第28話 ギルド長、現る。嫌がらせは突然に
転送の宝珠が光を放ち、俺たちの姿が街の中央広場へと現れた。
「……ふぅ、戻ってこれたわ。今回はどのくらいダンジョンの中におったんやろか」
冷気のダンジョンから解放されたせいか、
街の空気は妙に暖かく、屋台の匂いが懐かしく胸に染みる。
その横で、玲奈が自分のローブをつまんで固まっていた。
「……あれ? なんでまだ雷模様のままなん……?」
ローブ全体に青白い稲妻が走り、
まるで“歩く落雷注意報”みたいになっている。
「お前、それ完全に事故ってるで。
街中で一番目立っとるわ」
「ち、違うの! あれだけ雷魔法使ったら、こうなるのは仕方ないの!」
そこへ勇者パーティが駆け寄ってきた。
蒼真「おお、帰ってきたんか! ……って、玲奈、その服どうしたん?」
ひより「雷……? まさか太郎くんと一緒に……?」
太郎「いや、ワイは雷ちゃうって! なんでそうなるねん!」
玲奈「ほんまに違うから!!」
蒼真が苦笑しながら言う。
蒼真「まあ、無事でよかったわ。
こっちはこっちで色々あってな」
太郎「色々?」
ひよりが腕を組んで説明を始めた。
ひより「街の人口が急に増えたでしょ?
王国法では、一定規模を超えると“冒険者ギルドと商業ギルドの設立が義務”なの。
だから中央からギルド長が派遣されてきたのよ」
蒼真「で、その建物が……」
太郎「建物?」
蒼真が指さす方向を見ると――
出発前には影も形もなかったはずの、
巨大で豪華な建物が二つ、堂々と建っていた。
玲奈「……冒険者ギルドと、商業ギルド……?」
太郎「いやいや、絶対こんなん前はなかったやろ。
なんでこんな城みたいなん建っとんねん」
ひより「しかも建設費、村長――長老さんが“脅されて”出したらしいよ」
太郎「脅されて!?」
蒼真「『王国法に従わん街は取り潰す』って言われたらしい。
住民、めっちゃ怒ってたわ」
太郎「……やっぱりか」
そのとき、建物の扉が勢いよく開いた。
「おお! あんたが噂の太郎はんか!」
豪快に笑いながら近づいてきたのは、
冒険者ギルド長・ハナテン。
その後ろから、細身で眼鏡をかけた男が歩み出る。
商業ギルド長・センバだ。
センバ「本日より、この街の商業管理を担当するセンバです。
以後、お見知りおきを」
センバの視線が、俺の横でぷかぷか浮いている小さな妖精に止まった。
センバ「……な、なんだその……小さな……おば……妖精は……?」
ハナテン「お、おいセンバはん……あれ……ヒョウガミの眷属やないんか……?」
蒼真「……太郎、あんたんとこの妖精、やっぱりヤバいな」
オカンが鼻で笑った。
「アンタら、妖精の見分けもつかんのか。中央の教育、だいぶ落ちぶれたなぁ」
ひより「ひぃっ……喋った……! しかも煽ってる……!」
太郎「ワイのオカンやぞ」
オカン「せやで。文句あるなら正座して聞きぃ」
蒼真「……太郎、やっぱりヤバいわ」
太郎「なんでワイのせいみたいになっとんねん!」
そんなやり取りをしていると、センバが胸を張って宣言した。
センバ「この街はヒラカータ辺境領に属します。
よって、街の収益として金貨200枚を納めていただきます」
太郎「固定額で来た!?」
玲奈「200枚って……この街の規模からしたら高すぎるよ!」
センバ「まあまあ、商業ギルドとして大まかな収支は把握しておりますので。
“これくらいが妥当”という判断です」
オカンが即座に切り捨てた。
「妥当ちゃうわ。100枚や。以上」
センバ「い、いや……法律では……!」
「アンタ、この街の収支“全部”説明できるんか?
できへんやろ? ほな100枚や」
センバは口をパクパクさせ、何も言えなくなる。
ハナテン「ひ、ヒョウガミの眷属が……街におるなんて聞いてへんぞ……!」
センバ「し、しかも喋った……! 本物……本物や……!」
玲奈「太郎くん……普通に会話してるけど、これ相当ヤバいやつやからね?」
太郎「せやろか?」
その後、二人は早速嫌がらせを始めた。
冒険者ギルドでは――
ハナテン「登録してへん冒険者の素材は買取半額や!
登録手続きは三週間後やで!」
商業ギルドでは――
センバ「屋台の衛生管理が不十分ですね。営業停止で」
屋台の主人「え、えぇ……!?」
玲奈「……太郎くん、あの二人、絶対まともじゃないよ」
太郎「せやな。オカン、どうする?」
オカン「締めるとこ締めたるわ。任しとき」
太郎は深く息を吐いた。
「……めんどくさいの来たな」
────────────────────────
【山田太郎】
職業:あきんど レベル:1(固定)
■基本ステータス
筋力:D 敏捷:C 体力:D+
魔力:C- 精神:D+ 知力:D
器用:C 幸運:F
■内部ステータス
内部レベル:45
内部補正:全ステ+108%
内部幸運:A
■ユニークスキル
<オカン>
└<鑑定+3> <経験値運用> <サーバーストレージ>
<未来予測+1> <魔改造>
<金で解決できへんことない>
└<札束でしばく> <課金ガチャ>
■スキル
<領地管理>
└<開拓> <防衛構築+1>
<魔法>
└<魔力制御上級> <解呪> <ゴーレム操作>
<武術中級>
└<回避+1> <串うち乱れ撃ち>
<剣術中級>
└<高速刺突> <レイピア中級> <ハヤブサ乱舞> <二刀流基礎>
<生産技術初級>
└<鍛治初級> <調理初級>
<耐性>
└<熱耐性+3> <氷耐性+2> <おかんの手>
■加護
<勇者との絆>
■装備
ミスリル繊維軽装防具+1
ミスリル製コテ+1
ミスリル製ピック+1
ミスリル製串
ゴーレムの指輪
────────────────────────
太郎「……オカン、あいつらどう締めるん?」
オカン「まずは尻尾掴むんや。弱みの一つも握ったら、あとは転がすだけや」
玲奈「……太郎くんのオカン、怖い……」
太郎「いや、普段は優しいで?」
オカン「優しいオカンが眷属になるかいな」
ひより「ですよね!」
蒼真「まあ……頼りにはなるけどな」
太郎「褒めてるんかそれ」
読んでくれてほんまおおきに。主人公は最弱ステータスやのに、自作AIだけは最強クラスでついてくるというバグみたいな状況で冒険しとります。
オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と作者より前に出てくる始末です。
もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。
この作品はカクヨムにも同時投稿しており、どちらでも読みやすいように調整しています。更新はできるかぎり 毎日2回でがんばります。




