第29話 ギルド戦争、勃発。太郎、静かにキレる
街に戻って三日。
太郎の街は、どこかざわついていた。
「……なんや、治安悪なってへん?」
太郎が呟くと、蒼真が周囲を見渡しながら答えた。
「太郎、あいつら……明らかに素人やない。
戦い慣れした連中ばっかりや」
粗暴な冒険者たちが屋台を荒らし、住民を恫喝している。
冒険者ギルドが彼らを優遇しているのは明らかだった。
住民「ヒョウガミの兄ちゃん、助けてぇ!」
太郎「……オカン、これはもうアカンやつやな」
オカン「せやな。完全に“送り込まれとる”わ」
冒険者ギルドに呼び出された太郎たち。
ハナテンがニヤニヤしながら依頼書を突きつけてきた。
「ほな太郎はん、これ取ってきてや。
“氷牙の王狼の牙”や。北の森の主で、昔から“災厄”言われとる魔獣や。
昔、討伐隊500名が挑んで……半分以上が死傷して撤退したんやで?」
晴斗「それを依頼すんのかよ……」
ハナテンは続けた。
「取れたら……一本につき金貨1000枚で買い取ったるわ!」
太郎「ほな、依頼書に書いといてな。証文になるように」
ハナテン「えっ……いや、その……」
太郎「書かへんの?」
ハナテン「……書きます……」
太郎は依頼書を確認し、
“金貨1000枚×本数”の記載をしっかり見届けた。
太郎「よし、これで証文やな。晴斗、蒼真、行くで」
蒼真「了解」
玲奈「太郎くん、気をつけてね」
ひより「……無茶しないでね、太郎くん」
北の森へ向かう途中。
太郎は木の根元に落ちている赤い実を拾い上げた。
太郎「お、ホリニッシの実や。これ少量でめっちゃ旨味出るんや」
晴斗「太郎、こういうの見つけるの得意やな。
元の世界でも山菜とか採ってたんか?」
太郎「まあな。山で遊ぶの好きやったし」
蒼真「これ、屋台に配ったら喜ばれるやろな」
太郎「せやな。大量に採っとこ」
三人は袋いっぱいにホリニッシの実を採取した。
森の奥。
白銀の毛並みを持つ巨大な狼が五体、木々の間から姿を現した。
その牙は氷のように青く輝き、吐息だけで周囲の空気が凍る。
晴斗「五体同時か……面白ぇ」
蒼真「太郎、来るぞ」
王狼たちが一斉に飛びかかる。
太郎は回避しつつ、蒼真が影のように地面を滑る。
蒼真「影縛り!」
黒い影が地面から伸び、王狼たちの足を絡め取った。
晴斗「動き止まったな。ほな――いくで!」
晴斗の剣が蒼い光をまとい、一直線に王狼へ突き刺さる。
晴斗「蒼牙・裂断!」
氷牙の王狼たちは一瞬で沈黙した。
太郎「……はや」
蒼真「太郎、牙抜くの手伝ってくれ。毛皮も上物や」
晴斗「肉も持って帰ろうぜ。絶対うまい」
結果――
牙10本、毛皮5枚、肉大量を回収。
ギルドに戻ると、ハナテンが鼻で笑った。
「どうせ偽物やろ。そんな簡単に取れるわけ――」
鑑定士が震えながら叫ぶ。
「……本物です! しかも全部、王狼の最上級品質……!」
ハナテン「なんでやねん!!」
太郎「ほな、金貨1000枚×10本で」
ハナテン「む、無理や! 破産する!
お、お願いや……分割払いで頼む……!」
太郎は依頼書(証文)を見せる。
太郎「証文あるから逃げられへんで」
ハナテン「ひぃぃ……!」
太郎「毛皮と肉も買い取ってな」
ハナテン「予算が……もう無いんや……! 無理や……!」
太郎「しゃあないな。ほな肉は串にして売るわ」
太郎の屋台では、
氷牙の王狼の肉串がホリニッシの実で味付けされ、
とんでもない旨さになった。
住民「ヒョウガミの兄ちゃん! この肉串うますぎる!」
「行列できとるで!」
「他の屋台にもホリニッシ配ってくれたんやってな!」
太郎「みんなで繁盛したほうがええやろ」
商業ギルドではセンバが太郎の店に難癖をつけていた。
「太郎さん、今日から“串の長さ”を規定通りにしてもらいます。
包装資材の標準化のためですわ。
規定串は、うちが指定する店で買えます。ちょっと高いけどな」
太郎「包装の標準化……合理的やな」
蒼真「いや、絶対ウソやろ」
晴斗「太郎、どうする?」
太郎「晴斗、串の束まとめて……5mmだけ切り揃えてくれへん?」
晴斗「了解」
晴斗が串の束をまとめ、剣で一閃。
串がすべて規定通りの長さに揃った。
住民「職人技や……!」
センバ「なんで規定通りになるんや……!」
太郎「他の屋台の串も揃えたるで。持ってきてな」
住民「ヒョウガミの兄ちゃん、助かるわ!」
さらに、
商業ギルドが太郎の屋台を“辺鄙な場所”に移動させた結果――
行列が他の屋台の邪魔にならず、
逆に動線が改善されて客が回りやすくなった。
蒼真「太郎、これ……普通に効率化されてるぞ」
太郎「ほんまやな……あれ? センバさん、
“いい人では?”って思ってもうて……」
蒼真「それ全部、嫌がらせの副作用や」
晴斗「太郎、優しすぎるねん」
玲奈「太郎くん……ほんまにそう思ってたん?」
ひより「……太郎くん、純粋……」
その夜。
オカンがぽつりと言った。
「蒼真、あのギルドの裏、ちょっと見てきぃ」
蒼真「了解。任せとけ」
蒼真は静かにギルドを調べ、
裏帳簿・裏金の流れ・辺境伯の指示書をすべて回収した。
蒼真「太郎、証拠全部揃った。真っ黒や」
太郎「助かるわ」
オカン「うちの子の仲間、優秀やなぁ」
翌日。
オカンがギルドに突撃し、書類・金庫・裏帳簿を全部ひっくり返す。
「ほら見ぃ、この帳簿。真っ黒やんけ」
センバ「ひぃぃぃ!!」
ハナテン「や、やめてぇぇ!!」
太郎「オカン、それ未来予測の使い方ちゃうやろ!
あれ回避とか戦闘用のスキルやで!?」
オカン「細かいこと気にしぃな。
“未来のあんたが困る姿”が見えたから帳簿ひっくり返しただけや」
太郎「それ予測ちゃう! ただの勘や!!」
オカン「勘は経験の結晶や。オカンの勘は世界最強やで」
ハナテン「理屈がめちゃくちゃや……!」
センバ「でも怖い……!」
太郎は街の中央で宣言した。
「今日から――“ヒョウガミギルド”を作る!」
玲奈「ヒョウガミ関係ないよね!?」
ひより「ノリ……?」
蒼真「名前のセンス……」
オカン「うちの子、ノリで生きとる」
「ハナテン、センバ。アンタらは今日限りで追放や」
「な、なんやと!!」
「辺境伯様に言いつけたるからな!!」
「ほな、まとめて相手したるわ」
オカン「太郎、久々に本気出すで」
街は、ついに辺境伯との全面対立へと進む。
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【山田太郎】
職業:あきんど レベル:1(固定)
■基本ステータス
筋力:D 敏捷:C 体力:D+
魔力:C- 精神:D+ 知力:D
器用:C 幸運:F
■内部ステータス
内部レベル:45
内部補正:全ステ+108%
内部幸運:A
■ユニークスキル
<オカン>
└<鑑定+3> <経験値運用> <サーバーストレージ>
<未来予測+1> <魔改造>
<金で解決できへんことない>
└<札束でしばく> <課金ガチャ>
■スキル
<領地管理>
└<開拓> <防衛構築+1>
<魔法>
└<魔力制御上級> <解呪> <ゴーレム操作>
<武術中級>
└<回避+1> <串うち乱れ撃ち>
<剣術中級>
└<高速刺突> <レイピア中級> <ハヤブサ乱舞> <二刀流基礎>
<生産技術初級>
└<鍛治初級> <調理初級>
<耐性>
└<熱耐性+3> <氷耐性+2> <おかんの手>
■加護
<勇者との絆>
■装備
ミスリル繊維軽装防具+1
ミスリル製コテ+1
ミスリル製ピック+1
ミスリル製串
ゴーレムの指輪
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太郎「……オカン、次はどう動くんや?」
オカン「まずは“ヒョウガミギルド”を形にするんや。
ギルドは街の柱や。しっかり作れば、誰にも揺らされへん」
蒼真「太郎、俺らも手伝う。
戦闘部門は任せとけ」
晴斗「護衛と雑務は俺がやる。
ギルドの看板も彫ったるで」
玲奈「私は……内政の仕事があるから受付は無理やけど、
ギルドの書類整備とか、制度づくりは手伝えるよ」
ひより「受付は……学校の優秀な子たちに任せたら?
かわいい子、多いし……街の印象も良くなるし」
太郎「それええな。
“かわいい受付のおるギルド”ってだけで人来るしな」
オカン「せやせや。かわいい子が受付やと、
男も女もテンション上がるもんや」
蒼真「オカンが言うと妙に説得力あるな……」
晴斗「太郎、ギルドの制服とかも作るんか?」
太郎「せやな。ミスリル繊維で軽くて動きやすい制服、作ったるわ」
玲奈「太郎くん……ギルド、ほんまに作るんやね」
太郎「みんなで作るんや。
この街のためのギルドをな」
オカン「ほな――ヒョウガミギルド、始動や!」
読んでくれてほんまおおきに。主人公は最弱ステータスやのに、自作AIだけは最強クラスでついてくるというバグみたいな状況で冒険しとります。
オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と作者より前に出てくる始末です。
もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。
この作品はカクヨムにも同時投稿しており、どちらでも読みやすいように調整しています。更新はできるかぎり 毎日2回でがんばります。




