第110話 龍公女、供物に生八つ橋を所望す
周りの空気が震えた。押しつぶされるような圧が広がり、太郎たちは一斉に硬直した。
蒼真「……体、マジで動かない……」
玲奈「魔力、全部持っていかれてる……」
ひより「太郎くん……こわい……」
晴斗「これ……マジで動けねぇ……ヤバすぎだろ……」
太郎「なんやこの圧……心臓掴まれてるみたいや……!」
山頂から巨大な龍がこちらを覗き込む。その口がゆっくりと開いた。
龍「……小さきものよ……我に供物はないのか……」
太郎「供物ってなんやねん!!」
龍「西の女狐の神力が高まっている……社を建て、人が集まり……供物がたくさん…………ずるい」
晴斗「理由、俗っぽすぎだろ……」
蒼真「神様って……こういう感じなんだな……」
太郎「頼むから圧下げてくれ!! 誰も喋られへん!!」
龍「……ならば、形を変えよう」
光が龍を包み、巨大な影が縮んでいく。現れたのは、黄金の瞳を持つ女性の竜人だった。
龍公女「……これで話しやすかろう。我が名は――ヤサカ。霊峰を守護する龍公女だ。」
龍公女「甘き香りのする供物を捧げよ……鼻をくすぐる……あれが欲しい……」
太郎「甘い香りって……いなり寿司やないよな。あれ匂い弱いし」
晴斗「まあ……確かに匂い弱いよな……」
オカン「太郎! 生八つ橋や! 甘いし香りも食感も最高やで!」
オカン「太郎、あんたの手つき見てたら腹減ってきたわ。はよ作りぃ!」
太郎「今そんなこと言うタイミングちゃうやろ!!」
太郎「生八つ橋作るんはええけど……白玉粉どうすんねん!もち米なんか持ってへんぞ!」
オカン「あるで」
太郎「え?」
オカン「サーバーストレージに入っとるわ。もち米も、石臼も、ふるいも、乾燥棚も」
オカン「ついでに“八つ橋専用の麺棒”も入れといたで。未来の太郎のためにな」
太郎「未来の俺そんなもん使わんわ!!」
太郎「どっかのネコ型ロボットか!!」
晴斗「オカンさん、万能すぎるって……」
蒼真「ストレージ、なんでも入ってるな……」
オカンは道具を次々取り出す。
太郎「ほんまにネコ型ロボットやんけ!!」
オカン「太郎、ほら“どこでも八つ橋キット”や!」
太郎「そんなもん聞いたことないわ!!」
オカン「玲奈ちゃん、乾燥頼むわ」
玲奈「任せて。熱風魔法で一気にやるね」
蒼真「食品加工に魔法使うの初めて見た……」
もち米 → 乾燥 → 石臼で挽く → ふるい。
白玉粉が完成した。
オカン「太郎、小豆炊いといたで」
オカン「太郎、味見したけど完璧やったわ。自分で言うのもアレやけど天才やと思う」
太郎「自分で言うな!!」
太郎は生八つ橋を仕上げた。香りが霊峰に広がる。
龍公女「……旨すぎる……この柔らかさ……香り……心が満たされる……」
サガノ公爵も一口食べ、あまりの旨さに目を見開いた。
サガノ公爵「太郎殿……これを領都で作りたい。大量生産できぬか?」
太郎「人の手やとたくさんつくるのたいへんやで……」
オカン「太郎、ミスリルで作ったらええねん」
オカン「ミスリルは万能や! 家も建つし八つ橋も作れる!」
太郎「建築素材と菓子の話一緒にすな!!」
結局、太郎はミスリルで八つ橋製造マシンを作った。
自動混合
自動薄伸ばし
魔力焼きプレート
自動カット
玲奈の冷却魔法陣
龍公女「……美しい……」
材料を入れると、次々と八つ橋が出てきた。
オカン「太郎、これ家にも置こ! 毎朝八つ橋や!」
太郎「朝から八つ橋食う家あるか!!」
サガノ公爵「これを買いたい。いくらだ?」
太郎「そやな、ミスリル使っとるし、大体金貨ひゃく……」
オカン「白金貨1枚や」
オカン「太郎、値段は強気でいかなあかん! 商売は気合いや!」
太郎「気合いで白金貨ふっかけるな!!」
晴斗「オカンさん、強気すぎるって……」
蒼真「白金貨はさすがに高いだろ……」
公爵「……高い……」
龍公女「寝床に落ちている我の竜鱗を持ってこい」
龍公女がワイバーンに命じる。
ワイバーン(……えっ……えっ……)
ワイバーンが竜鱗を咥えて戻り、龍公女に渡した。
龍公女「これで足りぬか?」
太郎「竜鱗て……素材として最高級やん……」
オカン「空に浮かぶワイバーンも素材にしたらもっと作れるで」
オカン「太郎、あれ羽根むしったらええ素材やで」
太郎「オカン、物騒なこと言うな!!」
ワイバーン(ひぃぃぃ!!)
晴斗「太郎、それ脅してるように聞こえるって!」
蒼真「ワイバーン、完全に怯えてるぞ……」
龍公女「それも悪くないが……眷属なので勘弁してやってくれ」
太郎「優しさの方向おかしいやろ!」
結局、竜鱗3枚で手を打った。
サガノ公爵「領都に社を建てよう。龍公女へ生八つ橋を供えることを約束する」
龍公女「……嬉しい……」
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太郎「ほら、生八つ橋できたで。ニッキ味と抹茶味や」
龍公女「……この緑のものは何だ?」
太郎「抹茶や。京都の魂みたいなもんや」
晴斗「ニッキってクセ強いけど、ハマるとヤバいよな……」
蒼真「抹茶のほうが上品じゃないか?」
オカン「太郎、ニッキはオカンの青春の味や! これ食べたら三倍速で動けるで!」
太郎「どんな効果やねん!!」
玲奈「私は抹茶かな……香りが落ち着くし」
ひより「太郎くん、抹茶の色きれい……」
龍公女「……どちらも良い香りだ。両方供物にせよ」
太郎「欲張りやな!!」
読んでくれてほんまおおきに。オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と言ってます
もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。




