第25話 串カツと特訓と、氷の気配
朝。
太郎は目を覚ました瞬間、右腕にズキッとした痛みを覚えた。
袖をめくると、光のような模様が浮かび上がっている。
太郎「……なんやこれ。昨日より濃くなってへん?」
オカンが腕をつかんで確認する。
オカン「太郎、これは“魔力障害”や。
光滅の聖槍は聖魔力を無理やり引き出す武器やから、
使いすぎると身体が悲鳴あげるんや」
太郎「なんでそんな大事なこと後出しやねん!!」
オカン「言うたら使わへんやろ?」
太郎「当たり前や!!」
太郎は頭を抱えた。
オカンは続ける。
オカン「魔力障害は時間で多少マシになる。
せやけど太郎、あんた魔力の扱いが雑や」
太郎「雑ってなんやねん!」
オカン「せやから“魔法制御の特訓メニュー”作っといたで」
太郎「嫌な予感しかしない!!」
オカンはメモ帳を開いた。
「・氷属性の痛覚刺激で冷気の流れを理解
・火属性の熱刺激で魔力循環を体感
・衝撃魔法で姿勢矯正
・ついでに筋トレ」
太郎「最後だけ普通!!」
オカン「玲奈ちゃんには“氷ムチ担当”お願いしといたで」
太郎「勝手に役割分担すなぁぁぁ!!」
オカン「太郎、魔法は身体で覚えるんや」
太郎「名言みたいに言うな!!」
――その時。
鍛冶屋「兄ちゃん! 頼まれてたミスリル串、できたで!」
太郎「えっ……これ全部!?」
鍛冶屋がドンッと置いた木箱には、
細く鋭いミスリル製の串がぎっしり詰まっていた。
太郎「1000本やんけ!!」
鍛冶屋「兄ちゃんの串カツ祭り用やろ?
ついでに“武器にもなるように”って、ちょっと硬めに仕上げといたで」
太郎「気ぃ利かせすぎや!!」
オカンが一本を手に取り、光にかざす。
オカン「太郎、これ……魔力の通りがええ。
ちょっと手ぇ加えたら“武器兼調理器具”になるで」
太郎「調理器具はええねん!!」
太郎はその中から数十本を選び、
鍛治台に向かって魔力を流しながら微調整を始めた。
カン、カン、カン……!
太郎「……よし。これで“俺専用の串”や」
オカン「太郎、ええ出来や。
刺してよし、投げてよし、焼いてよしの万能串や」
太郎「焼いてよしは余計や!!」
太郎は数十本だけ腰に装備し、
残りはストレージへしまった。
――串カツの材料、グレートボア。
巨大で凶暴、そして美味い。
街の人々を元気づけるにはこれしかない。
太郎は仲間たちを集めた。
太郎「よし、今日はグレートボア狩り行くで!」
蒼真「任せてくれ。俺たちだけで十分だ」
晴斗「ボアの肉……絶対うまいよな……!」
玲奈「太郎くんのために……頑張る……!」
太郎「よっしゃ行くで!」
オカン「太郎、あんたは腕の魔力障害治るまで留守番や」
太郎「えっ」
オカン「無理したら腕動かんようになるで」
太郎「……はい」
こうして、太郎以外のメンバーが狩りに向かった。
――森の奥。
グレートボアは木々をなぎ倒しながら突進してきた。
蒼真「来るぞ!!」
晴斗「でっか……!」
玲奈「氷結――!」
玲奈の魔法がボアの足元を凍らせ、動きを鈍らせる。
蒼真が剣で突き、晴斗が横から斬り込む。
蒼真「よし、倒した!」
晴斗「これ……串カツ何本分だ……?」
玲奈「太郎くん、喜んでくれるかな……」
3人は巨大な肉塊を引きずりながら街へ戻った。
太郎「おおおお!! めっちゃええ肉やん!!」
蒼真「約束したからな」
晴斗「串カツ1000本はいけるぞ」
玲奈「太郎くん……よかった……」
太郎「ありがとうな、ほんまに!」
オカン「太郎、揚げる準備するで」
太郎「よっしゃ、串打ちからやな!」
太郎は肉を切り、串に刺していく。
最初はぎこちなかったが、数をこなすうちに手つきが滑らかになっていく。
太郎「……あれ? なんか楽になってきた……」
ピコンッ!
【スキル<串打ち>を習得しました】
太郎「串カツでスキル生まれたぁぁぁ!!」
オカン「太郎、経験は宝や」
太郎「串カツで人生語るな!!」
太郎は揚げたての串を一本つまんだ。
衣はサクサク、香りは最高。
期待に胸を膨らませてかぶりつく。
サクッ。
太郎「……ん? 軽い……? なんか……肉の弾力が……ない……?」
噛んだ瞬間、口の中に広がるのは――
肉汁ではなく、甘い香り。
太郎「……味……薄っ!?
これ……玉ねぎやんけぇぇぇぇ!!」
太郎はその場に崩れ落ちた。
太郎「なんでや……!
俺は……肉の……あの……幸福の塊を……噛むつもりで……
心の準備までしてたのに……!」
住民A「ヒョウガミの兄ちゃん、玉ねぎに負けてる!」
住民B「兄ちゃん、玉ねぎで心折れるの珍しいで!」
住民C「逆に親近感わくわ!」
太郎「やめろぉぉぉ!! 俺は肉が食いたかっただけや!!」
オカン「太郎、玉ねぎは玉ねぎで美味しいで」
太郎「今はフォローにならん!!」
――夕方。
串カツ祭りが始まった。
街中に香ばしい匂いが広がり、住民たちが笑顔で集まってくる。
住民「兄ちゃん、うまいで!!」
住民「ヒョウガミ様、ありがとうな!!」
太郎「やめろぉぉぉ!!」
オカン「太郎、ソース代でまた赤字やで」
太郎「なんでやねん!!」
祭りが終わった後、オカンが帳簿を見ながら言う。
オカン「太郎、今回の損失……2500万Gや」
太郎「……」
オカン「増税する?」
太郎「絶対あかん!!」
オカン「寄付募る?」
太郎「それもあかん!!」
オカン「ほな……ダンジョンやな」
太郎「やっぱりか……」
その夜。
太郎は玲奈と一緒に魔法強化の特訓をすることになった。
玲奈「た、太郎くん……いくよ……!」
玲奈の手に、淡い青色の魔力が集まる。
それは細長く伸び、氷のムチへと変わった。
太郎「……え? 玲奈ちゃん、その服……なんで黒レザーなん?」
玲奈「えっ!? や、やっぱり変かな……!?」
太郎「変とかやなくて完全に女王様や!!」
玲奈は顔を真っ赤にしながら説明した。
玲奈「オカンさんに……“魔法はイメージが強いほど威力が上がる”って言われて……
“強そうなイメージって何だろう”って考えたら……こ、こうなっちゃって……!」
太郎「オカンーーーー!!!!!」
オカン「太郎、氷属性は“支配”のイメージが強いんや。
玲奈ちゃんは素直やから、そのまま反映されただけや」
太郎「素直すぎるやろ!!」
玲奈「ご、ごめん太郎くん……! でも……強くなってほしくて……!」
太郎「気持ちは嬉しいけど見た目の破壊力が強すぎる!!」
オカン「太郎、覚悟決め」
バシィィィィン!!
太郎「ぎゃあああああああああああ!!!!!」
氷のムチが太郎の背中を正確に打ち抜く。
冷たさが皮膚を刺し、直後に鋭い痛みが走る。
玲奈「だ、大丈夫!? 太郎くん!!」
太郎「大丈夫ちゃうわぁぁぁ!! 氷冷たいし痛いし!!
てかその格好で心臓に悪いわ!!」
オカン「太郎、氷耐性+2(進化)ついたで」
太郎「いきなり+2かい 代償がデカい!!」
特訓が終わる頃、太郎の腕のアザがじんわりと疼いた。
太郎「……なんか腕がズキズキする……」
オカン「太郎、それは反動や。
氷のダンジョンで“調整”せなあかんで」
太郎「また大変なことになりそうやな……」
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【山田太郎】
職業:あきんど レベル:1(固定)
■基本ステータス
筋力:D 敏捷:C-↑ 体力:D+↑
魔力:C- 精神:D+ 知力:D
器用:C 幸運:F
■内部ステータス
内部レベル:41
内部補正:全ステ+97%
内部幸運:A
■ユニークスキル
<オカン>
└<鑑定+3> <経験値運用> <サーバーストレージ>
<未来予測> <魔改造>
<金で解決できへんことない>
└<札束でしばく> <課金ガチャ>
■スキル
<領地管理>
└<開拓> <防衛構築+1>
<魔法>
└<魔力制御上級> <解呪> <ゴーレム操作>
<武術中級>
└<回避+1> <投てき基礎> <串打ち(new)>
<剣術中級>
└<高速刺突> <レイピア中級> <ハヤブサ乱舞> <二刀流基礎>
<生産技術初級>
└<鍛治初級> <調理初級>
<耐性>
└<熱耐性+3> <氷耐性+2(進化)> <おかんの手>
■加護
<勇者との絆>
■装備
ミスリル繊維軽装防具+1
ミスリル製コテ+1
ミスリル製ピック+1
ミスリル製串
ゴーレムの指輪
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太郎「……氷耐性ついたけど、心のダメージの方がデカいわ」
オカン「太郎、成長には痛みがつきもんや」
太郎「女王様のムチで成長する領主おらんて!!」
玲奈「ご、ごめん太郎くん……! でも……強くなってほしくて……!」
太郎「玲奈ちゃんは悪くない!! 悪いのはオカンや!!」
オカン「太郎、痛みは経験値や。無駄にはならんで」
太郎「その理論おかしいやろ!!」
玲奈「ふふ……太郎くん、次は一緒にダンジョン行こ」
太郎「任せろ。今度は俺が守る番や」
オカン「太郎、油断したらまた特訓やで」
太郎「もう十分や!!」
読んでくれてほんまおおきに。主人公は最弱ステータスやのに、自作AIだけは最強クラスでついてくるというバグみたいな状況で冒険しとります。
オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と作者より前に出てくる始末です。
もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。
この作品はカクヨムにも同時投稿しており、どちらでも読みやすいように調整しています。更新はできるかぎり 毎日2回(朝6時/夜20時)でがんばります。




