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冬馬君の秋と冬  作者: だかずお


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ピッグ ピッグ ベイブ

シュコオオオオオオッ〜〜

男は饒舌だった。

「ベイブッ、ベイブッ、ベイブッお酒って美味しいですね」

旅先で出会ったお洒落なバーの中、一目惚れした店員さんを前にお酒を飲み、会話しているスーはアゲアゲだったのだ。

普段寡黙な男は酒の力をかり絶好調となる。既に限界を超えていたのだが、女神の顔を前にしてパワーアップピッグピッグ!!

「ピッグピッグベイブゥ〜〜」子供達はスーの変わり果てた姿に大爆笑。

多網も喜びプップこきまくっている。

「スーさんってひょうきんなんですね、お酒酔ってるからこうなんですか?」

「はははっ、ベイブッ〜シラフですから」それを聞いたサーは思う、嘘つけと。

こやつ誰かに似てるんだよな?どっかで見たことある様な(サーは気づいていないから言っておこう、お前である)。

「しかし、スー凄いね、大爆発してるよ」冬馬君が言う。

「一体これからどうなるんだろうね」大喜は興味津々に真っ赤なスーの顔を覗き見て笑う。

「スーさんは結婚してるんですか?」

ドキッ、こっ、これはまさか?僕の事が気になってる?(ただの質問じゃい)

「まっ、まだです」

「どうしてしないんですか?」

ズゴシュュッ(なんじゃこの効果音は)

「まっまあ、言い寄ってきた女性は沢山居たんですけど、ちょっと自由を満喫したく断って来ました」

サーは椅子から転げ落ちた、こやつなんちゅー見栄はりなんじゃ。どっかで見たことあるんだよなこんな様な奴(だからお前じゃ)。

「スーさんはもてるんですね」

「あははそんな事ないですよ」


「なんかスーさんと話してると気持ちが明るくなります」


「あっは〜〜良く言われますじゃあ皆さんご一緒に!せーの、ピッグピッグピッグピッグベイブ〜ッ」両人差し指を鼻につけてポーズを決め大ご機嫌である。

サーは思ふ、こやつ泥酔しとると。


「スーがやばいスーがやばい」と大喜大爆笑中

それを見たスーが「大喜君笑い過ぎ〜っ、ピッグピッグベイブぅ〜」と大喜を指差す。

これには店内にいる誰もが大爆笑に包まれる。

やばいっ、やばいっスーが絶好調である。

「サツキさんの働くこの店は素晴らしいですね、僕をこんな気持ちにさせてくれるなんて」

「まあ、すーさんったらお上手なんですから」


きみ子が小声で「なんかまともな会話として成り立ってきたね、いい感じじゃない」

「うん、もしかしたら連絡先交換出来るかも」冬馬君が返事する。これはまさかのスーの恋が実るかもしれん。


「あっ、サツキさん」突然スーの声色が変わる。

一同に緊張が走る、まっまさか?

スーは連絡先を聞こうと思った、今しかない、タイミングを逃したら他の客が来てしまうかも知れない。

「あっ、あの、そのれっ、れん」


「れん?」


「あっ、レンコン揚げって美味しいですよね」


「どうして突然レンコン揚げ?」サツキさんは笑っていた。

サーは思う、連絡先聞こうと思ったんだなスーは。

頑張れスー。

どうして僕はこんな時だけシラフに戻るんだ、ええいっ

スーはテーブルの上に置いてあったテキーラショットを突如もう一杯飲み干したグビッ(とことん酒の力を借りる男)

みんなは思う、連絡先を聞くつもりだ(ひっじょ〜に行動がわかり易い男その名もスー)

「サツキさん、あの、あのっ、もし良かったら」


ガチャ

店の扉が突然開く

スーは思った、ちっ、なんてタイミングの悪い、くそっこんな時になんで来やがったんじゃ〜〜心の中はテキーラの海であらくれ模様。


「あらっあなた?」


「えっ?」

サツキさんのその台詞に皆声を上げてしまう。

「どうも、サツキの旦那です」

その瞬間スーは意識を失いかけ、爆発した。

ボガーーーーンッ木っ端微塵に消し飛んでしもうたそうな。

後に残ったのは、話をふられもしなかった洋服に描かれた豚の残骸だけ。スーは消し飛び、ピッグスーはただのピッグになってしもうた。

ブヒブヒブヒブヒブヒブヒヒブヒブヒブヒブブヒブヒ〜〜ッ

なんとっサツキさんは結婚していたのだ。

あっちゃー、みんなもがっくり。またスーが失恋した。

その時、外からザーーッと言う音が「雨だ』と大喜

それはまるでスーの心を写したかの様な激しい雨

「あれっ皆さん知らないんですか?今夜から明日にかけて凄い天気荒れるみたいですよ」

なんと店のテレビに映るニュース番組には今居る場所の地域に大雨洪水警報が。

「えっ、やばいね」慌てる一同。スーは再生したが石の様にピクリとも反応しない(余程ショックだったのだろう、てか再生はえぇーっ)

「これから更にひどくなるから今のうちに帰った方がいいかも知れないですよ」サツキさんが心配して言ってくれた。


サーが石化して動かない友を揺れ起こす「スーそろそろ帰ろう」

友は言った「あっ、ああ」

酔いの狭間で男はこんな事を思っていた、ああサツキさんとお別れか、もう二度と会えないんだろうな。寂しいな、でもお幸せに。

男は立ち上がる「ありがとうございました、さっさよなら」

「皆さん明日帰っちゃうんですよね?今日も来てくれて嬉しかったです、またこっちに来たときは絶対寄って下さいね、本当にありがとうございました、お元気で」


「それからスーさん、またその飲みっぷり見せてくださいね」

男は泣くのを必死にこらえこう言ったそうな。

「ピッグ ピッグ ベイブ」

「またねーサツキさん」子供達はサツキさんとの別れが名残惜しそう、まあこの男はその100000000倍は名残惜しかった。

その名はピッグ!!


ザアアアアア〜〜ザアアアアア〜〜ッ

外は激しい雨が降りしきる、急いで車に乗り込む一同。

「サツキさん奇麗だったなぁ〜私には劣るけど」きみ子が言った。サツキさんの名前を聞き男は小さくため息をつきこう云ったそうな「雨降ってたんだ」


激しい雨

それはまるで僕の心模様

さっきまで聞いていた君の声がまだ心にしっとり残る

ほんの少し前僕は君と一緒に過ごしてた

もう二度と会えずとは知らぬまま

ほんの少し時間よ戻っておくれ

このまま何もかも洗い流さないでおくれ(テキーラの酔いは一刻も速く洗い流しておくれ)

激しい雨が降っている

まるで僕の心模様

男は車の中、独り、こんな詩を作っていたそうな(なんか最近聞いた様な)

ザアアアザアアア〜〜

「しかし雨凄いね」冬馬君が車の外を覗き見る。

「このシチュエーション怖い話最高」ボソリと多網

うきょ〜あんたも好きねぇ。

「明日帰れるかな」サーのこの発言に子供達は大興奮

明日帰りたくない、もしもう一日でも増えたなら最高すぎる、子供達は切に願う、まだ帰りたくない。雨よ止むなと。

冬休みも残り僅か、最後の線香花火よまだ落ちないでおくれ〜

「もう一日泊まりたい」子供達がさけび出す

失恋したスーは言う「あと一年くらいこもりたい」

「まあ、とりあえず明日考えよう」サーが言う。

ザアアアザアアア〜〜激しい雨が降りしきる。

「おじちゃん運転大丈夫?雨で前が見えないね」

「うん、多分大丈夫」(多分かい)

「スー道こっちで良かったっけ?」

「えっ?ここ何処、ピッグピッグベイブ〜」

こやつ今更酔いが最大限にまわりだしてる。

「スー酔ってるよ」冬馬君と大喜がスーの顔を見て言った。


「こりゃ、自分の記憶を頼るしかない」

ザアアアザアアア〜〜

外は外灯も少なく真っ暗、更に激しい雨、サーは運転しながらかなり焦っていた。現在車は時速10キロで走っている。

「何だか雨降ると森が一層不気味だ」怖がるサーをよそに、突然黄昏れたスーが歌い出す

「イモい男は豚をかぶり、恋の成就と戦った結果は敗戦、また同じブヒブヒブーーブー雨が降るぅ〜」こやつ本当に大丈夫なのか?

とりあえず今はスーを休ませる為にも、はやく泊まってる場所に辿り着かなければ。

ザアアアザアアアザアアア〜〜

「凄い雨だ」そして...奴は歌う「ピッグピッグまた独りピッグピッグ豚が友達」凄い歌だ。


傷を負った男を乗せ、車は夜の森を走る

「お〜〜ッピッグ ピッグ ベイブ〜〜ッ」スーは歌う、呑気に歌う。

はやくあの和室かリビングで安心して床につきたい、焦るサーをよそに歌い続ける

「おおーっピッグピッグベイブ〜〜」


果たしてみんなは無事に帰れるのか!?


ザアアアアアア〜〜ザアアアザアアア〜〜

雨は激しく降りしきる。




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