第12話 太郎、逃亡の果てに村を救う
太郎とオカンは、王国の追撃を避けるため、北の街道を急いでいた。
――すでに二週間が経っていた。
その二週間、太郎は逃げながらも助けまくり、魔物を倒しまくり、オカンはツッコミまくり、噂は広まりまくりだった。
オカン「太郎、急がなあかんで! 王太子、めっちゃ怒っとったで!」
太郎「わかってるけど……ほら、あれ見てみ」
太郎が指差した先では、巨大な猪型モンスターが暴れていた。
荷馬車が横転し、商人たちが逃げ惑っている。
太郎「助けなあかんやろ」
オカン「太郎、あんた……ほんまに逃げる気あるんか?」
太郎はコテを構えて飛び出した。
コテが閃光のように走り、猪の突進を弾き返す。
続けてピックで急所を突くと、モンスターは地面に崩れ落ちた。
商人「た、助かった……! あんたら……まさか“ヒョウガミ様の眷属”……!?」
オカン「ちゃうわ! ただの大阪のオカンや!」
商人「オ、オカン……? それが眷属の呼び名……?」
オカン「違う言うてるやろ!」
太郎が否定しても、商人たちは勝手に納得していく。
商人「じゃあ、この兄ちゃんも……眷属の仲間か……?」
太郎「いや、眷属ちゃうねんけどな……」
噂は勝手に広がっていった。
*
王都では、王太子が玉座の間で怒り狂っていた。
イマイチ「勇者たちよ、聞け!
あの男は“ヒョウガミ信仰の源”だ!
北へ逃げた。必ず居場所を突き止めろ!」
晴斗たちは首輪に縛られたまま、ひざまずいている。
晴斗「……太郎を……追えというのか……」
王太子は側近の貴族ナワテに命じた。
「お前は兵を率いて勇者と合流せよ。なんとしてヒョウガミを討て。この魔道具を貸してやる」
ナワテ「かしこまりました。この魔道具があれば勇者を意のままに操れます。お任せください
ただ、兵を動かすとなると少し時間がかかります。まずは勇者に追跡させ、のちほど合流するように
いたします」
「よかろう、あの男は狡猾だ。簡単に痕跡を残すとは思えんが、必ず居場所をつかめ!」
勇者たちは王太子に命じられ自らの意思とは異なる追跡を開始した。
*
二週間の追跡の結果、勇者たちは呆れ果てていた。
晴斗「……なんやこれ」
道端には巨大な猪の死骸。
コテの跡がくっきり残っている。
玲奈「この斬り方……太郎くんだよね……」
蒼真「こっちは倒木が片付けられてる……太郎の仕業や」
ひより「この子……“ヒョウガミ様の眷属の兄ちゃん”に助けてもらったの……」
四人は顔を見合わせた。
晴斗「太郎……逃げてるはずやのに……」
玲奈「なんでこんなに助けてるの……?」
蒼真「痕跡残しすぎやろ……」
ひより「太郎くん……隠す気ないよ……」
晴斗はため息をついた。
晴斗「……太郎らしいな」
蒼真「王太子は“狡猾で痕跡を残さない男”とか言ってたけど……」
玲奈「太郎くん……全部残してるよ……」
ひより「優しすぎるんだよ……太郎くん……」
*
太郎とオカンは、ついにヒラカータ領の奥地へとたどり着いた。
そこには荒れ果てた村があった。
家は崩れ、畑は枯れ、井戸は干上がり、人影はまばら。
皆が疲れ切った顔をしている。
太郎「ここ……村なんか?」
オカン「昔は豊かやったらしいで。魔物と飢饉で滅びかけとるらしいわ」
太郎は途中で助けた人々を連れてきていた。
商人、農民、旅人、子ども……皆、太郎に命を救われた者たちだ。
村人たちはオカンを見るなりざわついた。
村人「……あの人、ヒョウガミ様の眷属やないか?」
村人「噂の……神の使い……?」
村人「じゃあ、その兄ちゃんは……!」
太郎「いや違うって言うてるやろ!」
太郎のツッコミは、もはや誰にも届かない。
太郎「まずは食料や。腹が減ってたら何もできへん」
太郎は森へ入り、木の実や山菜を集め、罠で小動物を捕まえた。
村人たちは驚き、そして希望の光を宿した。
村人「眷属の兄ちゃん……すごい……!」
村人「こんなに食料が……!」
村人「村が……生き返る……!」
太郎「いや、眷属ちゃうねんけどな……」
その夜、太郎は村人たちに温かい食事を振る舞った。
久しぶりのまともな食事に、皆が涙を流す。
太郎「明日から本格的に動くで。
元の世界で学んだこと、全部使うて……
この村を、もう一回豊かにするんや」
村人たちは静かに頷いた。
【山田太郎】
職業:あきんど レベル:1(固定)
■基本ステータス
筋力:E 敏捷:E+ 体力:E
魔力:E- 精神:E+ 知力:E+
器用:D+ 幸運:F
■内部ステータス
内部レベル:26
内部補正:全ステ+64%
内部幸運:A(オカン補正)
経験値:オカンが全て再投資中
■ユニークスキル
<オカン>
└<鑑定+3> <経験値運用> <サーバーストレージ> <未来予測>
<金で解決できへんことない>
└<札束でしばく>
■スキル
<魔力制御上級>
<武術基礎>
└<回避>
<剣術基礎>
└<高速刺突> <レイピア中級> <ハヤブサ乱舞> <二刀流基礎>
<生産技術初級>
└<鍛治初級> <調理初級>
■装備
冒険者防具一式(軽装)
ミスリル製コテ
ミスリル製鉄板
ミスリル製ピック
ゴーレムの指輪
太郎「……オカン、内部レベル26って、逃亡中に上がりすぎちゃう?」
オカン「太郎、逃亡は戦いや。戦場が街道か村かの違いや」
太郎「逃亡でレベル上がる商人おらんて!」
オカン「太郎、あんた助けすぎや。猪も倒すし、荷馬車も直すし、迷子も拾うし」
太郎「いや、見捨てられへんやろ!」
オカン「優しさは経験値や」
太郎「そんなRPG聞いたことないわ!」
オカン「それにな、太郎の噂……北の街道で爆伸びしとるで」
太郎「伸びんでええねん! 信仰度上がったら王太子また怒るやろ!」
オカン「怒るで」
太郎「即答すな!」
読んでくれてほんまおおきに。主人公は最弱ステータスやのに、自作AIだけは最強クラスでついてくるというバグみたいな状況で冒険しとります。
オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と作者より前に出てくる始末です。
もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。
この作品はカクヨムにも同時投稿しており、どちらでも読みやすいように調整しています。更新はできるかぎり 毎日2回(朝6時/夜20時)でがんばります。




