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39話. 王女降臨!?ツッコミ不在の地に立つ!そして、ひれ伏す侍女と感電しない仲間たち!

「ちょっと目立ったらこれだよ!」と叫びたいアリアナです。まさかのブローチ発光イベントからの王女モード突入。侍女たちがひれ伏す中、本人は戸惑いMAXでお届けします。

「リ、リンダ!?」


 リンダの手から放たれる光は、まるで命を削ってるみたいに、どんどん弱くなっていった。

 彼女の体がふらつき、あたしは慌てて支える。細い肩が、ありえないくらい軽い。ヒーラーって、こんなに消耗するの……!?


「……アリアナ……」

 その唇が、かすかに動いた。


「セシリア様を……助けられるのは……あなただけ……」

 震える指が、あたしの胸元を指す。

「そのブローチを……セシリア様に……握らせて……お願い……アリアナ……いえ……セリーナ王女殿下……」


 ──は???


 びっくりして、声が裏返りそうになる。


「ま、待ってリンダ!?それ、さすがに言葉の綾とかじゃ──あのブローチって、他人が触ると感電するんだよ!?」


 って、言ってるそばから!


 リンダが迷いもなく、胸元のブローチを掴んだ。


「……〝共鳴〟する想いがあれば、拒絶されない……セシリア様なら……きっと……」


 ぱたり。


「リンダッ!!?」


 あたしの腕の中で、彼女は完全に意識を失った。慌てて侍女たちが駆け寄るけど、それどころじゃなかった。


 信じていいの?いや、信じるしかないでしょ!


 目の前には、苦しそうにうめいてるセシリアがいる。こめかみには冷や汗。指先がぴくぴく痙攣してる。


 あたしは震える手で、セシリアの指を取った。そして──


「お願い……戻ってきて、セシリア」


 自分の胸元のブローチを、そっと彼女の手の中に握らせた。


 その瞬間。


「っ……!!」


 セシリアの体がびくんと震え、目を見開いた。そしてその瞳が、まっすぐあたしを──いや、ブローチの奥の〝何か〟を──見つめる。


「……あなたは……セリーナ……?」


 はっ。

 わ、わかる。今の、なんか、スイッチ入ったやつだ。脳内で、カチッて音した。魔力が、体中を駆け巡るのがわかる。


 あ、やばい。


「……え、ちょっと、なにこれ。身体が大きくなって……髪、伸びる……」


 鏡がないのに、わかる。金髪、発動してる。お嬢様モード、オン。


 ぽかんと口を開ける侍女たち。やがて、侍女長が「はっ」と目を見開いて、がばっと跪いた。


「こ、これは……セリーナ王女殿下……!?まさか……奇跡が……!」


「えっ、ちょ、えっ、いやそんなつもりじゃ──」


 続いて侍女たちが、どどどっとひれ伏した。


「姫君よ……!」

「まさか……再臨……っ」

「ひれ伏す以外の選択肢が見当たらない……!」


 いやだから、まだ意識はあたしだし!けど、今更そんなツッコミ、届くわけもなく。


 ……ああぁぁ、なにこの空気。


 セリーナ王女殿下の〝再来〟だと完全に信じ込んでしまった侍女たちは、今にも賛美歌でも歌い出しそうなテンションで、こちらをうるうる見つめてくる。


 セシリアまで、ぼんやりした目であたしを見上げて──そして、ぽろっと涙をこぼした。


「……セリーナ王女……私……ずっと……守れなくて、ごめんなさい……っ」


 え、ちょ、セシリア!?


 ああもう、無理無理!こんなの、演技じゃ通せないってば!


「……あ、あの、違うのよ。あたしはただの……」


 言いかけて──やめた。


 違う。あたしは、ただのアリアナなんかじゃない。

 だって、このブローチが──王女の想いがセシリアを救おうとしてる。

 手を握ったとき、わかった。涙の熱さが、胸の奥に染み込んできた。

 この気持ちは、きっと、あたしだけのものじゃない。

 自分の中にいる王女が、そう願ってる。

 あの子は──セシリアは、悪役令嬢なんかじゃない。

 あたしにとって、大切な人なんだ。


「……いいの、セシリア」


 自然と、言葉が口をついて出た。さっきまでのテンパりはどこへやら、あたしの声は、まるで……セリーナみたいで。


「あなたのせいじゃないわ。あの日……何かが仕組まれていたのよ。わたくしは、誰よりもあなたのことを大切に思ってた。それだけは……本当よ」


 泣きじゃくるセシリアの肩を、そっと抱き寄せた。ぎゅっと抱きついてくる彼女の体は、驚くほど細くて……ずっと、苦しかったんだろうな、って思った。


 やがて、涙を拭ったセシリアが、ぽつりと口を開いた。


「……エリザベスと、その背後にいる執行官……彼らは学園のどこかに拠点を構えているわ。でも……いくつもの強力な結界が張られていて、正確な場所は特定できないの」


「……結界か。そりゃ面倒くさいなぁ」


 そう漏らすと、セシリアが少しだけ笑った。


「でも、私たちなら、きっと見つけられるわ。あなたが一緒にいてくれるなら……」


 その言葉に、胸がきゅっとなる。


「もちろんよ」

 あたしはにっこりと笑って、彼女の手をもう一度握った。


「一緒に、戦おう。ぜーったいに、やつらを引っこ抜いてやるんだから!」


「……ええ、セリーナ王女殿下」


 いやアリアナって呼んで!


 ──こうして、次なる戦いの幕が、しれっと上がったのだった。



セリーナ王女(物理)再来で、まさかのヒロイン格上げ!?でもご安心を、まだ中身はいつものアリアナです。たぶん。

ただし今後、髪が勝手に伸びても驚かないでください。

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