第101話 ヒョウガミ商会・帝国支店始動
帝都ヘイアンの中心街。
新しく建てられたヒョウガミ商会帝国支店の二階には、広々とした会議室が用意されていた。
壁には三枚の魔導板が並び、太郎の街本店、王都ナンバ支店、帝国支店 が映像でつながっている。
すでに数名の学生インターンが席に着き、緊張した面持ちで資料を抱えていた。
太郎「……なんやこれ、もう大企業の会議やん」
オカン「せやで。太郎の街は世界を変えるんや。ついでにうちの粉もんも世界進出や」
玲奈「太郎くん、黙って座ってて。邪魔」
太郎「ひどい!」
会議室の前方には、帝国支店長ティナが立っていた。
太郎の街出身の商人の娘。
ヒョウガミ商会の“1期卒業生”であり、玲奈がその才能を見込んで帝国支店長に指名した人物だ。
ティナ「それでは、会議を始めます。本店、ナンバ支店、映像は問題ありませんか?」
魔導板の向こうで、太郎の街本店のスタッフが手を振る。
オカン「おーい、ちゃんと映っとるでー! 太郎の顔も大きめに映しとき!」
太郎「なんでやねん!」
玲奈「じゃあ、全体方針を説明するわね」
玲奈が魔導板に地図を映し出す。
太郎の街=王都ナンバ と太郎の街=帝都ヘイアン
この二本の魔道列車ルートが光る。
玲奈「まず、魔道列車の延伸。太郎の街からナンバまでは来月開通予定。次は帝都ヘイアンまでつなぐわ。将来的には、ナンバとヘイアンを直結させる計画もある」
学生たちが一斉にメモを取る。
オカン「列車できたら、駅前に粉もん屋出すで。“駅ナカたこ焼き”や!」
太郎「駅ナカって言うな!」
玲奈「街道整備も並行して進める。物流が安定すれば、商会全体の利益が跳ね上がるわ」
続いて、酒類の話に移る。
玲奈「次に、酒類の増産。酒呑童子の妖気安定のため、定期的な供給が必要。酒蔵の増設と、魔導冷蔵庫を使った流通を強化する」
オカン「冷えた酒は正義やで。あと、つまみに粉もん置いたら売上三倍や」
太郎「会議で粉もん推すな!」
玲奈「そして重要なのは――経済バランス。例えば相手国の農業への悪影響を避けるため小麦の大量出荷は避ける。
加工品を中心にして、王都と帝国から職人を受け入れ、将来的には各地で生産できる体制を作る」
学生A「ナンバへの鉄道は来月開通予定です!」
学生B「帝都側の敷設ルートは未確定です。帝国側政府に交渉窓口を決める必要があります」
学生C「国境地帯に魔物の巣があり、ルート選定が難航しています」
学生D「オカンさんの資料を元にビール生産を開始しました!」
学生E「街では魔導冷蔵庫で冷やすと売れ行きが倍増です!」
学生F「ナンバとヘイアンに店舗を購入済み。フードコート開店準備中です!」
オカン「フードコートには粉もんコーナー作っときや。“帝国限定たこ焼き”とか作れるで」
太郎「限定とか言う前に許可取れ!」
太郎「なんで俺の知らんところで全部進んでんねん……」
ティナ「太郎さんが六層に行っている間に、現場は動いていました」
オカン「うちの資料が役に立ったんやなぁ」
玲奈「……粉もんのページはいらなかったけどね」
太郎「帝国側の窓口は……頼んでみるわ。
国境の魔物退治は晴斗と蒼真にお願いできるかな。
玲奈はこっちで手いっぱいや」
晴斗「任せろ。魔物退治は慣れてる」
蒼真「ルート確保は重要だ。迅速に片付ける」
オカン「帰りに粉もん買ってきてなー!」
太郎「魔物退治の帰りに粉もん買わせるな!」
会議室の空気が少し引き締まったところで、ティナが資料を広げ、前に出る。
ティナ「帝国内で商売をするなら、すみ分けが必要です。現在、帝国には二つの大きな商会があります」
魔導板に三つの商会のロゴが映る。
ニシキ商会(ユラの実家) 帝国の名門。貴族・富裕層向け。
アゲート商会 皇族系商会。貴族向け高級路線。
ヒョウガミ商会(太郎) 平民主体。加工品・食品・新文化の発信地。卸売りも担当し、両商会に商品を供給する。
ティナ「ヒョウガミ商会は、ニシキ商会とアゲート商会への卸売りを行い、店舗では平民層への直接販売を中心に展開すべきです。三商会が並ぶことで、帝国の経済は安定します」
太郎「……なんか、俺よりティナのほうが商会のこと分かってるな」
玲奈「当然でしょ。支店長なんだから」
オカン「ティナちゃんは優秀やで。太郎は看板や」
太郎「看板てなんや!」
オカン「飾っとくだけで客寄せになるやろ?」
太郎「俺は招き猫か!」
ティナは微笑み、会議を締める。
ティナ「――以上が、帝国支店の方針です。太郎の街、ナンバ、ヘイアン。三つの拠点をつなぎ、経済を動かします」
太郎(……ほんまに大事になってきたな……)
魔導板に映る三つの拠点が同時に光り、新たな経済の流れが動き出した。
ヒョウガミ商会・帝国支店。
ここから、帝国の未来が変わる。
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太郎「なんやこの会議……俺だけついていけてへん気がする」
オカン「大丈夫や太郎。あんたは“会議室の癒やし枠”や」
太郎「そんな枠いらん!」
ティナ「太郎さん、癒やしより決裁のほうをお願いします」
太郎「ぐっ……支店長に正論で刺された……」
玲奈「刺されるような働きしかしてないからよ」
学生A「帝国側の窓口、誰に頼むんですか?」
太郎「……俺が行くわ。オニキスに頭下げてくる」
オカン「ついでに粉もんの営業もしてきぃや」
太郎「皇族に粉もん売りつけるな!」
晴斗「魔物退治は任せろ。帰りに粉もん買ってくる」
蒼真「……任務より粉もんが主目的になってないか?」
オカン「粉もんは正義や!」
読んでくれてほんまおおきに。オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と言ってます
もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。




