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悠久のクロスファンタジア 〜DUAL WORLD〜  作者: はとかぜ
第2i章 魔界・王都編 -Ⅰ-
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第125話 山麓の森林

フレイザー村にたどり着いた私達は、その村の村長から、今回の件について話を聞いていた。


「この度はまことにありがとうございますのじゃ。しかし……本当に2人で大丈夫なのですか?」


「聞いたところ、相手は攻撃特化との話だったので、防御に特化した人間がいれば問題ないかと思いまして」


村長は一息置いて、長く伸びた髭を触りながら受け答えた。


「……確かにそれは事実じゃ。しかしのぉ、ゴブリンロードも粘土のように柔らかいわけではあるまい。現に4人グループの冒険者がいくつか全滅してしまっている。こちらとしても人命を無駄に散らしておくわけにはいかぬのじゃ」


「なるほど……思っていた以上だな……」


事情を説明している間、私はセインスの少し後ろであたりをキョロキョロ見回していた。もちろん話も耳には入るようにして。


話を聞く限り、冒険者4人を相手取って勝てるレベルの魔物らしい。どのくらいのレベルだったのか定かでは無いが……数の利で圧倒できる相手では無さそうだ。


私の防御なんて、この世で最もあてにならないものの1つ(主観的意見)を軽く信用しないでほしいのだが。私は全く自信無いのに、何でも防げる最強の盾という前提で話がグイグイ進んでいくし……




(最強の盾なんて存在するわけがないのにさ……魔力量には限界があるのだし)


「まあ、もう弱りかけではあるのじゃがな。最近は活動も弱まってきている。あと一押しといったとこじゃ」


さっきまでの重苦しい感じの雰囲気は、村長の爺さんの一言で掻き消えた。


「じゃあ……あまり強くない……ってこと?」


「そういうことかな……どちらにしろここまで来て何もせずに帰るなんてこと出来ないしね。はやく準備しようか」


「気をつけるのですぞ。弱っているとはいえ、村人を15は殺しているのですからな」


お爺さんのその言葉を聞いて、私達2人は村長宅のドアを開けて外に出る。やっぱり街から離れるとまた違った空気を感じる。


「……ふと思ったんだけどさ……私がこの世界に来て何日目だったっけ?」


「え……僕たちが初めてであったのが初日だよね……サテナに行ったのが2日目、自警団の方に参加して、ウルフを倒したのが3日目、ゴーレムが襲ってきたのはその翌日……4日目だね。サテナ出発は昨日……5日目の朝、到着は真夜中、そして今日が6日目だね」


「まだ一週間も経っていなかったの……!?いくら何でも過密スケジュールすぎる!今日一日くらいは王都をぶらぶらするでも良かったんじゃないの!?」


あの大惨事が一昨日という事実に恐れおののいてしまう。明らかに濃密すぎる6日間……休日という言葉を忘れてしまったようだ。


(……こっちの世界ならゆっくりできると思ったのに……さして変わらないじゃん)


興味が微塵も沸かない内容を叩き込まれる勉強詰めの日々よりは……いや、変わらん。結局どこに行っても退屈なのには違いないのだと思う。


「そう言えば、村長の爺さんは先に来ているはずの三人衆のことは触れていなかったね」


「どうせ村に寄ってもいないんでしょ。急がば回れというのにねー」


「どういう意味だい?」


「焦っちゃだめってこと」




◇◇◇




伏魔の森。多数の魔物が潜む、大陸の山々の隙間を埋めるように網目状に拡がる超巨大森林だ。世界樹を中心に展開され、王国の南半分は丸ごとこの森に覆われている。


ここはその森の縁である。サテナとはまるっきり反対方向、あそこに魔物が少ないのは、この伏魔の森が遠いからだ。魔物が生まれた原初の地とも呼ばれているのだし。


ちなみにここまでセインス情報。私が知るわけ無いでしょ。


「木も背が高いよねー。アマゾンみたい」


「そこも背の高い木が生えているのかい?」


「写真とか見てるとそんな感じなんだよね。まあ地球の裏側だから現物を見たことはないんだけど」


「裏側の事がわかるのか。すごい世界だな」


写真機はまだ発明されていないのか。これくらいなら魔法で代用出来たりしないのだろうか?いや、問題はそれをどうやって世界の裏側に持っていくのかということだろうか。


その点、インターネットはすごい。少しググればすぐに出てくるし。


(スマートフォンもずっと使ってないなぁ。電波なんて無いから使う意味ないからね……)




私達2人は森の中をゆっくり足元に気をつけて歩いていたら……


「……!カノン!音がした。何がいるよ!」


「えっ、嘘でしょ!?どこどこ!?」


背の高い草陰に隠れられてはわからない。私はパニックになりかけながら、魔法発動の用意を整える。




「オマエラ!ニンゲンダナ」


「ココカラサキハトオサヌ」


「ゴッ、ゴブリン!?」


古びた剣を持ったゴブリンが3体に、弓矢を携えたゴブリンが2体草陰から飛び出してきて、気がついたら私達2人は完全に囲まれていた。


あまり強くない個体のようだが、私にとっては魔物であることに変わりは無い。恐怖で腰が抜けそうなのを必死にこらえていた。


「ということは、この先にゴブリンロードが居るんだな!」


「イマハトリコミチュウダ!ジャマハイレサセナイ!」


ボス戦前の前哨戦が、幕を開けた。

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