第108話 川床とワイバーン襲来
帝都ヘイアン・ヒョウガミ商会前
コハクとマッチャは帝城での報告を終え、商会へ戻ったが、太郎の姿はなかった。
コハク「太郎さん、どこ行かはったんやろ」
マッチャ「オカンさんの声も聞こえへんし、珍しいなぁ」
ティナが顔を出す。
ティナ「太郎さんたちなら、キフネに行きましたよ。休暇です」
コハク「キフネ……ああ、あそこ行かはったんやね」
マッチャ「オカンさんの圧やな、これは」
コハクは地図を広げ、北側の山域を指差す。
コハク「ワイバーン出てるん、ここや。キフネのすぐ北側の集落やんか」
マッチャ「太郎さんら、めっちゃ危ない場所の近くにおるやん……」
コハク「危険地帯の入口におるようなもんやで」
マッチャ「太郎さん、絶対巻き込まれるやつや……」
コハク「巻き込まれるどころか、助けに行きはるやろ太郎さんは」
コハクは地図を閉じる。
コハク「追うで。太郎さんらを見つけて合流する」
マッチャ「了解どす!」
キフネ・川床通り
川のせせらぎが響き、涼しい風が吹く。太郎たちは川床を満喫していた。
晴斗「うわ、めっちゃ涼しいじゃんここ」
蒼真「寝落ちする未来しか見えないんだけど」
玲奈「太郎くん、写真撮ろ?」
ひより「太郎くん、これ食べよ!」
太郎「最高やんここ……もう帰りたくない」
オカン「太郎、まず水飲み。川床は乾燥するねん」
太郎「川の上で乾燥ってどういう理屈やねん!!」
店員が料理を運ぶ。
店員「川魚の塩焼きでございます」
太郎「おお、うまそ――」
オカン「太郎、熱いから気ぃつけて食べなさい」
太郎「俺は子どもか!!」
晴斗「太郎、完全に管理されてるじゃん」
蒼真「もう保護者だろ」
玲奈「太郎くん、幸せ者だよね……」
ひより「オカンさん、太郎くんの健康ポイント全部把握してる……」
オカン「太郎、塩分控えめにしとき。むくむで」
太郎「川床でむくみの心配すな!!」
店主が名物を説明する。
店主「こちらが当店名物の――」
オカン「太郎はもっと味濃い方が好きやねん」
太郎「勝手に嗜好決めるな!!」
晴斗「太郎、人生乗っ取られてるじゃん」
蒼真「設定が書き換えられてる」
玲奈「太郎くん、がんばって……」
ひより「太郎くん、ファイト……」
太郎「なんで応援されてんねん!!」
店員が駆け込む。
店員「北の山でワイバーンが出たそうです! 北側の集落が襲われているとか……!」
太郎の表情が変わる。
太郎「北側って、このキフネからすぐ上やん」
晴斗「太郎、行くんだろ」
蒼真「しゃーないな」
玲奈「せっかく来たのに……」
ひより「でも太郎くんらしいね」
オカン「太郎、行くならうちもついていくで」
太郎「絶対ついてくるやろ!!」
サガノ公爵領・北側
オニキスは現地に到着し、領軍から説明を受けていた。
領軍兵「鉱山開発を進めていたところ、天嶺山脈の龍の怒りを買ったのか、ワイバーンが飛来し始めました。数匹確認されています」
オニキス「……姉上は」
領軍兵「メノウ様は無事です。避難済みです」
オニキスは安堵し、すぐに表情を引き締める。
オニキス「太郎殿の応援を待つべきか……いや、領民を放置できない。討伐に向かう」
領軍兵「はっ!」
山道・キフネ入口
太郎たちが山へ向かう途中、後方から声が響く。
コハク「太郎さん!! 追いつきましたえ!!」
マッチャ「ほんま、キフネにおるとは思わんかったわ!」
太郎「来たんか!」
オカン「うちの太郎を守りに来てくれたんやな!」
マッチャ「いや守るのは太郎さんやなくて、太郎さんが向かわはる北側の集落どす……」
コハク「太郎さん、モンド様が軍を動かしはりました。ワイバーン、かなり危険どす」
太郎「分かった。行くで!」
太郎たちはサガノ公爵領北側の山奥へ走り出した。
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太郎「キフネ来ただけで体力三割回復した気がするわ……」
晴斗「いや太郎、さっきまで死にかけの色してたのに元気すぎ」
蒼真「川の音で脳みそ初期化されてるよな」
玲奈「太郎くん、なんか今日ちょっと若返ってない?」
ひより「太郎くん、顔色が人間に戻ったよ!」
オカン「太郎、もっとリラックスしぃ。肩に力入りすぎや」
太郎「川床で肩の力チェックすな!!」
コハク「太郎さん、楽しんではるとこ悪いんやけど……北側、えらいことになってますえ」
マッチャ「ワイバーン、数おるらしいですわ。のんびりしてる場合ちゃいます」
晴斗「太郎、これもう行く流れだよな」
蒼真「せっかく来たのに……まぁ太郎なら行くよな」
オカン「太郎、行くならうちもついていくで。ワイバーンより太郎の方が心配や」
太郎「なんでオカンが一番戦闘モードやねん!!」
読んでくれてほんまおおきに。オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と言ってます
もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。




