第11話 屋台の再会、涙の戦闘
王城から商業区までは徒歩で小一時間。
勇者たちは王都の喧騒の中を進み、
やがて“ヒョウガミの源”がいると噂される商業区へと足を踏み入れた。
晴斗「……ここが“ヒョウガミの源”がいる商業区か」
玲奈「なんだか……落ち着く場所だね……」
ひより「空気が……優しい……」
蒼真「気配は……確かにある」
街の人に聞き込みをすると、すぐに名前が出てきた。
客「ヒョウガミの兄ちゃんの屋台、食べたか?」
客「兄ちゃんのタコ焼きは神の味や!」
さらに、こんな話まで。
客「昔から伝わっとる“ヒョウガミ様”はな、豹柄の衣まとった母の神さんや。最近はその“眷属”が現れたって噂やで」
勇者たちは顔を見合わせる。
蒼真「……そういえば、空飛ぶヒョウガミがいるって噂、聞いたよな」
玲奈「そんなの……いるわけないよ……」
ひより「そんなの……見たことないし……」
晴斗「……とりあえず、調査しよう」
玲奈「調査(食べたい……)」
ひより「調査」
蒼真「調査(腹減った)」
晴斗「お前ら正直すぎるだろ……」
四人は噂の屋台へ向かった。
行列の最後尾に並び、順番を待つ。
玲奈とひよりは羞恥装備をマントで隠しながら、そわそわしている。
ひより「……たこ焼き……いい匂い……」
玲奈「おいしそう……」
やがて順番が来た。
晴斗「すみませーん! たこ焼き四舟ください!」
太郎(背中向けたまま)「はいよー! 四舟な! ちょい待ってやー!」
玲奈「声……若い人だね……」
ひより「優しそうな声……」
太郎が振り向く。
太郎「お待たせ! 四舟――」
晴斗「……太郎なのか!」
玲奈「太郎くん……!」
ひより「太郎くん……!」
蒼真「マジかよ……太郎……!」
太郎「お前らかい!!」
その瞬間――
オカン(妖精モード)「いらっしゃい?」
勇者全員「……いたぁぁぁぁぁ!!?」
太郎「いや、ずーっとここにおったやろ! 何見てたん!」
蒼真「いやいやいやいや! 妖精って本当にいたのかよ!」
玲奈「しかも……しゃべってる……!」
ひより「かわいい……けど……なんで……?」
太郎「俺が聞きたいわ!!」
*
晴斗「太郎……よかった……無事で……!」
玲奈「太郎くん……会いたかった……!」
ひより「太郎くんも……一緒に魔王と戦おう……!」
蒼真「王族には俺たちからも頼む。太郎、お前も来てくれ」
太郎「魔王……?」
オカン「あー、それな」
太郎「オカン、知っとるんか?」
オカン「魔王なんかおらんで」
勇者「…………え?」
太郎「ホンマ!?」
オカン「おるわけないやろ。“魔王”って呼ばれとるんは、トーカイのギーフ国のオーダや」
晴斗「オーダ……?」
オカン「腐っとったビリケーン寺院をまとめて焼いたんや。そらカワチ王国からしたら魔王扱いやわ」
太郎「えぇぇぇぇぇぇぇ!?」
玲奈「じゃあ……私たち……」
ひより「魔王討伐じゃなくて……」
蒼真「政治利用……?」
晴斗「そんな……嘘だろ……!」
オカン「嘘ちゃうで。軽いノリで真実や」
太郎「軽いノリで言うな!!」
その時――冷たい声が響いた。
イマイチ「……茶番は終わりだ、勇者たち」
カワチ=ミカド=イマイチ。
王太子である。
イマイチ「これがヒョウガミの源か。処分する」
王太子が魔道具を起動した瞬間、勇者たちの首輪が輝いた。
ひより「っ……!」
玲奈「痛い……!」
蒼真「身体が……勝手に……!」
晴斗「太郎……逃げろ……!」
晴斗の剣が勝手に構えられ、太郎へ振り下ろされる。
太郎はコテで受け止めた。
太郎「晴斗! やめろや!」
玲奈の魔法陣が強制展開され、雷撃が太郎を狙う。
太郎「うわっ、鉄板で受けたら感電するやん!」
太郎は屋台の鉄板を置いたまま、未来予測に従って横へ飛び退いた。
雷撃は空を裂き、屋台の横を焦がした。
玲奈「太郎くん……ごめん……身体が勝手に……!」
蒼真の影分身が太郎を囲む。
太郎は未来予測で“安全な位置”を察知し、影の間をすり抜けるように跳んだ。
蒼真「太郎……俺の身体が勝手に……!」
ひよりの聖光が暴走し、太郎を焼こうとする。
太郎は地面を転がり、光を紙一重で避けた。
ひより「いやぁ……太郎くん……!」
街の人々が叫ぶ。
客「ヒョウガミの兄ちゃんを守れ!」
客「兄ちゃんをいじめるな!」
客「王太子なんかに負けるな!」
イマイチ「黙れ! 反逆者どもが!」
その時だった。
ひより「太郎くんを……守りたい……!」
聖女の力が暴走し、光が広がる。
聖域――サンクチュアリ。
その光の中では、隷属の首輪の効果が弱まった。
晴斗「身体が……動く……!」
蒼真「今だけ……自由だ……!」
玲奈「太郎くん……逃げて……!」
ひより「お願い……太郎くん……!」
太郎「……わかった。絶対に……お前らを助ける。せやから――今は逃げる!」
太郎はオカンと共に街の外へ走り出した。
晴斗(心の声)
(太郎……無事に逃げてくれ……)
玲奈「太郎くん……絶対にまた会おうね……」
ひより「太郎くん……生きて……」
蒼真「太郎……頼む……」
【山田太郎】
職業:あきんど レベル:1(固定)
■基本ステータス
筋力:E 敏捷:E+ 体力:E
魔力:E- 精神:E+ 知力:E+
器用:D+ 幸運:F
■内部ステータス
内部レベル:25
内部補正:全ステ+62%
内部幸運:A(オカン補正)
経験値:オカンが全て再投資中
■ユニークスキル
<オカン>
└<鑑定+3> <経験値運用> <サーバーストレージ> <未来予測>
<金で解決できへんことない>
└<札束でしばく>
■スキル
<魔力制御上級>
<武術基礎>
└<回避>
<剣術基礎>
└<高速刺突> <レイピア中級> <ハヤブサ乱舞> <二刀流基礎>
<生産技術初級>
└<鍛治初級> <調理初級>
■装備
冒険者防具一式(軽装)
ミスリル製コテ
ミスリル製鉄板
ミスリル製ピック
ゴーレムの指輪
太郎「……オカン、あいつら……泣きながら止めてくれって……」
オカン「太郎、あれは本物の絆や。金でも買われへんやつや」
太郎「……絶対助ける。絶対や」
オカン「その気持ち、ウチが最適化したる」
太郎「最適化の意味が怖いねん!」
読んでくれてほんまおおきに。主人公は最弱ステータスやのに、自作AIだけは最強クラスでついてくるというバグみたいな状況で冒険しとります。
オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と作者より前に出てくる始末です。
もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。
この作品はカクヨムにも同時投稿しており、どちらでも読みやすいように調整しています。更新はできるかぎり 毎日2回(朝6時/夜20時)でがんばります。




