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異世界でオカン(AI)がうるさい 〜追放された俺、最適化されて最強になる〜  作者: トレス=レイ
第三章 キョウ帝国編

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第105話 狐森の和解

尾巫女たちが森の奥から現れた瞬間、空気が張り詰めた。

白い能面の奥から淡い妖気が漂い、衣の裾が風もないのに揺れている。

焚き火の炎が細く揺れ、討伐隊の騎士たちが息を呑んだ。


尾巫女「この先に立ち入ることは許されぬ」


オニキスが剣を抜き、前に出る。


オニキス「やむを得ん。構えよ!」


太郎「いやいやいや! なんで巫女さんが敵なん!?」


尾巫女たちは音もなく散開し、太郎たちを包囲した。その動きは静かで、しかし異様なほど揃っている。


コハクが太郎の前に立つ。


コハク「太郎様、下がってください!」


太郎「下がるも何も、もう囲まれてるんやけど!」


オカンはなぜか包みを開けていた。


オカン「太郎、腹減ってへんか? 助六食べとき」


太郎「こんな緊張感あるとこで助六すすめるな!」


尾巫女の一人が太郎に向かって跳ぶ。

その刃が迫った瞬間――。


助六弁当の稲荷寿司が、ふわりと光を放った。


太郎「なんで助六が光んねん!!」


尾巫女たちは一斉に動きを止め、ひざをつく。


尾巫女「……その光……神気……?」


太郎「いや弁当やで!? ただの弁当やで!?」


尾巫女たちは敵意を失い、太郎たちを森の奥へ案内した。



森の奥は、外よりもさらに静かだった。木々の間を抜ける風が止まり、空気が重く沈んでいる。


その中心に――苔むして朽ちた小さな社があった。


社の前には、巨大な九尾の狐が横たわっていた。白銀の毛並みはくすみ、九本の尾は弱々しく揺れている。神気と妖気が混ざり合い、苦しげな息を吐いていた。


太郎「……ここ、神社か?」


尾巫女が静かに頷く。


尾巫女「この森は神域。主は、この社を守る神獣……」


太郎「神獣!? なんでそんな大事なもんが倒れてんねん!」


尾巫女「鉄道工事の振動で……社の結界が乱れました。森の端に集う魔物たちは、主を守るために並んでいるだけ……」


太郎は森の外縁を見た。狼型、熊型、鳥型……さまざまな魔物が、まるで“森の守衛”のように整列ししている。



九尾が弱々しく目を開いた。


九尾「……人の子よ……我を討つのか……?」


太郎「いや、倒れてる相手に何すんねん。まず大丈夫か?」


オカンがそっと稲荷寿司を差し出す。


オカン「太郎、これ食べさせたら元気なるんちゃう?」


太郎「おいなりさんを万能薬みたいに扱うな!」


しかし九尾は稲荷寿司の匂いに反応し、わずかに首を動かした。


九尾「……その甘い揚げ……懐かしい……」


尾巫女が静かに言う。


尾巫女「主は長らく“供物”を受けておりませんでした……」


太郎「供物って……おいなりさんのことかい!」


オカンが九尾の口元に稲荷寿司をそっと置く。


九尾は弱々しく口を開き、一口かじった。


次の瞬間――九尾の体から淡い光が立ちのぼった。


九尾「……力が……戻る……!」


九本の尾がふわりと持ち上がり、毛並みが一気に艶を取り戻す。社の周囲の空気が澄み、森が息を吹き返した。


太郎「ほんまに回復したーーーっ!?」


オカン「ほら見ぃ、食べたら元気なる言うたやろ!」


太郎「おいなりさんを回復アイテム扱いすな!」


九尾は立ち上がり、太郎たちを見下ろした。


九尾「……人の子よ。礼を言う。妾はフシミ。この地を守る神獣である。おぬしらの供物……実に良い……」


太郎「供物って言うな! ただの寿司や!」



九尾の事情を聞き、太郎は提案する。


太郎「ほな、鉄道のルートずらしたらええんちゃう? 社も森も守れるやろ」


技術者「可能です! むしろ駅を作れば観光資源に……!」


オカンが勢いよく手を挙げた。


オカン「駅前に神社建てよ! おいなりさん供えたら運気上がるって言うたら、観光客が勝手に供えるで!」


太郎「商売の匂いしかしない!」


オカンはさらに追撃した。


オカン「駅でケツネうどんも売るで!」


太郎「絶対売れるやつやん!」


九尾はその様子を見て、かすかに笑った。


九尾「……人の子らよ……悪くない……」


尾巫女たちも静かに頭を下げる。


尾巫女「主は、この森を守りつつ、人の子らと共に歩むことを望まれます」


オニキス「殿下に報告しよう。駅と神社の建設、森の保全……すべて両立できる」


太郎「ほんまに観光地化する気満々やん……」



九尾が太郎に尾の先を向ける。光の粒がふわりと舞い、太郎の胸に吸い込まれた。


太郎「うわっ!? な、なんやこれ!」


九尾「……加護の欠片……礼だ……」


太郎「いや、勝手にバフかけんといて!」


尾巫女「主の恩寵を拒むとは……」


太郎「いや怖いねん!」


九尾は静かに目を閉じ、森に再び静寂が戻った。


九尾「……また供物を持って来るがよい……」


太郎「いや、気軽に呼ばんといて……」


オカンが太郎の背中を叩く。


オカン「太郎、帰ったら粉もんの仕込みやで!」


太郎「結局そこかい!」


────────────────────────


太郎「なんで巫女さんが敵なん!?」

オニキス「太郎殿、下がれと言っている!」

太郎「下がる場所がないんやって!」

コハク「太郎様、私の後ろへ!」

太郎「いや、もう囲まれてるんよ!」

オカン「太郎、腹減ってへんか? 助六あるで」

太郎「この状況で助六出すな!」

尾巫女「……静まれ。主の眠りを妨げる者よ」

太郎「いや、妨げる気ゼロや!」

オニキス「来るぞ!」

太郎「来るなって言うてるやろ!」

オカン「太郎、食べながら戦ったら力出るで」

太郎「だから助六を戦闘食にすな!!」


読んでくれてほんまおおきに。オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と言ってます

もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。

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