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異世界でオカン(AI)がうるさい 〜追放された俺、最適化されて最強になる〜  作者: トレス=レイ
第三章 キョウ帝国編

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第100話 皇帝の間に響く声と、揺れる想い

帝城の最奥、重厚な扉が静かに開く。

太郎たちは案内され、皇帝の間へと足を踏み入れた。


高い天井、金糸の垂れ幕、磨かれた黒曜石の床。

その中央に、皇帝と皇妃が並んで座している。


右には皇太子モンド。

左には第二皇子オニキス。

さらにその隣には、第二皇女ヒスイが静かに佇んでいた。


太郎(……なんやこの圧……空気が重い……!)

オカン「太郎、背筋伸ばし。猫背は皇族の前で減点やで」

太郎「今は減点とかどうでもええ!」


コハクは緊張した面持ちで太郎の隣に立つ。

勇者たちも背筋を伸ばし、場の空気に飲まれないよう必死だ。


皇帝が口を開いた。


皇帝「六層より戻ったと聞いた。まずは無事を喜ぼう。……さて、何があった?」


太郎は深呼吸し、六層での出来事を説明した。


・酒呑童子の妖気増大は“蝕”ではなく“酒不足”

・今後は定期的に酒を献上することで安定

・今回の六層訪問は“ノーカウント”

・茨木童子との力比べの話


皇帝は目を細め、ゆっくりと頷いた。


皇帝「……酒呑童子らしい理由だな。酒が足りぬと妖気が増すとは……」


皇妃はため息をつく。


皇妃「六層の守護が酒で左右される国ってどうなのかしら……」


オカン「酒は万病の元やけど、あの鬼には万能薬なんやろなぁ」

太郎「オカン、皇帝の前で酒の講釈すな」


皇帝はコハクへ視線を向けた。


皇帝「コハクよ。

お前は六層に入った。皇帝になる資格を得た。……皇帝の座を求める気はないのか?」


場が静まり返る。


コハクは一歩前に出て、深く頭を下げた。


コハク「私は……皇太子であるモンド兄様こそ、皇帝にふさわしいと考えております。兄様の背を支えることが、私の役目です」


モンドは驚き、そして誇らしげに微笑んだ。


皇帝は満足げに頷く。


皇帝「……よい答えだ」


次に、皇帝の視線がオニキスへ向く。


皇帝「オニキス。お前はどうだ?太郎殿の護符の件、そして六層の騒ぎ……何か申すことは?」


オニキスは静かに立ち上がり、深く礼をした。


オニキス「父上。私は……皇位継承権を辞退したく存じます」


場がざわめく。


モンド「オニキス……!」

コハク「兄様……!」


オニキスは胸に手を当て、熱を帯びた声で続けた。


オニキス「私は……商人になりたいのです!世界を巡り、珍しい品を集め、帝国に新しい風を吹き込みたい!商いこそ、私の生きる道!」


太郎(めっちゃ熱い……!)

玲奈(なんか……思ってたより夢がデカい……)

オカン「ええやん商人! うちも商売好きやで! 粉もん売ろか?」

太郎「オカン、黙っとけ!」


皇帝はしばらく沈黙し、やがて口を開いた。


皇帝「……継承権は継続する。だが、商いをすることは許す。好きにやるがよい」


オニキスは目を輝かせた。


オニキス「父上……! ありがとうございます!」


皇帝は続ける。


皇帝「ただし……お前に連なる第二皇子派の貴族の中に、ビリケーン教と繋がっていた者がいたな。その当主は交代させた。……二度と余計な真似はさせぬ」


オニキスは深く頭を下げた。


オニキス「ご配慮、痛み入ります」


太郎は手を挙げた。


太郎「あの……商売するなら、うちの商品は優遇しますよ。仕入れ値とか、ちょっとだけ安くします」


オカン「太郎、ちょっとやなくてガッツリ安くしたれ」

太郎「オカン、商売の基本を壊すな!」


皇帝は笑い、太郎へ向き直る。


皇帝「太郎よ。ならば……魔道列車を帝都まで繋げてくれぬか?物流が改善されれば、商いも活発になる」


玲奈「……検討します。線路の延伸は可能です」

オカン「面倒やな…………」

皇帝「白金貨1000枚を出そう」

オカン「やりましょう!」

太郎「オカンが即答した!?」


会談は和やかに終わり、皇族たちは退出していく。


太郎がほっと息をついたその時――

背後から柔らかな声がした。


ヒスイ「……太郎様」


振り返ると、第二皇女ヒスイが立っていた。

頬を赤らめ、太郎の手をそっと握る。


ヒスイ「六層でのご活躍……胸が熱くなりました。

太郎様……どうか……」


太郎「え、あの、俺……お付き合いとかは……」


ヒスイは首を振った。


ヒスイ「違います。私は太郎様とそのような関係を望んでいません」


太郎「えっ」


ヒスイは真剣な目で続けた。


ヒスイ「お願いしたいのは……弟、オニキスのことです。どうか……あの子を支えてあげてください。私は以前から、あの子の“本当の願い”を知っておりました。なんとか叶えてやりたいと、ずっと思っていたのです」


太郎「……願い、って……商人になりたいってやつか?」


ヒスイは静かに頷く。


ヒスイ「はい。太郎様のご助力をお願いしようと考えていたのですが……太郎様のおかげで、あの子は自分の道を選ぶことができました。本当に……ありがとうございます」


彼女は太郎の手をぎゅっと握り、まっすぐに見つめる。


ヒスイ「オニキスは不器用で、でもとても優しい子です。どうか今後も……太郎様のお力をお貸しください」


太郎「……なんやそれ」


オカン「太郎、モテ期やなくて“頼られ期”やな」

太郎「どっちでもええわ!」


ヒスイは微笑み、静かに去っていった。


太郎は頭を抱えた。


太郎「……また面倒なことに巻き込まれそうや……」


──翌日。


太郎たちは帝都の大通りに新しく建った商会の支店を訪れた。


白壁に金の縁取り、立派な看板が掲げられている。

その中央には――


『ヒョウガミ商会』


太郎「なんでや!!」


通りの人々がビクッと振り返るほどの叫びだった。


ユラ「……王国での申請書類に、そう書いてありましたえ」

太郎「書いてあった!? 誰がそんなもん書いたんや!」


玲奈が申し訳なさそうに手を挙げる。


玲奈「オカンさんから“これで頼むわ”って言われたけど……だめだった?」


太郎「オカン!! なにやってんねん!!」


オカンは胸を張って堂々と言い放つ。


オカン「縁起のええ名前は使わんと損や。“ヒョウガミ”は縁起ええやろ? 神ついてるし」


太郎「いや、神ちゃう! 誤解の元や!!」


ユラは袖口を押さえてくすっと笑う。


ユラ「……せやけど、響きは強うて覚えやすいどすえ。商売には、こういうんが案外ええんどす」


太郎「ユラまで味方するんかい!」


玲奈「もう看板も作っちゃったし……変えるなら追加料金かかるよ?」


オカン「ほなこのままでええやん。追加料金もったいないわ」


太郎「オカンの節約精神で俺の人生が歪むんや!!」


通りの人々は、“ヒョウガミ商会の店主らしき青年が叫んでいる”という誤解を深めながら、そっと視線を逸らした。


太郎は頭を抱えた。


太郎「……なんでこうなるんや……」


ユラは太郎の袖をそっと引き、柔らかく微笑む。


ユラ「太郎はん。名前はどうあれ……ここから始まるんどすえ。あんさんの商いも、帝国の未来も」


太郎「……フォローが京都弁やと妙に沁みるわ」


オカン「ほな、開店祝いにたこ焼き焼こか!」

太郎「粉もんから離れろや!!」


こうして、帝国に“ヒョウガミ商会”が誕生した。


太郎の知らぬところで、その名は後に帝国全土へ広がっていくことになる――

良くも悪くも。


────────────────────────


太郎「……なんやそれ。なんで俺がオニキスの後見人みたいになっとんねん」

オカン「ええやん太郎。あんた面倒見ええし、向いてるで」

太郎「向いてへんわ! 俺は商人でも皇族でもないんやぞ!」

玲奈「でも太郎、なんだかんだで人に頼られるタイプよね」

晴斗「六層の鬼にも気に入られてたしな」

蒼真「酒呑童子に気に入られる一般人は前代未聞だ」

太郎「それはノーカウントや言うたやろ!」

コハク「太郎殿……兄様のこと、よろしくお願いします」

太郎「コハクまで!? 俺いつの間に皇族サポート係になったん!?」

ユラ「太郎はん、諦めは早いほうが楽どすえ」

太郎「京都弁で悟されると逆らわれへんのよ!」

オカン「ほな次は“ヒョウガミ商会”の繁盛祈願やな!」

太郎「まだ納得してへんわ!!」

読んでくれてほんまおおきに。オカンは「ブクマ押しとき!損はさせへん!」とか「★評価?そら押すやろ常識やん!」と言ってます

もし少しでも笑えた、続き読みたい、オカンうるさいけど好き、など思ってくれたら、ブクマや★評価で応援してくれたらオカンがめちゃくちゃ調子に乗ります。作者もついでに元気になります。ほな、次回もよろしく頼むで。

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