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異世界でオカン(AI)がうるさい 〜追放された俺、最適化されて最強になる〜  作者: トレス=レイ


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第26話 氷の湯治場と、凍える太郎

氷のダンジョン前。

太郎は震えながら立っていた。


「……なぁオカン。今回も俺一人でいくん?」


「あたりまえや! 経験値もドロップも全部太郎のもんになるしな」


「効率って言うな!! 死ぬわ!!」


「死んだらあかんで。経験値がもったいない」


「守銭奴か!!」


そのとき、太郎の横から玲奈がすっと前に出た。


「……太郎くんを一人で行かせるなんて、絶対にダメです」


「れ、玲奈ちゃん!?」


「玲奈ちゃん、あかん。太郎一人の方が利益率が高いんや」


「利益率って言うな!!」


玲奈は太郎の前に立ち、真剣な目でオカンを見る。


「太郎くんは……昨日も痛そうだったし……魔力障害もまだ完全じゃない……

 私……太郎くんが心配なの……!」


太郎は思わず目をそらした。(かわいい……)


オカンはため息をついた。


「……しゃあないなぁ。玲奈ちゃんがそんな顔で頼むなら折れるわ。今回は特別や」


「ありがとう……!」


「ただし条件があるで。経験値は全部太郎に使う。ドロップ品も全部太郎のもんや。玲奈ちゃんは護衛役や」


「うん……太郎くんが元気になるなら、それでいいよ……!」


「玲奈ちゃん……!」


「ほな行くで。太郎、死んだらあかんで。経験値がもったいない」


「最後までそこかい!!」


氷のダンジョンに入った瞬間、太郎は叫んだ。


「さっむ!! なんやここ!! 冷蔵庫の中で寝起きしてるみたいや!!」


「太郎くん……手、冷たい……」


「玲奈ちゃんの手、あったか……」


「はいはい、イチャつくのは後にしぃ」


ぷるぷる震える影が現れた。


「ブルースライム……!」


「なんでスライムが弾丸になんねん!!」


スライムが縮む。


「太郎、あれ発射前や!」


「スライムに発射前とかいらん設定つけんな!!」


ドンッ!!


氷弾が飛ぶ。

太郎の視界がスローモーションになる。

未来予測が発動した。


(右に避けたら玲奈ちゃんに当たる……!)


太郎は左へ飛び込み、玲奈をかばった。


「玲奈ちゃん、下がって!!」


「太郎くん……!」


氷弾は太郎の肩をかすめて壁に激突した。


「痛いけど……玲奈ちゃんに当たるよりマシや!」


玲奈の頬が赤く染まる。


スライムが再び縮む。


「今度は二連射や!」


「いらん言うてるやろ!!」


ドンッ! ドンッ!


太郎は玲奈の手を引き、氷弾をギリギリで避けた。


「きゃっ……!」


「大丈夫や、離れんといて!」


「……うん……!」


スライムが最後の一撃を放とうと縮む。


「ほな……串打ち+投てき応用!!」


キィンッ!


ミスリル串が飛び、スライムの核を貫いた。


「太郎くん……すごい……!」


「串カツ万能説やめろ!!」


次の部屋。

アイスウルフが数匹、低く唸りながら現れた。


「うわ、今度は狼かい!」


「太郎くん、私もいくよ!」


玲奈が氷ムチを構えた瞬間、光が弾けた。


「えっ!? な、なんか服が……!」


玲奈の装備が、跳ねる動きに最適化されたうさぎ風の軽装に変化した。


「なんでやねん!! 氷ダンジョンでなんでウサギなん!?」


「ち、違うの!! 素早く動くイメージを思い浮かべたら……!」


「玲奈ちゃん……それ“身軽”やなくて“跳ねるイメージ”や」


「どっちにしてもなんでやねん!!」


アイスウルフが一斉に飛びかかる。


「未来予測……!」


(右の狼が先、次に左……!)


太郎は玲奈を抱き寄せて後ろへ飛び退く。


「きゃっ……太郎くん……!」


「大丈夫や、離れんといて!」


「……うん……!」


「太郎、イチャついてる場合ちゃうで!」


「イチャついてへんわ!!」


玲奈が氷ムチを振るうが、氷の床で足を滑らせた。


「きゃあっ!? す、滑る……!」


「玲奈ちゃん危ない!!」


太郎も滑った。


「うわあああ!!」


「きゃあああ!!」


ドスンッ!!


玲奈が太郎の胸の上に落ちた。


「ぐえっ!? だ、大丈夫か玲奈ちゃん!」


「ご、ごめん太郎くん!!」


「太郎、ええクッションになっとるな」


「褒めるな!!」


気まずさを残しつつ、戦闘再開。


「串打ち……投てき応用!!」


キィンッ! キィンッ!


二本の串が飛び、アイスウルフの足を貫いて動きを止める。


「太郎くん、今!」


「任せろ!!」


太郎はピックで突き、狼たちは氷片となって砕け散った。


「よっしゃ、経験値は全部太郎のもんや」


「今それ言う!?!?」


氷の空気が一段と冷たくなる。


「湯治場はもうすぐや。ボス部屋の手前にあるはずやで」


「湯治場って……まさか……」


氷の壁が開け、巨大な氷の湯治場が広がった。


「……絶対寒いやつやん!!」


「治療や。覚悟決め」


「なんで治療が氷風呂やねん!!」


なぜか玲奈はバスタオル1枚になっていた。。


「なんでそんな恰好なん!?」


「えっ……だ、だって……湯治場って……こういう……」

玲奈は真っ赤になっていた


「太郎、湯治場はバスタオル1枚が正装や」


「聞いたことないわ!!」


太郎が氷風呂に足を入れた瞬間──


「ひゃあああああああああああああ!!!!

 死ぬ死ぬ死ぬ!!」


「太郎くん!? 大丈夫!?」


「大丈夫ちゃうわ!! 冷たすぎる!!」


太郎は逃げようとする。


「無理無理無理!! 出る!! 絶対出る!!」


「玲奈ちゃん、太郎の頭押さえとき」


「えっ!? あ、頭を……!?

 た、太郎くん、ごめん!!」


「なんで押さえるん!?」


「ご、ごめん太郎くん!! オカンさんが……!」


「治療や。3分耐えたら治る」


「3分が地獄すぎるわ!!」


──3分後。


「助かったああああああああ!!」


「ほれ、魔力障害のアザ、消えとるやろ」


「ほんまや……!」


「湯治場は効果抜群や」


「いや方法がスパルタすぎるんよ!!」


湯治場の奥に巨大な氷の扉が現れた。


「太郎、治療は終わった。次はボス部屋や」


「治療の後にボス戦!? なんでやねん!!」


扉の向こうから、レッサーアイスドラゴンの唸り声が響く。


「太郎くん……私がついてるから……!」


「玲奈ちゃん……頼りにしてるで」


「太郎、死んだらあかんで。経験値がもったいない」


「最後までそこかい!!」


────────────────────────


【山田太郎】

職業:あきんど レベル:1(固定)


■基本ステータス

 筋力:D 敏捷:C- 体力:D+

 魔力:C- 精神:D+ 知力:D

 器用:C 幸運:F


■内部ステータス

 内部レベル:43

 内部補正:全ステ+102%

 内部幸運:A


■ユニークスキル

<オカン>

 └<鑑定+3> <経験値運用> <サーバーストレージ>

  <未来予測> <魔改造>

<金で解決できへんことない>

 └<札束でしばく> <課金ガチャ>


■スキル

<領地管理>

 └<開拓> <防衛構築+1>

<魔法>

 └<魔力制御上級> <解呪> <ゴーレム操作>

<武術中級>

 └<回避+1> <投てき基礎> <串打ち>

<剣術中級>

 └<高速刺突> <レイピア中級> <ハヤブサ乱舞> <二刀流基礎>

<生産技術初級>

 └<鍛治初級> <調理初級>

<耐性>

 └<熱耐性+3> <氷耐性+2> <おかんの手>


■加護

<勇者との絆>


■装備

 ミスリル繊維軽装防具+1

 ミスリル製コテ+1

 ミスリル製ピック+1

 ミスリル製串

 ゴーレムの指輪



太郎「……内部レベル上がっとる。氷風呂とスライムと狼でここまで上がるんか……」


オカン「太郎、効率ええやろ? 一人で来てたらもっと上がってたで」


太郎「それ言うな!!」


玲奈「でも……太郎くん、強くなってるよ。 私、ちゃんと守るから……!」


太郎「いや守るのは俺の方や!!」


オカン「どっちでもええけど、太郎。 次はドラゴンや。死んだらあかんで。経験値がもったいない」


太郎「だからそこかい!!」

読んでくれてほんまおおきに。主人公は最弱ステータスやのに、自作AIオカンだけは最強クラスでついてくるというバグみたいな状況で冒険しとります。

オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と作者より前に出てくる始末です。

もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。


この作品はカクヨムにも同時投稿しており、どちらでも読みやすいように調整しています。更新はできるかぎり 毎日2回でがんばります。

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