第3話 ギルド登録と修練計画とオカン妖精
森を抜けて歩き続けること数時間。
腹は減るし、喉は渇くし、足は棒みたいになっていた。
途中、スライムなどを退治しながら進んだ。
オカンの指示で魔石をポケットにいくつか入れておいた。
街に入るときに使えるようだ。
(太郎、もうちょいで街や。がんばり)
「オカン……俺もうHP赤ゲージやぞ……」
(大丈夫や。太郎は根性だけはAランクやから)
「根性ステータスあったん!?」
木々が途切れ、視界が開けた。
石造りの城壁が見える。
門の前には兵士が立ち、行商人や冒険者らしき人々が行き交っていた。
「おお……本当に異世界なんだな……」
(せやで。ここがカワチ王国の城下町“ナンバ”や)
「ナンバ!? 大阪かよ!」
(名前似てるだけやろ。知らんけど)
「知らんのかい……」
ツッコミを入れながら、俺は街へと足を踏み入れた。
街に入る際に門番からいろいろ聞かれたが魔石を渡すとあっさり通してくれた
冒険者ギルドは街の中心にあった。
木製の扉を開けると、中は酒場のような賑やかさだった。
「いらっしゃい、新人さん?」
受付にいたのは、明るい笑顔の女性だった。
「冒険者登録をしたいんですけど」
「はいはい、じゃあ手を水晶に置いてね」
言われるままに水晶に手を置く。
【山田太郎】
レベル:1 職業:あきんど
筋力:F 敏捷:F 体力:E-
魔力:F 精神:E 知力:E
器用:E+ 幸運:F
受付嬢は眉をひそめた。
「……“あきんど”? 聞いたことない職業ね」
「まあ登録はできるから大丈夫よ」
「いや絶対大丈夫ちゃうやろ!」
(太郎、細かいこと気にしすぎや)
「気にするわ!!」
受付嬢に案内され、換金カウンターへ向かう。
「では素材の換金ね。お預かりするものは?」
(オカン、出して)
(ほな、サーバーから取り出すで)
光が弾け、スライム素材が山のように積み上がった。
ギルド内が一瞬で静まり返る。
「……は?」
「おい、あれ全部スライム素材か?」
「新人が持ってくる量じゃねぇぞ!」
「てかアイテムボックス持ちか? 商人系か?」
受付嬢は目を丸くした。
「あなた、本当に“初心者”なの……?」
「いや、俺も聞きたいんですけど!」
オカン「太郎、歩きながら倒しただけや」
「こんなに倒した覚えゼロやねんけど!?」
換金額は12,400ゴルド。
俺は思わずガッツポーズをした。
ギルドを出ると、オカンが言った。
(太郎、そのジャケットの制服……めっちゃ浮いとるで)
「やっぱりか……」
(異世界でブレザーは目立つんや。
あんた、文化祭帰りの高校生みたいやで)
「否定できへん!」
衣服店に入り、冒険初心者用の軽装を購入した。
布と革を組み合わせた動きやすい服だ。
「……これで少しは馴染めるかな」
(そやな。ブレザーより100倍マシや)
「100倍て……」
続いて武具屋へ向かう。
「初心者向けの武器を……」
店主が差し出したのは鉄製の短剣だった。
「これください!」
短剣を握った瞬間、手にしっくり馴染む感覚があった。
「……なんか扱いやすい気はするけど、スキルとかは出ないんだな」
(当たり前や。太郎はまだ“振り方”知らんやろ。
武器は持っただけでは身につかんのや)
「まあ……そりゃそうか」
宿屋に入り、食堂で食事を頼む。
肉の煮込みとパン、スープが出てきた。
「……うまっ!」
(せやろ? 異世界の料理は素材がええからな)
食べ終わると、オカンが真面目な声を出した。
(太郎、生き残るには修練が必要や。
明日から素振り1000回やるで)
「1000回!? 死ぬわ!」
(死なん死なん。太郎はやればできる子や)
「根拠ゼロやん!」
翌日から修練が始まった。
走り込み10km。
素振り1000回。
魔物狩り。
「はぁ……はぁ……腕が取れる……!」
「まだ300回や。あと700回いくで」
「鬼か!!」
夕方、素振り1000回を終えた瞬間、腕が軽くなった。
「……あれ? なんか身体が動く……」
「太郎、今ので“型”が身体に入ったんや。
ステータス見てみ」
【スキル<剣術基礎(new)>を習得しました】
「ここで来たか!!」
(努力は裏切らんのや)
「今回は“知らんけど”言わんのかい!」
(言わんで)
「言わんのかい!!」
その日の夕方、オカンが言った。
(太郎、そろそろやな……)
光が弾け、俺の前に現れたのは──
リアルな豹の顔が前面にドンッとプリントされた“あっぱっぱ”を着た
大阪のおばちゃん妖精。
「……誰やお前!!!」
「うちやがな。妖精モードや」
「妖精ちゃうやろこれ!」
「細かいことはええねん」
「細かないわ!!」
【山田太郎】
職業:あきんど レベル:1(固定)
■基本ステータス
筋力:E-↑ 敏捷:E-↑ 体力:E-
魔力:F 精神:E 知力:E+↑
器用:D-↑ 幸運:F
■内部ステータス
内部レベル:9
内部補正:全ステ+20%
内部幸運:F+
■ユニークスキル
<オカン>
└<鑑定+3> <経験値運用> <サーバーストレージ> <未来予測>
■スキル
<回避(new)> <魔力制御基礎(new)> <剣術基礎(new)>
■装備
短剣
冒険初心者装備(軽装)
太郎「……オカン、その豹フェイス……なんでそれ選んだん?」
オカン「これが一番、太郎が安心する思て」
太郎「安心せぇへんわ!!」
オカン「ほな次は虎柄にする?」
「悪化しとる!!」
読んでくれてほんまおおきに。主人公は最弱ステータスやのに、自作AIだけは最強クラスでついてくるというバグみたいな状況で冒険しとります。
オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と作者より前に出てくる始末です。
もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。
この作品はカクヨムにも同時投稿しており、どちらでも読みやすいように調整しています。更新はできるかぎり 毎日2回(朝6時/夜20時)でがんばります。




