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悠久のクロスファンタジア 〜DUAL WORLD〜  作者: はとかぜ
第2i章 魔界・王都編 -Ⅰ-
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第129話 五里霧中

私達が歩みを進めるたびに、霧はどんどん厚く濃くなっていく。


心なしか身体の調子が良いような悪いような……さっきセインスが、魔気のせいで私達の力も強くなっているとは言っていたが、それ以前に魔力とはそもそも毒だ。ずっといて良いような場所ではない。


「道が見えないな……満月よりはマシだが、半月の日でも侮ってはいけないな」


「まさに五里霧中だね。どうする?空でも飛ぶ?」


「そうすると本格的に地上が見えないじゃないか。それに戦闘前に魔力を消費するのも気が引ける。幸い魔力感知は使える。魔気のせいで撹乱されて、感覚は曖昧だが……強力な魔力の伝わる方向に進んでいるよ」


浮遊魔法・飛行魔法は実は結構魔力を消費する。魔力量の数値化は難しく、単位も厳密には定められていない。


『フレイム・ボルト』発動に必要な魔力量を10とする考え方もあり、それに基づいて考えれば、


浮遊魔法・上昇は、20mごとに1、滞空は2分ごとに1を消費する。飛行魔法なら、1分ごとの計算で、10km/h加速するごとに1増えていく。10km/h以下なら消費も1以下だ。


人間の最大魔力量平均は、大体450くらいらしい。うろ覚えの話であるが。


長時間長引いてしまうと割と洒落にならん消費になるのだ。だからみんな戦闘の時も空中浮遊はあまり用いない。身体強化魔法だけ掛けてそこら中飛び回ったほうが遥かに安上がりなのである。


「地上だと魔物とバッタリ出会う可能性が高いけど、それが大本の原因を割り出すきっかけになるかもしれない」


「まあ……もう好きにすればいいと思うけど……」




眼の前が殆ど見えないほど濃くなる魔気の霧の中を、手探りで進んでいく。それでも、木々の影がうっすらと見える程度であり、魔気がうっすら光っているためか、夜だというのに一寸先は闇という状況にはなっていない。


だが、視界が悪いことには変わりなく、もう辿ってきた道も分からなくなった。セインスの探知によれば、この先を真っ直ぐ進めば強力な魔力反応がある場所にたどり着けるようだ。




「……あ、何か……向こうになにかいる!」


「ホントだね。だけど注意していこう。魔物の可能性も捨てきれない」


霧越しに見えたのは木々の隙間に隠れたいくつかのなにか。それが何なのかは全くわからない代物だ。生き物なのか無機物なのかすら。


私達は2人でゆっくり近づき、その存在を目視した。




「……なにこれ……魔物の石像?」


「しかもかなり綺麗だね。つい最近に作られたかのようだ」


そこには、コウモリの羽のようなものを背中に持った魔物の石像が円環をなすように並べられていた。


全部で5つ、良く見れば目が青く煌めいており、これも何かしらの意味を持っているようだった。


「訳が分からない……何かの儀式の痕跡とかなの?」


セインスは石像の内の1つに手をかざして調べている。


「なるほど……結界の基底の1つのようだね。この5体の石像が円環に並べられて1セット。これがあと3セットあるようだね」


「……そんな簡単にわかっていいものなの?セキュリティ上問題が有りまくりな気がするんだけど……」


「『魔術解析』で大体の特殊魔法の基礎構造はわかるんだ。固有魔法は残念ながら、それぞれが独自で、かつ恐ろしく複雑な魔術構造を持っているから難しいんだけどね」


セインスは続けて、「魔術では『解析されないように』じゃなくて『解除されないように』の方に重点が置かれるから、解析妨害の魔法より、術式改変妨害の魔法がいくつも重ね掛けされていることの方が遥かに多いのさ。実際、これにもいくつもプロテクトが掛けられてる。解除は今は無理だね」


良くわからないけど、とりあえずどんな魔法も大抵解析は出来るということがわかった。ただ、解除に手間取るだけ。理由はわからないけどそういうことらしい。


「魔法解除って難しいんだね。実はこう、触れば解除されたりとか……」


私は石像の内の一体に触れる。すると、手のひらがひんやりとした感覚に包まれると同時に、石像の目の光が消失した。


……消えた。ほぼ同時にビンビン感じていた、石像の魔力の流れも凪いでいる。


「あれ……もしかして解除できちゃった?」


「……え……まさかそんな……僕が見たときはそう簡単に解除できる物には到底見えなかったのに……」


セインスも同じように石像に手を触れようとする。しかし……




「っぐう!?」


「え!?大丈夫っ!?」


バチィッ、と大きな音がして、セインスの身体が仰け反るような形で体制を崩す。私はとっさにセインスの頭と背中を地面にぶつけないように受け止める。


「っづぁ……なんだ……今のは……電撃魔法か?」


セインスは右掌を、額から冷や汗を流しながらじっと抑えていた。表情は、痛みに耐えるよう必死で歯を食いしばっているように見えた。


良く見れば手のひらは一部が赤く腫れていて、その衝撃の大きさをわかりやすく示していた。


「……私が触れたら解除されて……セインスが触れたら弾かれる……これ、一体どんな構造になっているのよ……」


私とセインスを区別する何かがあるのは確定事項だが、肝心の中身がいまいちわからない。心当たりが多すぎて絞りきれない。


「何かヤバいもの出てきそうで怖いわー」


「だね。結界が無ければ進もうと思ったけど、何が封印されているかもわからない物を解くのは危険だ。まずは戻って情報を集めよう」


霧の中進んできたので、正確な道なんて覚えちゃいないが、霧さえ無ければ飛んで上空から探し出せる。幸い、木に囲まれて空が全く見えないわけではない。


「最初からそうすればよかったんだよ。一応目印となるように、パターン組んだ枝でも置いておこう」


あたりから適当な長さの小枝を集め、それらを星型に並べる。そのあと直ぐに、さっきこの石像の並んだ場所に入ってきた方向に2人で進んだ。

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