041LIVEコン打ち上げと『超速再生』『禁則事項領域』
私たち――は感動冷めやらぬまま、LIVEコンサート打ち上げに行くことにした。
身体は打ち上げ会場に行き、残りの意識リソースは仮想空想にある『球体フリースペース』に集まることにする。
前者は、第九合唱団オーケストラ《シンフォニスタ》、ギルドネットワークスとしての各シェアリングタイム《主に感想/構想/情報共有》、後者はクランと一部ギルドネットワークスとしての各シェアリングタイムだ。
身体が打ち上げ会場に向かう為、LIVEコンサート会場の階段を登ろうとした時、鹿獅子がこちらを観ていた。
鹿獅子は球体フリースペースにも居る――。
鹿獅子は何も喋らない――。
そして動いた――。特に角が。
角と角が擦り合わされ、粉になってゆく。
粉はメタスキル『超重力』によって無重力化された空間スペースにまぁるく浮いている。
擦り取られた角はすぐさま『超速再生』で元に戻った。鹿角粉も増殖されている。
鹿獅子は何も言わないが、私たち――はなんとなくそれを口にしたくなった。
鹿の角は急速成長することから、強い生命力を現し、古来から大陸の東エリアで腎臓の薬として高額取引されてきた。
私たち――はその粉を服用した。
《メタスキル『超速再生』を体得しました》
第九ではドラムマシンで薄く潜在意識レベルに聴こえるリズム参加していた『ガイダンス』は告げた。
(超速再生?テロメアとの関係性はどうなんだろう)
シェリーは即時そう思った。
テロメアも回復再生するのか、それとも細胞の超速再生によりテロメアがすぐに短くなり細胞劣化しやすくなるのか。
《テロメアも再生されます》
アプル/フィオナは尋ねる。
アプルはきこさんみこさんと私――と共に演出を手がけるプレイヤーだ。プロデューサー/参謀とも言えるかもしれない。
私――はプロデューサー/オーガナイザーと言えるかもしれない。そして創作家/最適家である(お決まりの声がする――肩書なんてどうだっていい)カテゴライズは便利といえば便利だ。メリットデメリットがある。
この際、演出二人もプロデューサー/オーガナイザーということにした。
「細胞劣化しないで肉体は不老長寿になるってこと?」
どうやら『禁則事項領域』に抵触はしなさそう。
《そういうケースもあります》
「「別ケースは?」」
マナとルーナが口を揃えた。
マナとルーナは演出する私たちをサポート、アシスタントする。ディレクタみたいなものかもしれない。二人は特に歌のリーダーでコンシェルジュとも言える。
マナはビートルズも好きで、ルーナはアニソンも歌う。アプルの機材設定も手伝うフロント/コンシェルジュとも言えよう。同じくアニソンを歌うルルもすぐそばにいた。
とはいえ機材設定はメタスキル『物質解放』により、楽器のチューニング、セッティングも演奏前〜最中に『最適化』される為、特段必要ない。オープンリソース『球体ホログラム』によりアンプも必要ない。
その他『球体フリースペース』以外でのLIVE時の機材については、またの機会にシェア/共有されるかもしれない。基本的には物質解放も相俟って自動化、最適化されている――。
ちなみに私――に二人はマーナとか急に摩耶とか、リュナとか呼ばれることもある。(リフレイン名前なんざどうだっていい――そうだ、どうだっていいアゴ――)
《別ケースは肉体が半霊半物質/反物質化により意識体になることで、個体としても存続できるケースになります》
メタテロメアであり、意識体/精神体も超速再生され続けることになる。
「「肉体はもちろんだけれど、意識体も消滅させうるダメージが与えられたらどうなる?」」
今度は双子のきこさんみこさんが口を揃えた。ダンサーということもあり、身体にはとりわけ興味が深そうである。心身共に⇆SSSポテンシャルが魅きだされるきっかけをつくるスペシャリストだ。二人は手を恋人つなぎしていた。一人に観える時もある。
《それについては現在は禁則事項になります。わかりかねますと言ってもいいですし、そうなってからのお楽しみとも言えます。そして人と――そして現象のマッチングによりケースバイケース、最適化によります。》
今までで最もガイダンスが饒舌に長く話したかもしれない。
《ひとつ言えるのは時空間/次元を超えていて、個体のみのレベルではないということです》
そう『並列共生/共有体』である私たち《クラン》と並列共生/共有体であろうガイダンスは情報、座標共にSync/共有されたのだった――。
LIVEコンサート会場、球体フリースペース共に、鹿獅子さんはこちらを見守っている――。
私――がひとりごちようとしたその瞬間、鹿獅子さんからか不明だが、イメージのような声のような何か――が感じられた――。




