第107話 川床へ逃げるしかない
◆ヒョウガミ商会・帝国支店 会議室
太郎「……もうあかん。働きすぎて昨日の記憶が“働いた”しかないんやけど」
晴斗「いや普通にヤバいって。太郎、顔色バグってるで」
蒼真「従業員は週休三日で健康管理してんのに、俺らだけ無休ってどういう会社やねん」
玲奈「私も限界! おいしいもの食べに行きたい」
ひより「太郎くん、がんばりすぎ……」
太郎「商会も軌道に乗ったし、そろそろティナらに任せて休みたいわ……」
オカン「太郎、あんた働きすぎや。見てみ、その顔色。休ませへんかったら、うちが怒られるやんか」
太郎「誰に怒られるん!? オカンの上司どこにおるん!?」
晴斗「太郎、マジで休んだほうがいいな」
蒼真「疲れると効率も悪くなる。休もう……」
オカン「太郎、休みなさい。今すぐ。倒れたら、うちが担いで帰らなあかんやろ」
太郎「担げるかい!! 俺の体重何キロやと思ってんねん!!」
ティナ「太郎さん。幹部たちももう慣れてきましたし、支店運営は問題ありませんよ」
オカン「ほら見ぃ。ティナちゃんも言うてるやん。太郎、休め。これは“うちの総意”や」
太郎「総意ってなんやねん!! どこに評議会があんねん!!」
玲奈「そういえば、キフネってところに川床料理があるらしいよ」
オカン「川床!? 行こ。太郎、行こ。川の上で涼んで疲れ全部流してくるわ」
太郎「なんでオカンが一番ノリノリやねん!!」
晴斗「もう行こや太郎。俺らも限界やし」
蒼真「……水の上で寝たい」
ひより「みんなで行きたいな!」
太郎「王国から帝都ヘイアンと王都ナンバをつなぐ鉄道の依頼きてるけど……帝国に聞いてって丸投げしたしな。今は休ませてくれ……」
オカン「丸投げできる仕事は丸投げしとき。太郎は休むんや。これは“うちの方針”や」
太郎「方針ってなんやねん!! どこに規約があんねん!!」
ティナ「コハクさんとマッチャさんは帝城に呼ばれて不在ですし、今がチャンスですよ」
オカン「ほな行くで。川床で太郎を冷やしてくる」
太郎「冷やす目的で行くん!? 俺は食べに行きたいんやけど!?」
晴斗・蒼真・玲奈・ひより「行こう!!」
太郎「なんで全員オカンの勢いに乗ってんねん!!」
太郎たちはオカンの圧と勇者のノリに押される形で、キフネへ向かった。
◆帝都ヘイアン・皇太子モンド執務室
オニキス「神獣・九尾の狐が一晩で太郎殿の街から帝都までの整地を終え、1か月で鉄道敷設も完了。
九尾の狐のため神社を建立。いまや観光地と化しています」
コハク「ニシキ商会が狐森稲荷参拝ツアーを企画し、貴族や富裕層が魔導列車で王国側へ向かっています。
現地でお供えする貴族向け稲荷寿司も高額にもかかわらず売れています。現地で収益はうなぎのぼりで投資した白金貨1000枚は三年で回収できる見込みです」
マッチャ「魔導冷蔵庫がビールを冷やすため売れています。それと太郎さんから大吟醸が十樽届きました。酒呑童子様に届けてほしいとのことです」
財務大臣「帝国経済は活性化しており、今年の税収は前年の1.3倍を見込んでおります」
外務大臣「カワチ王国より、王都ナンバと帝都ヘイアンを結ぶ鉄道敷設の要請と、30年間の不戦条約の申し入れが届いております」
モンド「……皆さん、ありがとうございます。こうして並べてみると、太郎くんの動きが帝国のあちこちに影響を与えていますね。良いことも多いですが……変化が早すぎると、別の問題が顔を出すものです」
モンド「王国の鉄道要請と不戦条約。これは、帝国の動きを慎重に観察した上での判断でしょう。ええ……王国は思った以上に手が早い。皇帝とも相談してどうするか決めることにします」
モンドは柔らかい声で話しながらも、どこか遠くを見ていた。
そのとき、一人の男が会議室に入ってきた
長官「会議のところ申し訳ありません。殿下、北方より緊急報告です!」
モンド「……どうぞ」
宮内庁長官「天嶺山脈に接するサガノ公爵領で、ワイバーンの群れが周辺の村を襲っています! 被害が拡大中とのことです!」
オニキス「ワイバーンが……?」
コハク「サガノ公爵領は、メノウ姉様の嫁ぎ先……」
いつも冷静なモンドの表情がこのときは変わり、
モンド「……村が襲われているのですね。軍を向けます。被害が出ている以上、見過ごすわけにはいきません」
オニキス「兄上……」
モンド「至急、軍務局へ通達を。天嶺山脈方面へ討伐隊を編成します」
オニキス・コハク・マッチャ「はっ!」
モンド「コハク。太郎くんに、可能な範囲で支援をお願いできるか確認してください。」
コハク「承知しました。太郎はんにお伝えします」
モンド「お願いします。助かります」
会議は静かに終わった。
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太郎「なぁ……俺ら、いつから“帝国支店の床の一部”みたいになったんやろ」
晴斗「昨日からずっと同じ姿勢やしな。もう椅子と融合してるで」
蒼真「太郎、背中に“働きすぎ注意”って文字浮いてるぞ」
玲奈「太郎さん、今日だけで三回ため息つきましたよ……」
ひより「しかも全部“死にかけのカエル”みたいな音やった……」
オカン「太郎、あんたのため息、店内の湿度上げてるで。そろそろ止めなさい」
太郎「湿度に影響するため息ってなんやねん!!」
晴斗「てか太郎、最近オカンさんの言うことだけ反応早くない?」
蒼真「上司よりオカンさんの指示を優先する男」
玲奈「太郎さん、完全に“オカン専属社員”ですよね……」
ひより「オカンさんが社長なん?」
オカン「せやで。太郎の健康管理部門の社長や」
太郎「勝手に部署作るな!!」
読んでくれてほんまおおきに。オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と言ってます
もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。




