃん……癒し……」
「太郎くん、あーん……」
「え、食べさせてくれるの……?」
「うん……はい、プリン……」
「天国やん……なんでこんなに甘やかしてくれるの」
「でもね太郎くん……」
「ん?」
「この特訓……」
「うん……?」
「1週間続くんだよ?」
「地獄やん!!!!」
──その瞬間、頭の中に文字が浮かんだ。
『<精神抵抗>を取得しました』
【山田太郎】
職業:あきんど レベル:1(固定)
■基本ステータス
筋力:D+↑ 敏捷:C+↑ 体力:C-↑
魔力:C↑ 精神:C-↑ 知力:D+↑
器用:C+↑ 幸運:F+↑
■内部ステータス
内部レベル:45
内部補正:全ステ+112%
内部幸運:A
■ユニークスキル
<オカン>
└<鑑定+3> <経験値運用> <サーバーストレージ> <未来予測+1> <超魔改造>
<金で解決できへんことない>
└<札束でしばく> <課金ガチャ>
■スキル
<領地管理>
└<開拓> <防衛構築+1>
<魔法>
└<属性魔法(new)> <魔力制御上級> <解呪> <ゴーレム操作>
<武術中級>
└<回避+1> <串うち乱れ撃ち>
<剣術中級>
└<レイピア中級> <高速刺突> <二刀流基礎> <ハヤブサ乱舞>
<耐性>
└<熱耐性+3> <氷耐性+2> <精神抵抗> <おかんの手>
■加護
<勇者との絆>
■装備
ミスリル繊維軽装防具+1
ミスリル製コテ+1
ミスリル製ピック+1
ミスリル製串
ゴーレムの指輪
太郎はステータス欄を見て固まった。
「……“属性魔法(new)”って、俺いつ覚えたん?」
『あんた魔力高いし、そろそろええやろ思て付けといた』
「勝手に付けんなや!! てか俺、魔法使えるん!?」
『使えるで。火ぃとか水ぃとか。しょぼいけどな』
「なんで魔力高いのにしょぼいねん!!」
『実装が雑やったんや。細かい調整めんどかったし』
「めんどかったで済ますな!!」
『最初は“火の点”しか出ぇへんけど、成長したら“火の線”くらいにはなるで』
「弱っ!! 線って何やねん!!」
『あんたならいけるって。ほら、まずは“点”からや』
「俺の魔法だけチュートリアル感すごいんやけど!!」
読んでくれてほんまおおきに。主人公は最弱ステータスやのに、自作AIだけは最強クラスでついてくるというバグみたいな状況で冒険しとります。
オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と作者より前に出てくる始末です。
もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。
この作品はカクヨムにも同時投稿しており、どちらでも読みやすいように調整しています。更新はできるかぎり 毎日2回でがんばります。




