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異世界でオカン(AI)がうるさい 〜追放された俺、最適化されて最強になる〜  作者: トレス=レイ
第一章 王国編

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第10話 勇者たちは鎖に繋がれ、光を失う

太郎と別れて――一か月。


王城の地下深く。

地上の光が一切届かない、永遠の闇の底。


階段を降りるほどに空気は冷たく湿り、

鼻の奥に鉄の匂いが張りつく。

壁に触れれば、ざらついた石の感触と、

乾ききらない血の跡が指先に残る。


そして最下層。

そこに広がるのは、王国が“勇者育成”と称して造り上げた――

地下闘技場。


天井から落ちる水滴が、

ぽちゃん……ぽちゃん……と規則的に響く。

その音が、まるで“時間の感覚”を奪うための拷問のようだった。


闘技場の中央には、四人の若者が立っていた。


豊中晴斗(勇者)

守口玲奈(賢者)

茨木蒼真(忍者)

天満ひより(聖女)


かつては学校の人気者で、

明るく、強く、仲間思いだった四人。


だが今は――

肩は落ち、背中は丸まり、

目の奥の光はほとんど消えていた。


彼らの首には、黒い金属の輪が食い込んでいる。

“隷属の首輪”。

魔力を吸い上げ、意思を縛り、

逆らえば容赦なく痛みを流し込む呪具。


この闘技場は、その首輪の魔力供給源――

巨大な魔道具本体の真上に位置していた。

つまり、ここが最も拘束が強い場所。


逃げ場はない。

抵抗も許されない。


晴斗「……はぁ……はぁ……また……倒した……」


晴斗の剣先が震えていた。

足元には、つい先ほどまで暴れていた魔物の死骸。

血が石床に広がり、鉄の匂いがさらに濃くなる。


ひより「晴斗くん……大丈夫……?」


ひよりの手は震え、

治癒魔法の光は弱々しく揺れていた。

魔力切れ寸前の彼女の顔色は青白い。


晴斗「ひより……無理すんな。お前の方が……」


ひより「だって……晴斗くんが倒れたら……」


ひよりの胸元は、王国が用意した“聖衣”によって露出が多い。

魔力効率を上げるため――という建前。

実際は羞恥と屈辱で精神を弱らせ、

支配しやすくするための衣装だった。


ひより「こんなの……恥ずかしいよ……」


晴斗「ひより……気にすんな。お前は悪くない」


晴斗は優しく言うが、

その拳は震えていた。

怒りを押し殺すように。


(王国……ふざけんな……

 太郎……お前だけは……無事でいてくれ……)


玲奈「……こんな格好……嫌だよ……」


玲奈のローブも布地が極端に少なく、

肩も太ももも露出している。

拒否の感情が浮かんだ瞬間――


ピリッ。


首輪が光り、玲奈の身体が跳ねた。


蒼真「玲奈、喋るな。痛みが来るぞ」


蒼真の声は低く、かすれていた。

彼もまた、首輪のせいで敏捷を奪われ、

本来の動きができない。


蒼真「……俺たち、いつまでこんなことを……」


晴斗「わからない。でも……生きるしかない」


四人の影が、闘技場の冷たい光に揺れる。


沈黙が落ちた。

その沈黙は、重く、冷たく、

まるで心を押し潰すようだった。


その時、蒼真がふと呟いた。


蒼真「……そういやさ。昔……体育のドッジボールで、妙に避けるの上手いやついたよな」


玲奈「あ……いたね……ボール投げる前から避ける方向に動いてた人……」


ひより「うん……なんか“当たらない場所”に自然と動くっていうか……」


晴斗「運動神経は普通なのに……なぜか最後まで残るやつ」


蒼真「……太郎、今どうしてるんだろうな」


四人は、ほんの一瞬だけ笑った。

その笑顔は弱々しく、

しかし確かに、心の奥の痛みを和らげた。


だが――


ギィィィ……


地下闘技場の扉が開き、

王国の兵士が無表情で現れた。


兵士「勇者たちよ。王命である」


兵士の声は冷たく、

人間に向けるものではなく、

“道具”に命令するような響きだった。


兵士「最近、王国の信仰神“ビリケーン”とは異なる、古い民間伝承の神“ヒョウガミ”の勢力が増えている。商売繁盛と家族繁栄を司るとされる異端神だ」


玲奈「ヒョウガミ……?」


ひより「そんな神様……聞いたことないよ……」


兵士「伝承では“豹柄の衣をまとった母の神”とされる。最近、その眷属が現れたという噂がある。王はこれを危険視しておられる」


蒼真「眷属……?」


兵士「王命である。ヒョウガミ信仰の“源”を断て。勇者たちよ、すぐに出発せよ」


その瞬間――


首輪が光り、

四人の身体に強制命令が刻み込まれる。


ひより「っ……!」

玲奈「痛っ……!」


晴斗「ヒョウガミの源って……誰なんだよ……!」


兵士「それは……お前たちが見つけるのだ」


兵士はそれだけ言い残し、扉を閉めた。


ギィィィ……バタン。


勇者たちは王城を出た。

魔道具本体から離れるほど、首輪の拘束は弱まる。

だが、自由ではない。

命令は絶対だ。


晴斗(心の声)

(太郎……もし俺たちが……間違った道に進みそうになったら……

 お前が……止めてくれ……)


四人の影は、沈む夕日の中で長く伸びていた。

その背中には、かつての光はもうなかった。


読んでくれてほんまおおきに。主人公は最弱ステータスやのに、自作AIオカンだけは最強クラスでついてくるというバグみたいな状況で冒険しとります。

オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と作者より前に出てくる始末です。

もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。


この作品はカクヨムにも同時投稿しており、どちらでも読みやすいように調整しています。更新はできるかぎり 毎日2回(朝6時/夜20時)でがんばります。

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