第15話 勇者たちの再出発、そして太郎の地獄修行
朝の光が街を照らしていた。
昨日まで“村”だった場所は、もう村とは呼べない。
太郎の背丈の三倍以上ある石造りの城壁が、朝日に照らされて白く輝いている。
その上には新設された見張り台が四つ。
村人たちが交代で立ち、周囲を警戒していた。
外周には深い堀が掘られ、
その内側には木製の柵が二重に張られている。
門には鉄格子が取り付けられ、
以前は丸太を並べただけだった門が、
今では立派な“城門”と呼べるほどの存在感を放っていた。
街の中も大きく変わっていた。
道は踏み固められ、石畳が敷かれ始めている。
井戸の周りには休憩スペースが作られ、
畑は区画整理されて水路が整備されていた。
新しい家が三軒建ち、鍛冶場には煙突が伸びている。
市場予定地には屋台の骨組みが並び、
子どもたちが走り回っていた。
太郎「……なんやこれ、昨日より街づくり進みすぎちゃう?」
オカン「太郎、あんたが寝てる間に“最適化”したで」
太郎「最適化って便利な言葉やな!!」
そこへ勇者たちが歩いてきた。
昨日の疲労は残っているはずなのに、表情はどこか晴れやかだった。
晴斗「太郎、おはよう。昨日は……本当に助かったよ」
玲奈「太郎くん、ぐっすり眠れた? 私たちは久しぶりに安心して眠れたよ」
蒼真「太郎、君のおかげで命拾いした。改めて礼を言わせてくれ」
ひより「太郎くん……昨日は怖かったけど……会えて、本当に嬉しい……」
太郎「……ほんまに無事なんか? 傷とか、呪いとか、変な後遺症とか……ないんか?」
晴斗「心配してくれるのか」
太郎「当たり前や! あんだけボロボロで出てきたんやから!」
オカン「太郎、確認するならステータス見るのが一番早いで」
太郎「……せやな。みんな、ステータス見せてくれへん?」
晴斗「もちろんだ。太郎になら見せられる」
玲奈「うん、太郎くんなら大丈夫」
蒼真「問題ないよ」
ひより「太郎くんなら……見てほしい……」
勇者たちはステータスを開いた。
【豊中晴斗】
職業:勇者
レベル:40
■基本ステータス
筋力:S+ 敏捷:A+ 体力:S+
魔力:A 精神:A 知力:B+
器用:B+ 幸運:D
■スキル
<剣術上級> <勇者の加護>
<戦闘予測+2> <魔力抵抗+1>
<リーダーシップ+3> <光魔法+1>
【守口玲奈】
職業:賢者
レベル:40
■基本ステータス
筋力:C+ 敏捷:B 体力:B
魔力:S+ 精神:A+ 知力:S+
器用:B+ 幸運:C
■スキル
<大賢者の知恵+5> <高位回復魔法>
<高位結界術> <分析+3>
<全属性魔法+2>
【茨木蒼真】
職業:忍者
レベル:40
■基本ステータス
筋力:B+ 敏捷:S+ 体力:A+
魔力:B+ 精神:B+ 知力:A
器用:A 幸運:C
■スキル
<影走り> <隠密+4>
<情報解析+3> <魔力制御・中級>
<分身> <影縛り>
【天満ひより】
職業:聖女
レベル:40
■基本ステータス
筋力:C+ 敏捷:B 体力:B+
魔力:A+ 精神:S+ 知力:B+
器用:B+ 幸運:S+
■スキル
<聖女の祈り+4> <奇跡+5>
<高位治癒> <祝福>
<聖域> <聖域拡張>
<聖魔法+1>
太郎「……晴斗、筋力S+ってなんやねん……体力もS+って……俺、Eやぞ……?」
晴斗「太郎、お前は別方向に強いから大丈夫だ」
太郎「方向性違いすぎるわ!!」
太郎「玲奈……魔力S+って……もう人間ちゃうやろ……?」
玲奈「太郎くん、私たち……地下闘技場でずっと戦ってたから……」
太郎「地下闘技場ってどんな環境やねん!!」
太郎「蒼真、お前……分身って……もう忍者の域超えてるやろ……」
蒼真「太郎、君も十分おかしいよ」
太郎「おかしいのはお前らや!!」
太郎「ひより……幸運S+って……俺、Fやぞ……?」
ひより「えっ……? 太郎くんは……その……努力の人だから……」
太郎「フォローになってへん!!」
オカン「太郎、あんたは“受け皿”や。勇者らは“出力”や。役割が違うんや」
太郎「役割の問題ちゃうやろこれ!!」
オカンが真っ赤に熱したミスリル鉄板をドンと置いた。
オカン「太郎、修行の時間や。強くなるには汗かくしかないで」
太郎「嫌な予感しかしない」
太郎は泣きそうな顔で鉄板を背負った瞬間、
背中から湯気が立ち上り、服がパチパチと音を立てた。
太郎「うおおおおおおおおお!! 熱い熱い熱い!!!」
村人「兄ちゃん燃えてる!!」
太郎「燃えてるわ!!」
街の中を走る太郎を、子どもたちが応援する。
子ども「がんばれー!」
子ども「お兄ちゃん、煙出てるー!」
太郎「煙って言うな!!」
太郎が倒れ込むと、ひよりが駆け寄る。
ひより「太郎くん!! もう無茶しすぎだよ!!」
太郎「ひより……天使か……?」
ひよりの治癒魔法が太郎を包む。
そこへオカンが、さらに鉄板を追加で置いた。
オカン「太郎、次は“鉄板二枚”や」
太郎「ほんまに二枚に増えとるやんけ!!」
オカン「最適や」
太郎「最適って呪文かなんかか!!」
太郎が再び走り出すと、街の人々がざわついた。
村人A「なんか……背中の鉄板、赤く光ってないか?」
村人B「いや、あれ光ってるんやなくて……焼けてるんや」
太郎「焼けてるって言うな!!」
その瞬間、太郎の視界に文字が浮かぶ。
<街づくり>(new)
└<開拓> <防衛構築>(new)
<熱耐性>(new)
太郎「熱耐性はわかるけど……なんで俺、街づくりスキル持ってんねん」
オカン「太郎、あんたは“開拓神”の素質あるで」
太郎「やめろ! 変な方向に進化させるな!」
ーー王城にて
司祭「いつになればトーカイの魔王を討伐されるのですか。
敬虔なる信者が多く殺されているのですぞ」
王「……トーカイに簡単に攻め入ることができぬのは、そなたらも承知のはずだ。
それに、そなたらの進言で行った勇者召喚――
肝心の勇者たちはすでにここにはおらぬ。戦力が足りぬのだ」
王太子「勇者たちの居場所は把握しておる。
辺境の、さらに辺境……ヒョウガミと関わる者どものいる街だ」
司祭「なんと……!
神を恐れぬ行為。ビリケーン様は深くお嘆きですぞ」
王太子「ならば辺境伯に命じ、勇者もろとも討伐させるまでだ」
司祭「いえ……オーダを倒すには勇者の力も必要。
これをお使いになるとよいでしょう」
司祭は一本の杖を差し出した。
王太子「これは……?」
司祭「国宝級魔道具《禁忌の杖》。
アンデッドを操る力を持ちます。
大量のアンデッドに囲まれれば、いかに勇者とて逃げるしかありますまい。
……逃げ出したところを捕らえるとよかろう」
王太子「……ふん、なるほどな。よかろう、借り受けよう。
誰か! この杖をヒラカータ領へ届けよ。
異教の街を包囲し、勇者もろとも討伐させるのだ」
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【山田太郎】
職業:あきんど レベル:1(固定)
■基本ステータス
筋力:E 敏捷:E+ 体力:E
魔力:E- 精神:E+ 知力:E+
器用:D+ 幸運:F
■内部ステータス
内部レベル:33
内部補正:全ステ+82%
内部幸運:A(オカン補正)
■ユニークスキル
<オカン>
└<鑑定+3> <経験値運用> <サーバーストレージ>
<未来予測> <魔改造>
<金で解決できへんことない>
└<札束でしばく>
■スキル
<魔法>
└<魔力制御上級><解呪><ゴーレム操作>
<街づくり>(new)
└<開拓> <防衛構築>(new)
<武術基礎>
└<回避>
<剣術基礎>
└<高速刺突> <レイピア中級> <ハヤブサ乱舞> <二刀流基礎>
<生産技術初級>
└<鍛治初級> <調理初級>
<熱耐性>(new)
■加護
<勇者との絆>
■装備
ミスリル繊維の軽装防具
ミスリル製コテ
ミスリル製ピック
ゴーレムの指輪
太郎「……オカン、内部レベル33って、もう“あきんど”の原型ないやろ」
オカン「太郎、商売は戦いや。戦場が市場か村か灼熱の鉄板の上かの違いや」
太郎「最後だけ地獄やねん!」
オカン「太郎、熱耐性ついたやろ。ええ成長や」
太郎「背中で太陽育てる修行のどこがええ成長やねん!」
オカン「最適や」
太郎「最適って言うな!!」
オカン「街づくりスキルも付いたで。村長として当然や」
太郎「俺いつ村長になったん!?」
オカン「村人の認識や」
太郎「勝手に決めんな!!」
オカン「勇者の子らも太郎に懐いとるし、加護も強化されとる」
太郎「なんで俺だけ加護増えていくん……?」
オカン「太郎は加護が似合う男や」
太郎「意味わからんわ!」
オカン「ほな太郎、次の修行は“鉄板三枚”や」
太郎「増えとるやんけぇぇぇぇ!!」
オカン「最適や」
太郎「最適って呪文かなんかか!!」
読んでくれてほんまおおきに。主人公は最弱ステータスやのに、自作AIだけは最強クラスでついてくるというバグみたいな状況で冒険しとります。
オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と作者より前に出てくる始末です。
もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。
この作品はカクヨムにも同時投稿しており、どちらでも読みやすいように調整しています。更新はできるかぎり 毎日2回(朝6時/夜20時)でがんばります。




